四角い会議を丸くする、「アイスブレイク」。 会議進行役やファシリテータは複数持っておく!
[最終更新日]2023/11/03
会議が長引いて退屈であったり、せっかく会議を開いても、参加メンバーが充分に打ち解けていなかったりして、思うように議論が進まないことは、皆さま経験あるかと思います。
そうした場合の対処法として、「アイスブレイク」というものがあることはご存知の方も多いと思いますが、「実際に活用している」という方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
特に、会議の進行役やファシリテーターの役割を担う方でしたら、場の活性・充実化を目指す上で、「(必要とあらば)いつでもアイスブレイクを活用できる」状態にしておくと、何かとメリットもあることでしょう。
今回はそんな、「集団での議論・話し合い」の際に役立つ「アイスブレイク」の概要と具体的な進め方について、詳しく見ていきたいと思います。ぜひご参考ください!
Index
目次
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アイスブレイクって?
さて、まずはアイスブレイクというものが何なのかについて、説明しておきましょう。
「アイスブレイク」とは、商談・会議・プレゼンなど様々なシーンで、お互いの緊張やこう着状態をほぐし、有益な対話の場を醸成していくための手法です。
単純に上席者などが商談の最初で雑談をすることなどをアイスブレイクと呼ぶ場合もありますが、今回紹介するのは、誰でも簡単にできるゲームやグループワークの形式をとるアイスブレイクです。
初対面でお互いのことがよくわからないので会話が弾まない時、大事な場面で緊張している時、会議が長引いてこう着状態になっている時などに、「アイスブレイク」を間に挟むことによって、緊張がほぐれて場が和み、会話や議論を弾みやすくすることができるのです。
アイスブレイクで期待できる効果は──
アイスブレイクに期待される効果は、大きく分けて以下の3点が挙げられます。
- ① 緊張を解きほぐす
- ② 話しやすい雰囲気づくり
- ③ 議論を前進させる
1点めは主に初対面であったり、非常に大事なプレゼンなど緊張しやすい場面での活用が想定されます。アイスブレイクにより緊張がほぐされ、その後の議論やプレゼンがスムーズに進められるでしょう。また2点めは会議の長期化や、意見が出なくなり硬直状態になった際に有効です。
最後はより高度な利用方法で、議論に役立つようなテーマや目標を設定し、ゲームやグループワークをしながら議論に関するアイデアを出していくようにすれば、アイスブレイクをしながら議論を前進させることができるという一石二鳥の効果があります。
このように比較的簡単に得られる効果として「緊張緩和」「雰囲気づくり」があり、更に高度な手法を用いれば「議論前進」にも、アイスブレイクは活用できるのです。
どんなときにアイスブレイクを使える?
さて、アイスブレイクは様々な場面で使用することができます。まずここまで紹介した通り、会議や商談・プレゼンの場において非常に有効ですが、そのほかにも様々な場でアイスブレイクは活用が可能です。
例えば、会社やプライベートでの「飲み会」。 飲み会は、始まってすぐの時間は思うように盛り上がらないということもあるでしょう。そのような飲み会始めのタイミングでアイスブレイクを実施することで、早いタイミングから場が和み、盛り上がることが期待できます。
同様のことはディナーやランチ、カフェなどの集まりの場でも言えます。特に、初対面や交流の浅い人たちが集まる際には高い効果を発揮し、これをきっかけに関係が深耕されることだって期待できます。
早速実践してみよう!おすすめのアイスブレイク厳選5集
ここからは、実際に活用可能なアイスブレイクを5つ紹介します。
重宝するアイスブレイクのポイントとしては「誰でも知っている」もしくは「すぐにルールを覚えることができる」ということです。参加者の中でアイスブレイクに参加できない人が出てしまっては意味がありません。ここではこれらのポイントをしっかり押さえたアイスブレイクを厳選して紹介します。
歯がゆいしりとり(絵しりとり)
まずは「歯がゆいしりとり」。アイスブレイクの鉄板です。
「絵しりとり」と呼ばれることもありますが、描いた絵でしりとりをしていくもので、会話をしたり口頭で説明をすることは禁止されております。絵が下手すぎてわけがわからなくなったり、逆に意外な才能を発揮する人が出てきたりと、手軽ながら非常に盛り上がるアイスブレイクですので、よく利用される手法です。
歯がゆいしりとり(絵しりとり)のルール・手順
準備物 | 紙とペン |
---|---|
ルール | 絵でしりとりを進めていく。ゲーム中は話してはいけない。 |
歯がゆいしりとり~手順~
- ① いくつかのグループ(1グループ内3~5人)に分かれ、グループで順番を決める
- ② 最初の人はしりとりの「り」で始まるものを絵に描く
- ③ 次の人は最初の人が描いた絵を見て何か当てた上で、その絵にしりとりでつながるものを描く(何を描いたか言い当てることはしない)
- ④ 3~5分間の間、③の内容を繰り返し、最後にグループ間で何個絵を描けたかを競う。※途中で絵の解釈を間違ってしりとりの繋がりが経たれてしまった場合、そこまででカウントする。
歯がゆいしりとり(絵しりとり)の効果
- 絵を活用することで会議での発言力とは無関係に楽しめる
- ゲーム中に発言を抑制されることで「話したい」欲求が高まり、その後の議論が活性されやすくなる
- 簡単に盛り上がる
歯がゆいしりとりがアイスブレイクとして最も優れているのは、上記効果の2点目に挙げた「ゲーム中に発言を抑制されることで「話したい」欲求が高まり、その後の議論が活性されやすくなる」ということです。
議論の場が発言しにくい(または誰もが発言したくない)雰囲気になった際に、アイスブレイクで「歯がゆいしりとり」を行うと、それまでは「話すこと」に感じていたストレスが、逆に「話せないこと」にストレスを感じるようになり、その結果、終えた後に発言が増加しやすくなるのです。
また、「そもそも発言が苦手な人」「なんとなく、今は発言したくないと思っている人」もこちらのアイスブレイクでしたらすんなりと入れますので、参加者同士でまだ打ち解けあっていないようなシチュエーションでも有効です。
キーワード連想ゲーム
続いては、「キーワード連想ゲーム」です。
特に日本人はそうですが、同じ考え方を持つ人を見つけるとそれだけで安心するものです。このゲームは自然にそのような機会を見いだしていけるゲームです。
とあるテーマを提示した後、それぞれが紙に連想されるものを書き、同じものを書いた人がいればいるほど高得点となるものです。こちらも紙とペンがあれば簡単に行うことができるので、会議などにおけるアイスブレイクとしてよく利用されます。
キーワード連想ゲームのルール・手順
準備物 | 付箋とペン |
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ルール | 代表者、ファシリテーターが「テーマ」(例:「『お給料』と聞いて、すぐに思い浮かぶのは?」、「今、この場に『これがあったらよいな』と思えるものは?」、「うちの会社(チーム)は、一言で言うと?」)を決め、参加者は人に見えないようにテーマから連想されるものを記入。もし同じものを書いた人がいれば1ポイントとし、多く合えば合うほど高得点となる。 |
キーワード連想ゲーム~手順~
- ① 参加者全員に紙とペンを配る
- ② 進行役が「テーマ」を発表する
- ③ 参加者は「テーマ」から連想されるものを、他の人から見えないように付箋に書く
- ④ 全員が書き終わったら一斉に付箋をお互いに見せる
- ⑤ 同じものを書いた人がいたら1ポイント、もし複数人で合ったらそれだけ高得点とする
- ⑥ 5~10回ほど繰り返し、最も高い得点を得た人が勝ち
キーワード連想ゲームの効果
- 場に一体感が生まれる
- 同じ考えを持つ人がいて安心感がある
- 逆に意外な発想を持つ人がいた場合も交流の機会になる
- お互いの考え方の一端を知ることができる
連想ゲームはおそらく会議の議題と関係のないテーマで行われることが多いですが、それでも不思議なことに相手の考え方や思考のプロセスの一端を感じ取ることができます。
また、あえて議題のテーマに沿って、このキーワード連想ゲームを活用するのもありでしょう。
例えば、一つの課題に対して、「この課題から皆さんが思い浮かべることを付箋に書いてください」と言って進めれば、もしかしたら思いもよらない観点やブレークスルーポイントが現れてくるかもしれません。
そのほか、同じ考えを持つ人を見つけることで、親近感が湧くようになったり、場の硬直した空気が緩和されます。 逆に自分と違う考えを持つ人がいても、それはそれでゲームという場で交流を深めることができるので、議論でいきなりぶつかる、という展開を防ぐことができるでしょう。
アイデア出しの連想ゲーム
クイズ番組などでも時折行われる連想ゲームですが、こちらのルールはそれに少し工夫を加えたもので、何人かのグループになって連想をしていき、りんご→りんごは丸い→丸いは〇〇→と続けていくのですが、最後の人は■■はりんご、と最初の言ったものに戻るルールとなります(別に最初はりんごでなくても問題ありません)なかなか難易度は高いのですが、うまくいけばチームに一体感が生まれます。
アイデア出しの連想ゲームのルール・手順
準備物 | なし。グループ分けをしておく。 |
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ルール | 最初の人が何かお題を決め、順に連想されるものを続けて言っていく。最後の人が最初のお題に繋げられたら成功。チーム対抗形式にしても良い。 |
アイデア出し連想ゲーム~手順~
- ① 対抗形式にする場合は、チーム分けをする(6〜8人くらいが丁度いい)
- ② 最初の人がお題を決める。対抗形式の場合は最初のお題は統一するのもよい
- ③ お題から連想されるもの(「(お題)は〇〇」)といい、次の人がそこから連想するもの(「〇〇は△△」)というように次々につなげていく
- ④ 一週目の最後の人が最初の(お題)に戻れれば成功
アイデア出しの連想ゲームの効果
- チームに一体感が生まれる
- 類推することで議論を深めていく上での頭の体操になる
- 準備が一切いらず短時間でできる
- 本題に関することをテーマにして始めることで議論につながるアイデアが浮かぶ可能性がある
アイデア出し連想ゲームの効果は、連想ゲームをチーム形式にすることでチームの一体感を醸成する効果も期待できるところにあります。また、頭の体操になる、準備がいらないといったところも利点です。
そしてより高度な利用方法として、最初のお題を、本題の議論に直結するものにする、というテクニックもあります。そうすれば本題に関連することを連想することになるので、もしかしたら議論に役立つアイデアが浮かぶことも期待できます。
影褒め
こちらはこれまでのゲーム形式とは違いますが、チームの関係醸成に役立つものです。ルールは簡単で、グループ内でひとりの対象者を決め、進行役が指定する時間(大体3~4分間)において、その他の人たちは対象者のことを褒め続けるのです。
褒める内容はなんでもOKですが、セクハラなど別の問題を引き起こすようなことがらは避けます。一定時間が過ぎたら対象者(褒められる人)を交代して行います。褒められる側はひたすら聞いているだけというのもポイントです。
影褒めのルール・手順
準備物 | なし。グループは3~5人が目安。 |
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ルール | 一方が相手をひたすら褒める。対象は相手が不快に思うようなことでなければ何でもOKが基本。一定時間が過ぎたら褒められる側を交代する。 |
影褒め~手順~
- ① グループ内でひとり、「褒められる人」を決める
- ② 3~4分間、他のグループメンバーが相手をひたすら褒める
- ③ 一定時間が過ぎたら終了し、「褒められた人」はグループに感想を述べる
- ④ ①~③を繰り返す。
影褒めの効果
- チームの関係深耕には大きく役にたつ
- グループワークの最後に行うことで新たな気づきが生まれる
- ポジティブな形で会議やワークショップなどを終えることができる
- 相手のコメントを受け止める姿勢が形成される
このアイスブレイクは、他と異なり会議やグループワークなどの最後に行うと効果を発揮するものです。
お互いを褒めることで関係性が向上するのはもちろんですが、褒める中でその日の会議やグループワークの気づきを得ることも期待できます(大抵数分褒めいていると、その日の議論やワークの内容が自然と混ざってきます)。
また相手の意見を聞いて受け止めるという姿勢が、自然と形成され、建設的な議論がしやすくなります。
後出しじゃんけん
こちらもアイスブレイクでは定番の一つとなっている、「後出しじゃんけん」です。 このルールは集団で行うもので、10人〜数十人の大人数に適したアイスブレイクとなっております。手軽に行うことができ、またなかなか盛り上がります。会議や打ち合わせというよりは、社員旅行やイベントの中で行うことで、簡単に場を和ませることができるアイスブレイクです。
後出しじゃんけんのルール・手順
準備物 | なし。進行役(じゃんけんをする人)1人と多数の参加者がいればOK。 |
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ルール | 進行役は「〇〇(勝って・負けて・あいこになって)ください!じゃんけんぽん」と言ってじゃんけんの手を出します。すぐにもう一度「ぽん」と言ったときに参加者が手を出します。進行役の指示通りの手が出せれば勝ちで、勝ち抜き形式で繰り返していき、最後まで残った人が優勝です。 |
後出しじゃんけん~手順~
- ① 進行役1人を決める
- ② 「〇〇(勝って・負けて・あいこになって)ください!じゃんけんぽん」と言って手を出す
- ③ つぎの「ぽん」で参加者が手を出す
- ④ 進行役の指示通りの手を出せていれば勝ちで、勝ち抜き形式で繰り返していく
後出しじゃんけんの効果
- 簡単にかつ大人数で行うことができる
- 大人数の場を一気に盛り上げることができる
- リクリエーションでのミニゲームとして活用することも可能
後出しジャンケンは簡単なルールで大人数でも簡単に盛り上げることができるのがポイントです。数十人でも簡単にできるミニゲームは意外に思いつかないものですので、こうしたアイスブレイクは重宝します。また、単にアイスブレイクとしてだけでなく、商品を用意するなどして、イベント中のミニゲームとして活用することも可能です。
アイスブレイクを実施するときの注意点
さてここまで紹介した通り、アイスブレイクは様々な場面での緊張緩和や雰囲気づくりに非常に役にたつものですが、いくつか注意点がありますので紹介します。
アイスブレイクは会議やイベントの本編からやや外れるものですので、これらの注意点を守らずにアイスブレイクの効果が得られないとなっては、単なる時間の浪費になってしまいますので、次に紹介する3つの注意点をよく意識しましょう。
- 短時間で終わらせる
- 誰もが参加できる内容やルールにする
- 単なる雑談の場にしてしまわない
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
注意点#1 短時間で終わらせる
短時間、の限度は状況により様々ですが、いずれの場合のアイスブレイクはあくまで「息抜き」の場面であり、会議やイベントの本編ではありません。従ってあまり長い時間をアイスブレイクに浪費してしまっては本末転倒となってしまいます。
特に面白いゲームなどですとついつい時間を使ってしまいがちですが、あくまで雰囲気を和ませて本来の目的を達成させるためのアイスブレイクですので、しっかり本編の議論が捗ることを意識し、アイスブレイクは短時間で終わらせることがポイントです。
概ね会議や商談の場面でしたら数分で充分でしょう。旅行やイベント、ディナーなど本来の目的が息抜きの側面が強い場であれば10分程度くらいまでは許容範囲と言えます。
注意点#2 誰もが参加できる内容やルールにする
アイスブレイクは、会議やイベントなどでそのままにしておくと輪から外れてしまいそうな人まで取り込んでいくことがその目的の一つです。そうすることで全体として和やかな雰囲気を醸成することができるのです。
もし、アイスブレイクをせっかく実施したのに、アイスブレイクに思うように参加できない人が出てきてしまうと、もちろんその人はアイスブレイクの効果を享受することができません。そして1人でも緊張状態の人がいると、結局その場は充分に和まず、アイスブレイクの効果が大きく阻害されてしまいます。
従って、アイスブレイクを行うのであれば「全員が参加できるようなルール、仕組み」を工夫することが重要です。大抵のアイスブレイクは多くの人が参加しやすいルールにはなっていますが、今一度この点留意して内容を選びましょう。
注意点#3 単なる雑談の場にしてしまわない
特に大人数になればなるほど、アイスブレイクを始めるとつい雑談が広がってきてしまいます。これでも空気は和むといえば和むのかもしれませんが、不思議なことにこうした空気の緩め方をさせると、結局本編に戻ったときにもとの緊張した状態に戻ってしまうのです。
アイスブレイクのポイントは一体感を醸成するところにもありますので、ただ雑談で終わってしまっては、アイスブレイクの効果は大きく減退してしまいます。雑談に終わってしまわないようにすることはファシリテーターはもちろんですが、それ以外のアイスブレイク参加者も留意するところです。気持ちは緩めてもいいですが、ゲームにはしっかりと参加する意識を持ちましょう。
スマートなアイスブレイクの活用で本来の目的の達成を
大事な場面であったり、あまり面識のない人同士があつまったり、緊張や硬直状態が発生する局面は社会人においては多いでしょう。そのような場面では、今回紹介したアイスブレイクが非常に重宝します。
議論の停滞、緊張緩和等のためにアイスブレイクをここぞというときに取り入れ、会議や商談の本来の目的が達成されるように、進行の工夫をしてみるといいでしょう。
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