「ロールモデルはもういらない?」 これからの働き方で意識したい、新しいロールモデルの捉え方
[最終更新日]2022/12/15

近年「働き方改革」に代表されるように、労働のあり方や価値観は大きく変化しつつあります。
労働の捉え方に世代間ギャップが生じることもあり、「ロールモデルが見つからず悩んでいる方」、もしくは「ロールモデルは不要と考えている方」は多いのではないでしょうか?
しかし一方でロールモデルに対する新しい考え方も生まれています。今回はそんなロールモデルのメリットや見つけ出す方法、そして労働が多様化する時代でのロールモデルの新しい捉え方をご紹介します。
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Index
目次
そもそも、ロールモデルとは?
ロールモデル(a role model)とは「自分の模範となる人物像」を意味します。模範となる側面は仕事の進め方や姿勢の他にも、考え方やライフスタイルなど多岐に渡ります。ロールモデルには以下のような役割が期待されます。
目標であり比較対象
ロールモデルは自分のなりたい方向性を具体的にした姿であり、目標となります。時にはロールモデルと自分を比較することで、自分の立ち位置や不足部分を認識することに活用できます。
自分の行動や思想の指針
「憧れの〇〇さんならこうするだろう」「こんなことをしていたら〇〇さんのようにはなれない」など、ロールモデルは何かを判断する際の指針となります。
ロールモデルと混同されがちなものとして「メンター」が挙げられます。
先輩社員が個別に後輩社員に対し、仕事はもちろん、精神的なサポートを行う制度をメンター制度と言い、その先輩社員をメンターと呼びます。
メンターがロールモデルであるに越したことはありませんが、メンターはあくまで後輩社員をサポートする役割であり、必ずしも後輩社員のロールモデルではありません。
ロールモデルの対象は、「社内の人」、「特定分野の著名人」、「歴史上の人物」等 様々

ロールモデルと言えば社内の人というイメージはないでしょうか?
ロールモデルは身近な人であればコミュニケーションをとることもでき、より具体的な目標となります。しかし社内でなくともロールモデルの対象となりうる人は数多く存在します。
例えば特定分野の著名人や歴史上の人物などが挙げられます。
自分から遠い存在である分、新しい考えや生き方を持つ人も多いでしょう。
自分のロールモデルを探すには、様々な人と会うことに加え、様々な情報に触れることが重要です。新聞や雑誌、テレビや本などから思わぬロールモデルを見つけられるかもしれません。
ロールモデルを設定すると、どんなメリットがある?

ロールモデルは不要だという意見もありますが、ロールモデルには以下のようなメリットがあります。
モチベーションを上げる
目標が特にない方はモチベーションを保ちにくい傾向にあります。しかし自分の目指すロールモデルを見つけたなら、自然とロールモデルに近づけるよう行動するでしょう。ロールモデルは目標となり、向上心をもたらす存在です。
自分の目指す方向性を具体化する
「海外で経験を積み管理職になりたい」など自分の目指す姿があると思いますが、具体的な達成方法をイメージするのは難しいですよね。
そんな憧れの目標に近い、もしくは達成しているロールモデルは、成功に至る考えや行動例を示してくれる存在です。ロールモデルを設定すれば、自分の目標までの道筋をより具体化できるでしょう。
ロールモデルの設定は個人だけでなく会社視点でのメリットもあるため、会社がロールモデルの設定を推奨する場合もあります。
例えば若年層に対してロールモデル例を示すことはキャリア開発を促す1つの手法となります。
また女性社員が「キャリアの見えづらい社内マイノリティになっている」という企業は、そういった対象に対して推奨するロールモデルを紹介すれば、社員の意識向上に繋がるとされています。
一方で、「近くにロールモデルがいない・見つからない…」という人も多い
働き方や価値観が多様化する中、ロールモデルが見つからないという方も数多くいらっしゃると思います。そのような方は、以下のような古典的ロールモデルの考え方をしてはいないでしょうか?
ロールモデルは社内で見つけるべきである
「職場でロールモデルが見つからない」と思う方も多数いらっしゃると思いますが、対象を社内に固執する必要はありません。例えば社外なら自分の憧れる生き方をされている方もいるかもしれませんし、雑誌やテレビで特集されるような芸能人でも対象になりえます。
自分とぴったりの1人を選ぶべきである
「自分と境遇やキャリアの近い人が見つけられない」という方も予想されます。多様化する中自分と完全に一致する対象を見つけることは困難です。境遇に関わらず、自分の理想を実現している方をロールモデルとすることをおすすめします。
例えば女性社員であった場合、一昔前までは「会社勤務で適齢期に結婚」と同じ道を歩む人が多く、古典的ロールモデルの考え方でもロールモデルを見つけることはできたでしょう。
しかし最近では新しい選択肢や価値観が増え、そういった「古典的ロールモデル」を維持することは困難になりつつあります。
「ロールモデルがいない…」という気持ちが強い時は、「青い鳥症候群」「ロールモデル症候群」になっていないか注意を。

古典的ロールモデルの考え方が強いと、以下のような考え方になり悪循環を起こしている恐れがあります。
身近な良い人を見落としがちな「青い鳥症候群」
「もっと良いロールモデルがいるのでは」とばかり考えてしまい、周りの良い人を見落としてはいないでしょうか?向上心は大切ですが、周りにはいないと決めつけていては、尊敬できるロールモデルを見落としているかもしれません。
ロールモデルに固執してしまう「ロールモデル症候群」
ロールモデルを探すも見つからず、「自分が成長できないのはロールモデルがいないからだ」と感じていませんか?ロールモデルに固執し他責的になると自分の損になってしまいます。
まずは自分のキャリア像を考えてみる、ロールモデルのことは考えず様々な人に会う、人の良い所探しをする、など心がけてみましょう。
ロールモデルは自分を高める手段となりえますが、無理に設定するものではありません。
自分の「こんなふうになりたい」という気持ちが重要です。
人の考え方は常に変化するものです。すぐに見つからなくても焦ることはありません。
これからの働き方にマッチしやすい、「モザイク型ロールモデル」

前章にて「社内で自分とぴったりな1人を選ぶ」といった古典的ロールモデルの考え方をご紹介しましたが、働き方やワークライフバランスのあり方が多様化する中、このような考え方ではロールモデルを見つけることは非常に困難です。
そこで最近では時代に沿った新しいロールモデルの考え方として「モザイク型ロールモデル」というものが提唱されています。
モザイク型ロールモデルとは
古典的ロールモデル | モザイク型ロールモデル | |
---|---|---|
考え方 | 社内で自分の理想となる1人をロールモデルとする | 多数の人の良い所を組み合わせてロールモデルとする |
特徴 | ・多様化する時代では見つけにくい ・偏りがちである | ・環境や時代とは無関係に見つけられる ・自分だけの理想像とする |
古典的ロールモデルが「全てを総合して理想的な1人」であるのに対し、モザイク型ロールモデルは「様々な人の良い部分をモザイクアートのように組み合わせたロールモデル」という考え方です。
現代では選択肢が多様化し、人によってキャリアは千差万別です。そもそも人間は良い所もあれば悪い所もあり、自分のロールモデルを1人決めることは難しいでしょう。しかしモザイク型ロールモデルなら、自分の趣向に合わせて人の良い部分を切り取り形作ることで、自分の理想的な人物像を作り上げることができます。
よくロールモデルは不要という意見の中で、「ロールモデルの設定は個性を消してしまうから」という意見があります。
しかしモザイク型ロールモデルなら自分の良いと感じた部分を集めるため、自分の個性を生かしたロールモデルとなるでしょう。
モザイク型ロールモデルの活用法
それではモザイク型ロールモデルとはどのように形成し、活用すれば良いかをご紹介します。
思いついた人の良い部分を取り入れる
自分の趣向や様々な側面で人の良い部分を取り入れてみましょう。全く同じように取り入れても良いですし、自分に合うように応用することもできます。
「こうはなりたくない」悪い部分は反面教師とする
良い部分だけでなく悪い部分も活用しましょう。自分はこうならないようにしようという部分も反面教師としてロールモデルの要素となります。
自分のキャリアステージによって適宜組み替える
生涯大事にしたいという要素と、この年代まではこうありたいなどキャリアステージによって異なる要素もあると思います。
モザイク型ロールモデルなら部分的に簡単に組み替えられるので、適宜環境や年齢に合わせてロールモデルを考えてみましょう。

人は知らないうちに、近くにいる人の影響を受けるもの

ロールモデルを設定したら、できるだけロールモデルの要素を持つ人と接点を持つようにすることをおすすめします。なぜなら人は無意識に日頃一緒にいる人の影響を受けるからです。
「あなたはもっとも多くの時間をともに過ごしている5人の平均である。」 ──Jim Rohn
引用元:https://peco-ken.com/%EF%BD%8Dirrorneuron/
「自分は一緒に長い間過ごしてきた人の5人の平均である」という説があります。
なぜなら人には「ミラーニューロン」という細胞があり、目の前で起きたことを無意識に真似するようになっているからです。
そういえば友人と話し方が似ていると言われる、恋人と食べ物の好みが似てきている、などということはないでしょうか?
自分では真似しようと思っていなくても、知らないうちに影響を受けているのです。
自分を変えることはなかなか難しいというのは、周りのこうした影響を受けているからとも言えますね。
どうせ影響を受けるなら、意識して「(自分にとって)プラスになる部分」の影響を

周りから受ける影響とは、もちろん自分にとってプラスの影響もあればマイナスの影響もあります。
例えば塾のクラスは少し無理して上位のクラスで授業を受ける方が、成績が伸びやすいと言われています。
逆に余裕をもって下位のクラスになってしまうと、そのままずるずると成績が落ちるということもよくあります。
ロールモデルを設定してみると、「ずっと愚痴ばかりだな」「自分はもっと頑張りたいと思っているのにな」など、今まで居心地の良かった集まりに違和感があるかもしれません。
せっかくロールモデルを設定したのにずるずると周りに引きずられてしまいそうだと感じるなら、思い切って違うグループの人たちと交流してみるのも良いでしょう。
またいつも同じメンバーとの交流では、安心感は得られますが新しい発見はないかもしれません。ぜひ交流の輪を広げることをおすすめします。
ロールモデルの要素を持つ人と交流することは、自分がロールモデルに近づくことに繋がります。意識してプラスの影響を得られるように、交流する人も変えてみましょう。
まとめ)モザイク型ロールモデルを成長の指針にしよう
「ロールモデルは不要だ」「ロールモデルが見つからない」と考える方は、古典的ロールモデルである「自分にぴったりの1人」をロールモデルに据えようとしているのかもしれません。
大きく労働のあり方が変わり、ワークライフバランスも人それぞれとなりつつある現代では、古典的ロールモデルを設定することは困難でしょう。
人は誰しもが良い所もあれば欠点もあります。
自分の価値観に合う「こんなふうになりたいな」「こうはなりたくないな」と感じた部分を集め、自分にとってのモザイク型ロールモデルを設定しましょう。周りの人の良さに気づくと同時に、あなたの成長の指針となるでしょう。
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