営業トーク術は普段のコミュニケーションでも役立つ? 日常シーンでも活用できる会話術6選

[最終更新日]2020/08/18

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日常で応用できる会話術6選

皆さんは「人と話すこと」が得意ですか?
たとえば、仕事やプライベートで次のような場面をイメージしてみましょう。

  • 初対面の人と話すとき
  • 同僚や部下、上役と話すとき
  • 家族やパートナー、友人との会話

会話が自然と続くような、気持ちのよいコミュニケーションを図ることができているでしょうか。会話が盛り上がり、相手が笑顔になってくれるでしょうか。

人とのコミュニケーションに正解はありませんので、会話が得意でない人はもちろんのこと、現状で苦手意識のない人もブラッシュアップすれば会話力を上達させることは可能です。

今回は、営業トーク術として知られている手法を紹介しながら、日常会話の中で活用する方法について考えていきます。実際の会話例も載せていますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

#1 返報性の原理

#1 返報性の原理

返報性の原理とは「人に何かしてもらうと、お返しをしたくなる」という心理です。

たとえば、人から何か贈り物をされるとお返しをしたいと感じたり、SNSで「いいね」を押してもらったら相手にも同じことをしてあげたくなったりした経験は誰にでもあるでしょう。

「何かしてもらったらお返しをするのは、心理というよりマナーなのでは?」と思うかもしれません。
もちろんマナーとして必要な面もあるのですが、日常のちょっとした会話の中でも「相手がしてくれたことを自分もしなくては」という気持ちになるものです。これは人間の深層心理にある普遍的な欲求と言えます。

返報性の原理には「自己開示の返報性」も含まれます。相手が自己開示してくれたら、自分も同じ程度の自己開示をしたくなる心理です。

これを会話に活かすことで、コミュニケーションがより深く、記憶に残りやすいものになるだけでなく、相手をより理解することにもつながります。

ただし、「自分のことを知らせたのだから、あなたも教えるべきだ」といった無理強いは禁物です。あくまでも自然に心を開いてもらえるよう、会話の流れの中で自分に関する情報を少しだけ踏み込んで開示してみましょう。

「返報性の原理」を活用した会話例

——初対面の相手との名刺交換にて

「〇〇様ですね。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「〇〇様という苗字の方は、私の地元によくいらっしゃいますよ」
「地元はどちらですか?」
「△△県の××市というところなんです」
「そうですか!私、同じ県内の□□市出身です。奇遇ですね!」

名刺交換は形式的に済ませてしまいがちですが、相手と共通の話題を見つけるチャンスになる場合もあります。この会話例では、名刺に書かれた苗字から「自分の出身地をまずは教える」ことにつなげています。

地元が近いことが分かると、急に親近感が湧くものです。もし相手が自分とは違う地域の出身だったとしても、ただ名刺交換だけを交わした相手よりも「△△出身の〇〇さん」と覚えてもらうことができるでしょう。

#2 ミラーリングとペーシング

#2 ミラーリングとペーシング

ミラーリングとは「鏡」となること、つまり動作姿勢、表情を相手と同じように合わせることを指します。
「息が合う」という表現があるように、雰囲気や動作のタイミングが似ている相手に対して、人は親近感や好意を抱きやすいという性質があるのです。

ページングは聴覚情報を相手に合わせることを表します。話し方や声の大きさ、話すテンポやリズム、トーンなどを相手に合わせるのです。

話しぶりには人の心境が反映されますので、自分と同じトーンで話してくれる人に対して安心感を抱くケースが多いのです。

ミラーリングやページングは「相手のまねをする」ことで実践できるため、比較的取り入れやすい手法と言えます。

ただし、あまりわざとらしくなってしまうと「この人は私のまねをして、からかっているのだろうか?」と思われてしまう恐れがあります。

ミラーリングもページングも、前提として相手のことに関心を持ち、もっとよく知りたいと思う気持ちから、自然と相手に合わせたいという心境になるのが望ましいでしょう。

「ミラーリングとペーシング」を活用した会話例

——部下からの報告を受けている際に

「部長、実はもう1つ報告したいことがありまして……(部下が身を乗り出す)」
「何?どうしたの?(自分も身を乗り出す)」
「(声をひそめて)こないだ断られたA社、さっき急に電話がかかってきて、やっぱり検討したいそうなんです」
「(自分も声をひそめて)本当に?やったな!」
「けっこう何度も足を運びましたから(笑顔になる)」
「そうだったよなぁ。行った甲斐があったな(同じように笑顔になる)」

この例では、部下のしぐさや声のトーン、表情を同じようにまねているのですが、部下の立場になってみると「話しやすい」「きちんと話を聞いてくれている」と感じるのではないでしょうか。

もし上司がぶっきらぼうに「どうしたの?」と聞き返し、部下が笑っても上司は無表情のままだったとしたら、「せっかく良い報告ができたのに、あまり興味がないようだ」と感じるでしょう。

このように、言葉では同じことを伝えているようでも、相手に合わせたしぐさや表情をすることで「興味を持ってくれている」と伝える効果が生まれるのです。

#3 バック・トラッキング

#3バック・トラッキング

バック・トラッキングとは「オウム返し」のことです。つまり、相手が言ったことをそのまま返すことを指します。

人は自分の話に耳を傾けてくれる相手、興味を持ってくれる相手に好意や安心感を抱きます。

「だからと言って、ただ相手の言ったことを繰り返すだけでいいの?」と思うかもしれませんが、言われたことを繰り返すということは、きちんと話を聞いていると伝える効果があるのと同時に、相手にとっては自分が話した言葉を確認しつつ思考を整理することにもつながります。

ただし、本当に機械的な「オウム返し」をするのは逆効果ですので避けましょう。

バック・トラッキングの重要なポイントは「感情が込められていること」です。
相手の言ったことを理解し、受け止めていることが伝わるかどうかは、感情が込められているかどうかにかかっています。

相手が次に続ける言葉を発しやすいよう、会話のテンポや間合いに気を配りながら繰り返しを入れていくことが大切です。

「バック・トラッキング」を活用した会話例

——上役との会話にて

「最近、どうも腰が痛いんだよ……」
「……腰が痛いんですか?」
「うん、もともと腰痛持ちというわけでもないのだが……」
「腰痛持ちではないんですね」
「そうなんだよ、週末に半日かけて庭の草むしりをしたのが良くなかったのか」
「半日かけて庭の草むしりをしたんですね」
「けっこうキツかったよ、無理な姿勢を続けるのは良くないなあ……」

この例では上役が言ったことをほぼそのまま繰り返しているのですが、上役からすれば自分の話にきちんとついてきてくれる、という印象を持つでしょう。

「腰が痛い」と言われて「それは大変ですね」などと応じるよりも、痛くなった状況や原因についてより詳しく話そうという気持ちになりやすいはずです。

このように、バック・トラッキングを活用することで相手は会話を続けやすくなり、結果的に「話しやすい」「会話が楽しい」という印象を持ってもらえる可能性が高くなります。

#4 イエス・セット

#4 イエス・セット

イエス・セットとは、繰り返し「イエス」の相槌を打っていると、続けて「イエス」の返事をしたくなる心理にもとづく手法です。

イエス・セットの効果は「一貫性の法則」と呼ばれる心理法則で説明できます。私たちは無意識のうちに自分の行動に一貫性を持たせたいと感じています。誰もが「あの人は考えがコロコロ変わる」と思われたくないので、意識しないうちに一貫した行動を取っていることが多いのです。

イエス・セット法のポイントは、本当に「イエス」の返事がほしい質問の前に、「イエス」と必ず答えると思われる質問をしておくことです。小さな「イエス」を積み重ねておくことで、より大きな「イエス」をもらいやすくなる、というわけです。

本来、イエス・セット法は「断りにくくするための手法」なので、あまり露骨な使い方をすると「強引な人」という印象を与えかねません。

日常会話においては、できるだけ肯定的な返事を引き出す質問をするよう心がけることによって、前向きな気持ちになってもらうための方法と捉えるといいでしょう。

「イエス・セット」を活用した会話例

——部下との会話で

「明日はB社のアポイントが入っているよね」
「はい」
「11時スタートだよね」
「はい、そうです」
「良い返事がもらえるといいね」
「はい、そう思います」
「今回から同行しないけど、誠実に話せばきっと大丈夫だよ」
「はい、頑張ります」

この例では、ひとり立ちする若手の部下の不安を払拭し、前向きな気持ちで商談に向かってもらうためにイエス・セットを活用しています。イエス・セットでは必ず「イエス」を引き出せる質問を3回重ねたのちに、本命の質問をするのがポイントです。

アポイントが入っている日付や時刻、相手先はあらかじめ確認しておき、確実に「はい」の返事を引き出します。

「良い返事がもらえたほうがいい」のは間違いないので、ここで「いいえ」とは答えないでしょう。そして、上司が同行しなくても一人で商談をやり切ってみせるという意味を込めた「はい」を部下から引き出すのです。

#5 オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

#5 オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

会話が続かない・弾まないことがよくある人は、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分けることを心がけましょう。

「はい」「いいえ」で答えられる質問がクローズドクエスチョン、「はい」「いいえ」では答えられない質問がオープンクエスチョンです。

クローズドクエスチョンは「はい」「いいえ」しか答えがないので、聞かれた相手にとって負担の少ない質問と言えます。

反対にオープンクエスチョンは相手が言いたいことを自由に話せるため、興味のあることや話したいと思っていることを語ってもらうのに適した質問です。

まだあまり親しくない相手にはクローズドクエスチョンから始め、相手の興味関心を見極めて徐々にオープンクエスチョンを投げかけるようにすると、会話が続きやすくなります。

注意点として、質問する側にとってオープンクエスチョンは「楽な質問の仕方」なので、つい多用しがちです。

しかし、相手にとっては抽象的で答えづらい質問になっていることがありますので注意しましょう。部下に何気なく「調子はどう?」などと尋ねるのは、答えにくいオープンクエスチョンの典型です。

「オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン」を活用した会話例

——部下との会話にて

「〇〇くんは、ふだん昼は外に食べに出ているの?」
「はい、ほぼ外食ですね」
「大雨の日でも?」
「そうです、わりと近場が多いので」
「近場だとラーメン屋ぐらいしかないけど、ラーメンが好物なの?」
「そこまで好きってわけではないです」
「どんな食べ物が好き?」
「そうですね、頻繁には行けないですけど、焼肉が好きですね」

ランチは外食かどうか、大雨でも外食するのか、ラーメンが好きか、といった質問は「はい」「いいえ」で答えられるので、相手にとってあまり考える必要のないクローズドクエスチョンです。

それに対して好きな食べ物は何か、というオープンクエスチョンでは、相手は答えを頭の中で用意する必要があります。

唐突に「好きな食べ物は?」と聞かれると、聞かれた側は戸惑ったり答えに困ったりすることがありますが、それまでの会話の流れがあればスムーズに答えやすくなります。この会話に登場した部下が頑張って良い結果を出したときには、焼肉をごちそうすると喜んでくれるでしょう。

#6 傾聴

#6 傾聴

会話術と聞くと自分が「話す」ことをイメージしがちですが、会話においては自分が話す以上に相手の話を「聞く」ことが重要です。

傾聴とは相手が言いたいこと、伝えたいことにていねいに耳を傾け、肯定的な関心を寄せながら共感的理解を示す聞き方のことを指します。

人は自分の言いたいことを理解してくれる人や、自分の話に耳を傾けてくれる人に好意や信頼感を抱きやすいため、「興味を持って聞いてくれる」という印象を持ってもらうことができれば会話が弾むようになるでしょう。

会話のあとで記憶に残りやすいのは、相手から聞いたことよりも自分が話したことの割合が高いと言われています。

ときどき「傾聴」を心がけているつもりでも、相手から聞いた話に自分が知っている情報や考えを付け足そうとしがちな人がいます。

このように話を「被せる」ようなことをすると、相手は「伝えたいことがあったのに、話の腰を折られた」と感じることがありますので注意が必要です。

「傾聴」を上手に行うポイント

傾聴は、いわゆる「聞き上手」になるための手法です。聞き上手になるには、何よりも相手に気持ちよく話してもらうことが大切です。話しやすいと感じてもらう上で重要なポイントとして、次の3点が挙げられます。

  • 相手がより話しやすくなるよう、「頷き」や「相槌」、そして「表情」で働きかけること
  • 確認や要約で、互いが話の内容を整理する助けをすること
  • 相手に関心を持ち、相手を理解したいと思い続けること

聞くことを重視すると言っても、気のない返事をしているように聞こえたり、興味がなさそうな聞き方をしていたりするようでは、相手は話す気をなくしてしまいます。

相槌を打つのはもちろんのこと、「うん」や「はい」以外に「そうなのですか?」「たしかに」など、相槌にも変化をつけるといいでしょう。

ときどき話の内容を整理するように、「〜ということですね?」と確認を入れたり、前述の「ページング」と組み合わせて相手の話に関心を寄せて聞いているというメッセージを送ったりするのも有効な方法です。

傾聴は短期間で上達させるのは難しいかもしれませんが、大切なのは小手先の技術よりも「相手のことをもっと理解したい」と本心から思うことです。

人が話す内容や話し方を参考にする意味でも、相手の話に耳を傾けることは良いトレーニングになるでしょう。「興味を持って聞く」という姿勢を大切にすることで、少しずつ聞き上手になっていくことができるはずです。

まとめ)日常の会話を工夫すればコミュニケーションはもっと楽しくなる

今回紹介してきた会話術は、主に営業トーク術としてセールスや交渉の場でよく使われているものです。

しかし、会話例にもあるように日常シーンの会話で活用することで、コミュニケーションをより円滑なものにしたり、会話の相手への理解を深めたりすることにも役立ちます。

日常生活で交わす会話に工夫を加え、ブラッシュアップを試みることによって、コミュニケーションはさらに楽しく有意義なものになっていくはずです。

会話が楽しくなれば人と話す楽しみが増えますので、ますます話すのが上手になっていくという好循環を作ることができるようになります。

ぜひ明日から身近な方々との会話に取り入れて、コミュニケーションをレベルアップしていきましょう。

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