EI(感情的知性)とは?EIを伸ばすメリットと活用法

[最終更新日]2020/08/17

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EI(感情的知性)とは?

ビジネスにおける手法やリーダー論は世の中に数多くあり、日々進化しています。
強いチームを作るノウハウ、成果につながるスキル身につけるための情報は世の中に溢れており、実践すれば有益な結果につながるものも少なくありません。

しかし、ビジネスにおいて管理職を悩ませ続けている課題が残されています。
それは「人のこころ」に関する問題です。

今回は、世界中で注目を集めつつあるEI(感情的知性)にスポットライトを当てます。
EIがなぜ注目されているのか、どうすればEIを伸ばすことができるのか、確認していきましょう。

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目次

EI(感情的知性)とは?基本の理解度をチェック

EIという言葉を聞いたことがある人は多いはずです。EIは世界経済フォーラム(ダボス会議)で取り上げられるほど、いま世界的に注目が集まっている概念です。

しかし、EIとはどのような概念なのか、具体的に説明するとなると難しいと感じる人もいるかもしれません。
そこで、まずはEIの基本的な考え方やEIを構成する要素について、理解度を確認しておきましょう。




EI(Emotional Intelligence)とは

EIは日本語で「感情的知性」あるいは「感情知能」と訳されます。

知性や知能と言うとき、私たちはたいてい理性や知識に着目しています。物事をどう考えるか、何を根拠に思考を組み立てるかが「知性」と捉える傾向があるのです。

では、高い知性を持った人は人間性においても優れていると言い切れるでしょうか。おそらく皆さんの多くが「たしかに頭は良いけれども、人間的な面であの人はちょっと……」「頭は切れるが人としては冷たい感じがする」といった人に出会った経験があるはずです。

人間は感情の生き物と言われるほど、感情に大きく左右される一面を持っています。

「理屈としては納得できるけれども、感情面で受け入れられない」といったことが起こるはそのためです。
EIはこうした一筋縄ではいかない人間の感情を分析し、感情も「知性」の一側面として理解しようとする試みなのです。




EIの4領域と12特性

EIは、作家であり科学ジャーナリストでもあるダニエル・ゴールマンが著書等でビジネス論へと展開したことで有名になった概念です。

EIが注目される理由の1つに、人の感情に関する特性は後天的に習得できると説いている点が挙げられます。

それまで、人の感情は先天的な性質によって決まっている個性であり、後天的に伸ばすことができるものではないと考えられていました。



《EIの4領域と12特性》

EIの4領域と12特性

これら12の特性は、優れたリーダーが備えている性質と同義です。
つまり、EIが提唱する12の特性を伸ばしていくための行動や思考をできるだけ習慣化し、自分のものにしていくよう努めることによって、優れたリーダーに特有の内面を獲得していくことができるのです。




EQ(感情的知能指数)との関連性

EIとよく似た概念にEQ(Emotional Quotient)があります。EQは「感情的知能指数」「こころの知能指数」と訳され、EIとほぼ同義の概念として使われているケースも見られます。

EQは、いわゆるIQ(知能指数)と対比する形で提唱された概念です。
人の態度やものの言い方は感情の状態に大きく左右されますが、このことを理解した上でうまく利用できるのは「一種の能力」と考えるのがEQの基本的な考え方です。

IQにおいては知能と知識は明確に区別されているのに対して、EQにおいては両者の区別が曖昧です。
結果的に感情のコントロールやメタ認知、それらによる適切なアウトプットに結びついているのであればEQが高いと判断されます。

ただし、EQ・EIいずれの概念においても、人の感情に優劣をつけたり良し悪しを判断するための指標として用いられたりするべきものではない、という点では共通しています。

たとえば、EIやEQを数値化・可視化する試験を行った結果、内向的な特徴や感情の起伏が乏しい結果が見られたとしても、そのことが人間性や人格の優劣を判断する材料にはならない点に注意が必要です。

なぜ今、EIが注目されているのか?

21世紀のビジネスにおいて、EIは看過することのできない重要な概念の1つと言われています。

たしかに人の感情に配慮したり、自身のこころの状態に関心を寄せたりすることは大切なことではあるのですが、なぜ今、ビジネスの世界でEIが注目されているのでしょうか。

これにはさまざまな理由がありますが、よく指摘される理由として次の3点が挙げられます。




ビジネスにおいて自他の感情的な側面が見過ごされがちだったから

これまでビジネスにおいては、個々の社員や管理職の感情的な側面はどちらかと言えば軽視されがちでした。取り組むべきミッションがあれば、個々の感情よりも遂行するための行動とその結果こそが重視されるべきだと考えられてきたからです。

しかし、私たちの感情は常に揺れ動いているものであり、その瞬間に抱いている感情がパフォーマンスやチームワークに影響することは十分にあり得ます。

知識やスキルの面で一流のメンバーを集めたチームが必ずしも最良の結果を出すわけではないのは、チームとしての結束力や目的達成意欲に感情が深く関わっているからです。

私たちを取り巻くビジネス環境は、日々めまぐるしく変化しています。ときに急激な方針転換や組織としての意思決定を行わなくてはならない場面にも遭遇するでしょう。

そうしたタフな状況下において、揺らぐことのないチームの結束や意思の力を養う上で、個々の感情に対する思慮は欠かすことのできない重要な要素として認識されるようになりつつあるのです。




組織のリーダーとして必要な資質と深く関わっているから

前述のように、EIで提唱されている4領域12特性は優れたリーダーが持つ性質とほぼ一致しています。リーダーには多様なタイプが存在し、どのタイプのリーダーが最良とは言い切れない面もあります。

ただし、優れたリーダーの多くが兼ね備えている性質を分析していくと、EIにおいて習得可能とされている12の特性のうち複数の要素に合致していることが分かっているのです。

かつてはカリスマ的なリーダーや、見方によっては強引な方法で組織を率いていくリーダーこそが強力な指導者と考えられていた時代もありました。

ところが、現代のビジネスシーンにおいては突出したリーダーが独力で解決できるほどシンプルな問題ばかりではなくなっています。

そこでは協力者となるメンバーが必要とされ、メンバーが機械的に仕事をこなすのではなく、納得して主体的に取り組むからこそ成果を最大化することが可能になるのです。

このような真の意味で強い組織・チームを構成する上で、EIの視点を持っていることはリーダーとして不可欠の資質と言えるでしょう。




EIは後天的に磨き、成長させることができるから

管理職は役職についてしまえばゴールに到達したわけではなく、むしろ着任してからが本当のスタートです。
チームメンバーや部下に信頼され、成長を促すリーダーシップを発揮していくためには、常に自省を繰り返して自らを成長させていくことが求められます。

EIは後天的に磨き、成長させていくことができる能力と考えられています。EIについて理解を深め、自らも実践していくことによって、優れたリーダーの資質が身につくだけなく、仕事を通じて人間的に成長することにもつながるでしょう。

組織では、役職が上になればなるほど責任が重くなると同時に、解決にあたるべき課題も抽象度が高くなっていきます。

部下の感情の状態や動きを的確に察知し、指導や助言の方法をコントロールすることも管理職には求められます。

個人的な感情をいかにコントロールし、ときに必要に応じて抑制することができるかは、管理職としてステップアップしていく上で重要な能力開発の1つともなり得るのです。

EIを向上させるメリットとは?

EIについて理解を深め、向上させる行動を習慣化していくことで、自己成長にもつながることについて触れてきました。では、ビジネスにおいてEIを向上させる具体的なメリットとはどのような点にあるのでしょうか。

ここには、チームを率いる立場に立つ人に特有の悩みが深く関わっています。
とくにプレーヤーとして優れた結果を残し認められた結果、管理職やリーダーに抜擢された人ほど、チームメンバーの感情的な面に気づきにくくなるという短所を抱えがちなのです。

具体的には、EIを向上させることで管理職にとって次の3つのメリットを得ることができます。日々の仕事においてEIがどのように生かせるのか、事例とともに見ていきましょう。




行動バイアスを回避することに役立つ

事例1:ビジネスチャンスと思われる場面に遭遇した場合

経験値の高いリーダーほど、ビジネスチャンスを嗅ぎ取る能力に長けているものです。「これはチャンスだ」と思えば、即行動に移して結果につなげたいと考えるのは必然でしょう。

しかし、このとき部下やチームメンバーからすると「急に何を言い出すのだろう?」「方針がめまぐるしく変わってついていけない」と感じられる場合があります。
リーダー自身の中では合理的な意思決定だったとしても、周囲の理解をどの程度得られているかは別の問題です。

このように、プレーヤーとして実力のあるリーダーほど行動力があるというケースはよく見られます。

高い行動力や決断力を有することはリーダーとして必要な資質ではあるのですが、時としてその行動力・決断力の高さゆえに、部下やメンバーが「ついていけない」「理解しがたい」と感じるケースがあります。

EIを重視し向上させるトレーニングを重ねることによって、こうした「行動バイアス」を客観視し、回避することに役立つと考えられます。




反射的・突発的な行動を抑制できる

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事例2:部下の仕事の出来栄えに満足できなかった場合

強い目的意識を持つリーダーの中には、部下にある程度自由な裁量を与えて仕事を任せる反面、仕事の出来栄えに対して厳しい態度でのぞむことをためらわない人がいます。

部下に作成を任せた資料の出来栄えに納得できない場合、改善すべき箇所を具体的に指示したほうが良いと考え、不満を感じる箇所を反射的に列挙してしまったりするのです。

しかし、部下によっては「任せたと言われたのに、私には何の決定権もない」「はじめから自分でやればいいのではないか」と不満を募らせる原因になり得ます。

こうした突発的な行動を抑制するには、自分と他者の感情の状態を俯瞰的に見るプロセスが必要になります。いわゆる「ひと呼吸おいてから」助言するということにも通じるでしょう。

指摘や助言がいかに的確なものだったとしても、言い方やタイミングによっては部下の自尊心を深く傷つけることがあります。

ときにあえて厳しく指導することはあっても、意図しないところで部下の心証をむやみに悪くしてしまうのは、上司として得策とは言えません。こうした反射的・突発的な行動を慎む上で、EIへの理解が生かせる可能性があります。




真に結束の強いチームをつくることにつながる

事例3:マイクロマネジメントに走りそうになっている場合

コロナ禍によってリモートワークを導入した企業では、在宅勤務時の部下のマネジメントをどうすべきか頭を悩ませた管理職が少なくなかったようです。

部下がその日に行った業務やかかった時間を逐一報告させることによって、仕事の進捗を確認したくなることもあるかもしれません。

しかし、管理される側からすれば「私は信用されていないのではないか」「タスク管理能力を疑われているのでは?」といった心境になってしまうことがあるのです。

真に結束の強いチームであれば、目的を共有し同じ方向に向かって前進していくことができるはずです。
部下が同じ方向を向いて仕事に取り組んでいるかどうか、ビジョンを共有できているかどうか、といった点は注視する必要がありますが、部下の一挙手一投足に目くじらを立てても効果が薄いことは明らかです。

「同じ方向を向く」「ビジョンを共有する」というのは、見方によっては抽象的な概念です。

こうした抽象度は高いもののチームとして重要な事項を達成していくにあたり、EIを向上させていくことはチームメンバーの心理状態を理解する上で重要な役割を担っていると言えます。

EIを伸ばして仕事に活かすには?

EIの4領域12特性は、「柔軟な適応力」「影響力」といった、一見すると漠然とした言葉によって構成されています。

これらの特性を身につけ、伸ばしていくためには1つ1つの特性を具体的な行動レベルに落とし込んでいくことが非常に重要です。こうすることで、EIを「心がけ」ではなく行動へと具現化し、継続することで習慣化することへとつながっていきます。

具体的には、次の3つの行動・思考を意識して日々の仕事にあたることを心がけていきましょう。




セルフ・アウェアネス(自己認識)を習慣化する

4領域のうち「自己認識」「自己管理」を具現化するためには、セルフ・アウェアネス(自己認識)を習慣化することが効果的です。

自分のこころの状態と、その心理状態がどのように行動や発言に表れているのかを客観的に分析していくのです。

はじめから自分の発言内容や行動特性、言い方のニュアンスをコントロールできれば理想的ですが、しばしばうまくいかず反省することにもなるはずです。

しかし、重要なのは「自省」のプロセスを経て1つずつ改善していくことです。感情を的確にコントロールするには、まず自身のその時々の心理状態を認識し、感情の原因や影響を客観視していくことから始めましょう。

自分の感情を自覚することができるようになると、感情の表現においてもコントロールが及びやすくなり、そのモデルケースが増えていくことで他者の感情に対する理解も深まっていきます。

他者の感情を推察し理解するヒントは、他でもない自分自身の中にあるのです。




共感力の源泉となる傾聴を意識する

4領域のうち「社会性」には、共感と組織感覚という2つの特性が含まれています。
いわば他者とのつながりに位置する感覚であり、いかに他者を理解するか、人の集合体としての組織への理解を深めていくか、という点に収斂されるでしょう。

他者へのりかいを深めるには、共感が不可欠です。相手の言っていること、思考の結果としての行動への理解を深めていくことによって、感情を的確に理解することへとつながります。

共感力の源泉は「傾聴」に尽きます。管理職自身がどう思うかではなく、まずは部下が何を思っているのか、どんな感情を抱いているのか、といった点を知る手がかりとして、傾聴に徹する姿勢が求められます。

管理職としてキャリアを重ねてきた人ほど、部下の行動や発言を過去の事例に当てはめパターン化して捉えがちになりますが、個々人の考えや感情は人によって十人十色ですので、いちど先入観を排して傾聴に徹することが大切です。




「今この瞬間」に意識を向ける

4領域のうち「人間関係管理」には、影響力、指導・育成、対立管理、チームワーク、インスパイア型リーダーシップといった特性が含まれます。

これらは、いずれも「今この瞬間」に起きていることであり、過去に起きたことや将来起こり得ることとはいったん切り離して捉える必要があります。

一般的に、管理職は部下と比べて業務全体に対する俯瞰的な視点を持っています。
より全体像を把握できているのは上司の側になりますので、上司としては理に適っていると思われる判断・指示であっても、部下にとっては突発的なものとして映る可能性は十分にあります。

また、今後の成長を見据えた指導・育成であったとしても、指導される側の部下にとって「今現在の自分を否定されているように感じる」といったことはあり得ます。

EIの向上は時間をかけて継続的に取り組むことが大切ですが、1つ1つの事象は目の前で起きているのであり、今この瞬間に目を向けていくことの連続から育まれていくものです。
目の前の相手やチームの現状がどうであるか、今この瞬間へと意識を向けることを心がけましょう。

まとめ)EIへの理解を深めてマネジメントに厚みを持たせよう

EIは人の感情に関する概念であり、根源的であると同時に日常のどこでも遭遇する課題を内包しています。

私たちは生きていく限り「こころのあり方」と付き合っていかなくてはならず、このことはビジネスにおいても切り離せない内面の問題としてついて回ります。

だからこそ、EIへの理解を深めていくことは普遍的な対人スキルやコミュニケーション能力を伸ばすことにも結びつきます。

人と関わって仕事をしていく以上、時代の変化に左右されない普遍的な能力を身につけることは管理職としての強みにもなっていくでしょう。

EIへの理解を深めることを通して、ご自身のマネジメントにさらなる厚みや奥行きを持たせるきっかけとしてみてはいかがでしょうか。




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