管理職・マネージャーのこれからのキャリア 転職 or 独立どちらを選ぶ?
[最終更新日]2023/10/17
管理職経験者が転職を検討する場合、さらに上のステージを目指すキャリアアップを志向する人は少なくないことでしょう。
管理職採用でヘッドハンティングされたり、役員など経営幹部として活躍したりする人も出てくるはずです。
管理職として実力も実績もある人であれば、転職以外の選択肢を検討する可能性もあるでしょう。それが「独立」です。
この記事では、転職か独立か、今後のキャリアを選択する上で迷った際に考えておきたいポイントをまとめています。独立も視野にいれてキャリアプランを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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在職・転職、そして第三の選択肢「独立起業」
今後のキャリアを検討する上で、選択肢としては大きく3つの道があります。
今の仕事をこのまま続けていく道、転職して別の会社で活躍する道、そして自ら事業を興して起業する「独立」の道です。
──この第三の選択肢である「独立」を選ぶ人が近年増加傾向にあります。
現在のところは転職を主に考えている人も、独立という選択肢に目を向けてみるといろいろなことが見えてくるかもしれません。
独立する人が増えている背景と、独立起業がどの程度困難なものであるか、という点についてまずは考えていきましょう。
会社員として転職する「以外」のキャリアに目を向けてみる
管理職採用で転職が決まるのは、キャリアアップを実現する転職の代名詞のように考える人も少なくありません。
たしかに、採用する企業側も一般社員の採用と比べてより慎重に検討した結果、部署や部門を任せるつもりで採用するわけですから、実力や実績が認められて転職が実現したことに間違いはないでしょう。
一方で、管理職採用がめずらしいことではなくなっているのは、「役職に就いても安泰とは言えない」ことの表れとも言えます。管理職として採用されたとしても、何らかの事情で会社を去らなくてはならなくなったり、成果があがらず降格になったりすることもあり得ます。
このように、終身雇用の崩壊は会社員にとって「ここまで到達すれば安泰」という場所がなくなったことを意味しています。
定年退職の年齢を引き上げることも現実味を帯びた議論になりつつある中、「次が最後の転職になる」かどうかは極めて不透明です。
こうした背景から、会社員として転職する以外のキャリアプランを検討する人が増えているのです。
自分自身のスキルや経験、人脈という資産を活用して独立するのであれば、少なくとも会社の都合で振り回されることはなくなるからです。
独立起業のハードルが下がりつつある
近年、独立起業のハードルが下がっているのも、独立する人が増えている要因の1つです。
2006年に会社法が改正されるまで、会社設立には多額の資金が必要でした(有限会社は資本金300万円、株式会社は1,000万円が最低要件)。
しかし、会社法が改正され、「1円起業」などと言われることがある通り、資本金の壁が実質的に撤廃されました。株式会社であれば20万円強、合同会社であれば10万円以下で設立できるようになったのです。
また、フリーランスとして活躍する場合にも、個人事業主が仕事をしやすい環境が整いつつあります。
クラウドソーシングの台頭により、仕事を受注できるチャンスが大幅に増えています。
シェアオフィスやコワーキングスペースによる事務所費用の抑制、クラウドの活用による通信インフラのコスト減など、個人がスモールビジネスを始めるためのハードルが大きく下がりました。
《参考:フリーランス人口の拡大》ランサーズ株式会社「フリーランスに関する実態調査」より
このように、独立起業はかつてのように一部の人にしか実現できない高いハードルを越える必要はなく、多くの人にチャンスのある現実的な選択肢の1つとなっているのです。
独立するとしたらどのような道がある?
独立起業と聞くと、スタートアップ企業を設立することを想像する人が多いのではないでしょうか。
たしかに会社を設立して社長になるのは起業の方法の1つですが、独立するには必ずしも会社を作る必要はありません。
個人事業は法人ではありませんが立派な事業ですし、現に世の中には個人事業で開業しているお店や事務所が数多く存在します。「多額の開業資金を準備して法人登記する」ことだけが起業ではないという点がポイントです。
独立して起業するには、大きく分けて次の3つの道があります。
- 法人を設立して起業する
- フリーランスとして開業する
- フランチャイズに加盟する
法人を設立して起業する
法人とは、株式会社や合同会社、一般社団法人、NPO法人などを指します。
このうち株式会社と合同会社については、代表者1名だけでも設立することができます。
今はネットビジネスに代表されるように、初期投資がほとんど必要のない事業が存在します。そのため、必要最低限の資本金で法人登記した「一人株式会社」や「一人合同会社」が作られるようになったのです。
前述の新会社法では株式会社・合同会社ともに資本金は1円以上と定められました。
登記に必要な手続きについても独力で進められるアプリがリリースされていたり、行政書士などの専門家に依頼した場合も格安で手続きを代行してくれたりといったサービスが数多く出ています。
したがって、法人の設立そのものは決して難しいことではなくなっているのです。
フリーランスとして開業する
フリーランスとは、個人で仕事を受注する人のことを指しています。
この場合は個人事業主となりますので、税務署に開業届を提出すれば手続きは完了です。確定申告の際に控除の面で有利になりやすい青色申告を行うには、別途青色申告についても届け出ておく必要があります。
ひと昔前であれば、フリーランスは以前の勤務先において取引先からスキルを高く評価された人が、独立して会社を通さず仕事を請け負うパターンが多く見られました。
よって、「すでに取引先が確保されている状態」で独立するのが鉄則と言われていたのです。
しかし、近年はクラウドソーシングで仕事を受注できるようになり、仮に独立する段階で顧客地盤が固まっていなかったとしても、仕事を受注することが可能な環境が整いつつあります。
フランチャイズに加盟する
すでにブランドが確立されているサービスに、フランチャイズとして加盟することで初期費用を抑えて開業することができます。
業種や契約内容によりますが、フランチャイズの場合は個人事業でも法人でも加盟できるケースが少なくありません。代表的な業態としては飲食店やコンビニ、学習塾などが挙げられます。
フランチャイズに加盟する最大のメリットは、自身の力でゼロの状態からブランドを立ち上げる必要がないことと、初期費用を抑えられることです。
逆にデメリットとしては、フランチャイザーにロイヤリティを支払う必要があることと、事業全体をオーナーの意思で決められないことがあります。
やりたい仕事の業種が決まっているものの、具体的なノウハウの面で自信を持ちきれない人にとって、フランチャイズ加盟は現実的な選択肢と言えます。
転職と独立 それぞれのメリット・デメリットとは?
よく言われていることとして、会社員と起業家ではストレスの種類が異なります。
脱サラして独立する人の多くが、この「ストレスの違い」に戸惑っているのが実情です。
転職・独立のどちらにもメリット・デメリットがありますので、自分にとって得ておきたいメリットや避けたいデメリットがどれにあたるのか、よく考えた上で転職・独立のどちらの道に進むかを決める必要があります。
独立した場合、転職した場合に想定されるメリットとデメリットを整理しておきましょう。
独立した場合のメリット・デメリット
《メリット》
- 事業内容や働き方を自分で決めることができる
- 意思決定スピードが速い
- 社長には社長の知り合いができやすく、人脈が広がる
- 成功すれば収入に上限がない
《デメリット》
- 収入が不安定になりやすい
- 社会保険料を全額負担する必要がある
- 従業員を雇うなどしない限り休めない
独立した場合のメリット・デメリットを要約すると「自分で決められる範囲が大幅に増えるが、さまざまな保証を失う」という点に尽きるでしょう。
会社員時代には当たり前だった安定収入やゆとりのある休日がなくなるため、とくに創業当初は精神的に追い詰められた状態になることも考えられます。
会社で決められた枠組みの範囲に囚われず、思う存分やってみたいことがある人でなければ、こうしたプレッシャーに耐え続けることは難しいでしょう。
転職した場合のメリット・デメリット
《メリット》
- 安定収入が保証され、休日も取れる
- 福利厚生や退職金が用意されている
- 社会保険料を会社に折半で負担してもらえる
- 雇用保険が適用される
《デメリット》
- 収入を大きく伸ばすことは難しい
- 被用者のため人に指示される立場である
- 社外で通用するスキルが身につくとは限らない
経済的安定性 | セーフティネット | 自由度 | |
---|---|---|---|
独立 | 低 | なし | 高 |
転職 | 高 | あり | やや低い |
独立した人の多くが感じることとして、「会社員は非常に優遇されている」という点が挙げられます。
安定収入と休日が保証されているだけでなく、社会保険をはじめとするさまざまなセーフティネットは会社勤めをする人のために設計されているからです。
とくに経済的な面で安定を手放すことが「恐ろしい」と感じる人にとっては、転職のほうが向いていると言えるでしょう。
近年では副業解禁の動きも加速していますので、たとえば会社勤めを続けながら副業で事業を始め、軌道に乗った段階で独立を検討するという方法も考えられます。
自分は転職と独立どちらが向いているか、迷ったときに考えるべきこと
ここまで見てきたように、転職と独立はそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらがより良い道であるのかを一概に決めることはできません。
そのため、転職するか独立するかを迷った場合には、自分にとってどちらが向いているのかを見極める必要があります。
転職するか独立するかを考える際には、「どうしても実現したいことは何か」「何を諦められるか」という視点を持つと思考を整理しやすくなります。次の3つの視点で「実現したいこと」「諦められること」を判断してみてください。
やりたいことを会社員として実現する方法は「全くない」か?
独立したいと考える人の多くが、会社勤めが窮屈だと感じているはずです。
では、会社勤めを続けながらやりたいことを実現する方法は皆無なのでしょうか。
被用者として多少の制約はあったとしても、会社員を続けながらやりたいことを実現するすべがあれば、それがベストな選択ということになるはずです。勤務先の経営資源を活用しながら、リスクを最小限に抑えて自分のやりたいことを実現できるからです。
一方、現在の職場で働き続けようと、転職して別の職場へ行こうと、やりたいことをどうしても実現できそうにないのであれば、「安定収入など会社員としてのメリットを諦めてまでやりたいか」を自身に問いかけてみましょう。
独立直後は社会的信用もないため、会社員時代には何ら難しいと感じなかったクレジットカードの審査やローンの審査に通らなくなることも考えられます。
そういった社会的な立場の変化も考慮した上で「それでもやりたい」と強く思えるかどうかがポイントです。
メンタル面や実生活上で何を「苦痛」と感じるか?
独立しないほうがいい人の特徴として「安定志向」であることが挙げられます。
銀行口座の預金残高がみるみる減っていくことに耐えられない人や、常に頭の中から事業のことが離れず、会社員時代のように気が休まるひとときがなくなってしまうことが苦痛と感じる人は、転職の道を選ぶほうがいいでしょう。
反対に、現状では会社員として実現が難しい自由度の高い働き方をしたい人や、既存のどの会社でも扱っていない事業を展開したいと考えている人は、独立の道を選んだほうが目標を達成できる可能性が増します。
ただし、「世の中のどの会社も扱っていない事業」に取り組みたいと考えている場合、その事業をどの会社もやりたがらない合理的な理由があるのでは?と一度疑ってみる価値はあります。
「アイデアとしては面白いものの、採算が合わない」「市場に需要がなく、商売にならない」といったことも考えられるからです。
生きていく上で優先したいことは何か?
これからの人生において、何を実現し成し遂げたいのか、といった巨視的な見地から考えてみましょう。
「家族との時間を大切にして、子どもの成長を見守ること」を優先したい人は、独立というリスクの高い選択をするよりも、堅実に会社勤めを続けたほうがその夢を叶えやすいでしょう。
「自分で事業を育てて、組織に依存しない生き方をしたい」という人は、会社勤めを続ける限りはその目標を完全に達成することは難しくなります。「組織に依存しない」のがスキル面でのことであれば、前述のように副業として会社勤めと並行して始めるという選択肢もあります。
生きていく上で何に重きを置いていきたいかは、人それぞれ異なります。
平均寿命が伸び、現役で働く期間が今後ますます長くなっていきます。自身にとって、これから続いていく人生をより実り多いものにしていく上で「独立」がベターな選択肢だと感じられるのであれば、今後のキャリアの選択肢として独立を視野に入れておくのもありでしょう。
まとめ)転職か独立か、悩んだ状態で歳月が過ぎていくのは避けたい
独立という選択は、決して軽々しくできるものではありません。家族がいる人にとっては、さらにその判断は重いものになるはずです。
ただし、「転職するか、それとも独立するか」を決められないまま、歳月だけが過ぎていくのは非常にもったいないことです。
あとになって「もっと早く決断しておくべきだった」と思ったとしても、過ぎ去ってしまった時間はもはや絶対に戻ってこないからです。
「いつかは独立したい」と思っていても、その「いつか」が自然とやってくることはありません。
決断するのであれば、思い切って決断したほうが後悔しないで済むこともあります。その決断を下すにあたって、この記事で紹介したポイントを役立てていただければ幸いです。
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