「人間が一番怖い」映画おすすめ10選
[最終更新日]2023/03/11
脳科学者の中野信子さんの著書『サイコパス』(文芸春秋・刊)では、「およそ100人に1人はサイコパス(精神病質)である可能性がある」と述べられています。
ここで言う「サイコパス」とは「他者への共感性が低い」「恐怖や緊張を感じにくい」などの性質を持つ人のことを指し、それらに該当するからといって=凶悪犯罪を起こす人物である、とは限りません。
一方で、「サイコホラー」とカテゴライズされる映画作品に関しては、しばしばこうした「サイコパス」の気質を持つ登場人物による恐ろしい所業が描かれることも多くあります。
この記事では、俗に言う「結局人間が一番恐ろしい」をテーマにしたホラー映画を10本ご紹介します。
幽霊や悪魔とは違った、より身近な恐怖を味わいたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
<スポンサーリンク>
Index
目次
1)『黒い家』(1999年/日本/118分)
【あらすじ】
古都・金沢。昭和生命北陸支社に勤務する若槻慎二は、保険金の請求書類に埋もれ苦闘する日々を送っていた。ある日、若槻は中年女性の声で「自殺でも保険金は下りるのか」という問い合わせの電話を受ける。思いつめたその声の様子に、思わず自殺を思いとどまるようなだめたが、相手は彼の名前を確認すると電話を切った。そして翌日、菰田と名乗る契約者から若槻名指しのクレームを持ち込まれる。
その人間には、心が無い。
『黒い家』は、第4回日本ホラー小説大賞を受賞した小説家・貴志祐介さんの同名作を映画化したものです。
冒頭でも触れた「サイコパス(精神病質)」を題材にした作品で、保険金会社勤務の主人公・若槻を恐怖の底に陥れる夫婦を、大竹しのぶさんと西村まさ彦さんが怪演しています。
原作が発表された1997年当時、「サイコパス」という言葉は日本ではそこまで浸透しておらず、小説『黒い家』では、貴志祐介氏によってざっくりと「感情のない人間」と定義されています。
(ちなみに、貴志祐介氏は2010年に同じくサイコパスの主人公を描いた『悪の教典』で、さらに詳細なサイコパスの記述を行っており、こちらも三池崇史監督によって映画化されています)
物語前半は不可解な挙動・言動を繰り返す菰田夫妻のディテールを丁寧に描き、その正体が明らかとなる後半から物語のトーンは転じて一気に「お化け屋敷映画」のテイストになるという、故・森田芳光監督による手腕も光る「人間が怖い」ホラー映画の代表作の一つです。
黒い家
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
2)『ミザリー』(1990年/アメリカ/108分)
【あらすじ】
ベストセラー小説「ミザリー」シリーズの人気作家ポール・シェルダンは、雪道で事故に遭い瀕死に陥ったところを、近くに住む元看護師の中年女性アニーに救われる。「ミザリー」シリーズの熱狂的な愛読者である彼女は、両足を骨折したポールを献身的に介護するが、新作でヒロインが死んだことを知ると逆上して態度を一変。命の危険を感じたポールは脱出を試みるが……。
物語を愛しすぎたが故の悲劇
世界的なホラー作家として、今なお数々の著作が映画化されているスティーヴン・キングの同名原作を映画化した1990年の『ミザリー』は、「物語への逃避」に固執するあまり、ある凶行に走ってしまう女性の姿を描いたスリリングな一作です。
人気小説家のポールは事故による怪我を介抱してくれたアニーの家で、彼女が自作の大ファンであることを知ります。
新作の展開を知ったアニーは態度を一変させ、自身の望む物語を書き上げるまでポールを監禁してしまいます。
タイトルの「ミザリー」とは、本作の主人公ポールが執筆中の人気シリーズのタイトルです。
アニーは『ミザリー』の世界に耽溺することで、自身の辛い境遇をも忘れることができていたのでした。
人によって「物語」を求める理由は様々かと思います。一時の暇つぶしのために映画や小説に触れる方もいれば、一冊の小説により人生が変わったという経験を持つ方もいらっしゃることでしょう。
アニーは越えてはならない一線を越えてしまいましたが、彼女がそれだけ『ミザリー』を愛していたという気持ち自体は、決して異常なことではありません。
キング氏は同じく作家であるポールというキャラクターに自身を投影していますが、本作を観た多くの方は、大なり小なりアニーへの共感もまた抱くはずです。
ミザリー
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
3)『愛してる、愛してない…』(2002年/フランス/96分)
【あらすじ】
ボルドー。美術学校に通うアンジェリクは、心臓外科医の素敵な恋人ロイックと幸せな時を過ごしている。ロイックには弁護士で妊娠中の妻ラシェルがいるが、離婚は時間の問題。アンジェリクはベビーシッターをしていた縁で、ロイックの隣に留守番として住むことになり、デートをすっぽかされても、1本のバラをくれた日のことを思い出し、ロレックを信じている。しかし、妻と寄り添うロイックを見かけてから、ラシェルに自分の存在を暴露するなど様子がおかしくなる。
『アメリ』の皮を被った身も凍るサスペンス
本作の主演は日本でも人気の高い恋愛映画『アメリ』のオドレイ・トトゥです。その翌年に公開された本作『愛してる、愛してない…』もまた、恋人で医者のロイックとの幸せな日々を描いた恋愛映画の体裁をとっていますが、2人が実は不倫関係にある事実が明かされて以降は、徐々に物語に不穏な影が漂い始めます。
アンジェリクは少し空想癖のある美術学校の生徒です。報われない恋とは分かっていながらもロイックを思う気持ちを止めることができず、密かに彼にバラを送ったりとその愛情を表現します。
バラはまさに2人が出会った日に、ロイックが彼女に渡した「思い出の品」でした。
どんなに近くにいる恋人や夫婦であっても、ふとした拍子に相手の知られざる一面を垣間見、「自分は勝手に相手のすべてを知っているつもりでいた」という事実に気づかされた経験のある方も多いのではないでしょうか。
本作もまた、中盤で視点を逆転し、アンジェリクからロイックの一人称へと移り変わることによって、人間の知られざる一面が浮き彫りになる作りになっています。
冒頭からは想像ができなかった背筋の凍るラストカットまで、タイトにまとめられた作品です。
4)『ザ・ギフト』(2015年/アメリカ/108分)
【あらすじ】
新たな転居先で幸せな生活を送る夫婦の前に、夫の同級生と名乗る男・ゴードが現れた。再会を喜んだゴードから、2人に1本のワインが「ギフト」として贈られる。しかし、徐々にゴードからのギフトはエスカレートしていき、度を越していく贈り物に2人が違和感を覚えはじめた頃、夫婦のまわりに異変が起き始める。
再開した同級生がもたらした”ギフト”とは
俳優として数多くの作品に出演してきたジョエル・エドガートンが自身で監督・出演を務めたのが本作『ザ・ギフト』です。
かつての同級生から、引っ越し祝いとして1本のワインを贈られたことに端を発し、徐々に追いつめられてゆく主人公夫婦の姿をスリリングに描きます。
ジョエル・エドガートンの演じる主人公の同級生・ゴードは、朴訥とした見た目の心優しい男として登場します。実際に主人公夫婦もまた、彼を温かく迎えますが、ゴードの行き過ぎた「親切」が、次第に狂気の域に達しつつあることに気が付き始めます。
一見、本作の恐怖の対象はこのゴードという男にあるかに見えますが、中盤以降は主人公夫妻の間に走る亀裂に焦点が当てられ、夫とゴードとの知られざる過去が明らかになっていきます。
主人公夫婦の新居は豪華ながら前面ガラス張りで、実はこの2人の関係もまた、ガラスのように脆い土台であったことが、舞台立てによって示唆されています。
人間は自らを「被害者」と感じることは簡単でも、なかなか「加害者」であることは認められない。
そんな人間心理を巧みに描いた一作です。
ザ・ギフト
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
5)『冷たい熱帯魚』(2010年/日本/146分)
【あらすじ】
小さな熱帯魚店を営む社本の家庭では、年頃の娘が若い後妻に反発しており、そのため彼と妻との関係にも亀裂が生じていた。そんなある日、彼は娘が起こした万引き事件をきっかけに同業者の村田と知り合う。やがて村田の事業を手伝うことになった社本は、いつしか恐ろしい猟奇殺人事件に巻き込まれていく。
エクストリームな表現の中に、人間の心理が垣間見える衝撃作
『愛のむきだし』や『ヒミズ』などの作品で、国内外で高い評価を受ける映画監督・園子温による2010年の作品『冷たい熱帯魚』は、1993年に発生した埼玉県愛犬家連続殺人事件をベースに物語が構成されています。
これまで人の良い中年男性を演じることの多かった俳優のでんでんさんが、これまでのイメージを覆す「村田」という男を怪演したことでも大きな話題となりました。
村田は熱帯魚店を営んでいますが、言葉巧みに人の懐に入り込んでいき、主人公の社本もはじめのうちは彼の異常性に気づかず、事業の手伝いをするようになるものの、いつの間にか自身が逃れられない殺人の連鎖の中に囚われてしまっていることを知ってしまいます。
本作は実在の事件をベースにはしているものの、監督による映画的な解釈もふんだんに盛り込まれています。
「巻き込まれ型」の主人公として本作の一番の被害者のようにも見える主人公の社本ですが、自身の巻き込まれる事件にしろ家庭内の問題にしろ、「見て見ぬフリ」が板についてしまっている社本もまた、倫理的に見れば「悪人」であると、本作は語っているのです。
暴力的なシーンも多い作品ゆえに、観る人を選ぶかもしれませんが、日本映画史上に間違いなく刻まれるだろう犯罪映画となっています。
冷たい熱帯魚
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
6)『ヒメアノ~ル』(2016年/日本/99分)
【あらすじ】
平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のパートタイマーとして働いている岡田は、同僚の安藤から思いを寄せるカフェの店員ユカとの恋のキューピッド役を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた同級生の森田正一と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田にストーキングをされている事実を知らされる。
捕食される弱者たちの物語
『行け!稲中卓球部』で知られる漫画家・古谷実の同名原作を映画化したのが本作『ヒメアノ~ル』です。
V6の森田剛が、主人公の連続殺人鬼・森田を演じています。
本作ははじめ、濱田岳やムロツヨシなどのコメディリリーフを中心にしたラブコメディの様相を呈していますが、森田の登場から先は、それまでのトーンから一転、血と暴力に溢れた陰惨な雰囲気を纏い始めます。
原作では森田の行動に対する一応の理由付けはあるものの、映画版ではそれらを排除し、物語のラストに至るまで森田の背景はほとんど明かされず、得体の知れない怪物として描かれています。
本作のテーマはいわば、「幼少期や学生時代の体験・トラウマが、その後の人生を規定してしまうのか」といったところでしょう。
かつてはお互いの家を行き来することもあった森田と岡田の関係性が浮かび上がってくるラストは、意外にもそれまでのバイオレンスとは違った切ない余韻をもたらします。
ヒメアノ~ル
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
7)『ザ・バニシング -消失-』(1988年/オランダ・フランス/106分)
【あらすじ】
オランダからフランスへ車で小旅行に出がけたレックスとサスキアだったが、立ち寄ったドライブインで、サスキアがこつ然と姿を消してしまう。レックスは必死に彼女を捜すが手がかりは得られず、3年の月日が流れる。それでもなお捜索を続けていたレックスのもとへ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始める。
真相を知ることが物事の解決とは限らない
旅行先のドライブインで、忽然と姿を消してしまった恋人。彼女の行方を捜しつづける男の3年間を描いたサスペンス作品が『ザ・バニシング -消失-』です。1988年の作品ながら、日本では2019年にようやく劇場公開が叶いました。
恋人の不在により徐々に精神を病んでいく主人公と、自らの異常性を立証するためだけに彼に手紙を送り続ける男の姿を、全編乾いたタッチで描いていきます。
『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』などの作品で知られるスタンリー・キューブリック監督は、本作を「これまで観たすべての映画の中で一番怖い」と評しました。
「愛する人がある日突然、何者かによって奪われてしまうこと以上に悲しい出来事はない」と思えますが、本作ではその先に更なる絶望があることを提示します。
同時に、「たった一つの誤った選択が取り返しのつかない結末をもたらすこともある」という恐ろしい真理も、本作は観客に投げかけています。
主人公の慟哭が響き渡るラストは、一度観たら忘れられない余韻をもたらすはずです。
ザ・バニシング -消失-が視聴できるイチオシ動画配信サービス
2021/04/20
ザ・バニシング -消失-
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
8)『ナイトクローラー』(2014年/アメリカ/118分)
【あらすじ】
まともな仕事にありつけず軽犯罪で日銭を稼ぐ男ルイスは、偶然通りかかった事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。早速ビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影していく。過激な映像で高額な報酬を得るようになったルイスは、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレートさせていき、ついに一線を越えてしまう。
ハイエナのように被写体を探し求める男の成功を淡々と描いた問題作
スマホやSNSの普及により、誰もが簡単に動画を撮影したり、その動画をネットにアップ・拡散できるようになった現代において、「誰よりも早く、衝撃的な映像」を撮影するために夜の街を徘徊するパパラッチの姿を描いたのが、ジェイク・ギレンホール主演の『ナイトクローラー』です。
定職に就かず、日銭暮らしを送っていた主人公のルイスは、ある日パパラッチの存在を知り、何の技術もコネも持たないままに報道の世界に飛び込んでいきます。
自身の成りあがりたいという欲求を満たすためには他者を利用し、蹴落とすことも厭わない彼を本作ではサイコパス的に描いていますが、仕事で「稼ぎたい」「出世したい」という願望自体は、大なり小なり誰もが持っているものでしょう。
「仕事は、その商品やサービスを利用する顧客のためを思ってするもの」だと私たちは考えるものですが、己の欲望のみに忠実に行動するルイスは、大きな壁もなく見る見るうちにビジネスの世界で頭角を現していくようになります。
「衝撃映像〇〇連発」と題した番組がゴールデン帯にお茶の間に流れる現代において、ルイスの「より刺激的な映像にこそ、人は反応するものだ」という考えは、情報の発信者とも受信者ともなり得る観客の倫理観に問いかける内容となっています。
ナイトクローラー
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
9)『パージ』(2013年/アメリカ/85分)
【あらすじ】
人々の生活を裕福にするため、安全を維持するために政府が定めた「1年に一晩(12時間)だけ殺人を含む全ての犯罪が合法になる」という法律「パージ」。この夜は、警察や消防といった救急サービスの機能はすべて停止なり、街は完全に無法地帯と化す。妻と2人の子どもと暮らすジェームズ・サンディンは、家族とともに「パージ」の夜を完璧なセキュリティの家で平穏に過ごすはずだった。しかし、「パージ」開始直後にターゲットとなった1人の男を家にかくまってしまったことで、暴徒と化した市民から一家全員の命が狙われることとなる。
その一夜では、すべての犯罪が合法化される
『パージ』は人気ホラー・シリーズで、これまでに4本の映画と1本のドラマシリーズが公開されています。
一年に一度、12時間だけすべての犯罪が合法とされる世界を描いた作品です。
特に一作目である『パージ』は、恐怖の一夜を一軒の家の中で展開させるソリッドな演出により、「人間が怖いホラー映画」として申し分のない出来となっています。
作中の法である「パージ」は、治安回復のために政府が打ち出したもので、殺人を含むすべての犯罪を12時間だけ合法化させることにより実際に治安は回復を見せ始めています。
昨日までは仲睦まじく話していた隣人が、その夜には武器を携え、命を狙ってくる。
理不尽な展開の中に垣間見える、アメリカという国が持つ「資本主義」や「弱肉強食」の一面を批評的に描いた社会派の一作でもあります。
2作目以降はさらに世界観を拡大し、群像劇スタイルとなり「パージ」というシステムの中枢に切り込んでいく展開も目が離せません。
パージ
調査日:2021/04/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
10)『es』(2001年/ドイツ/119分)
【あらすじ】
元新聞記者のタクシー運転手タレクは、ある心理実験に被験者として参加することに。その内容は、被験者を看守役と囚人役に振り分け、模擬刑務所内でそれぞれの役割を演じながら生活するというもので、タレクは囚人役を割り当てられる。実験は和やかな雰囲気でスタートするが、些細な諍いから看守側と囚人側が対立。さらに実験が進むうち、看守役の人々は支配的・攻撃的な振る舞いをエスカレートさせていく。最初は反抗していた囚人役の人々も次第に抵抗できなくなり、実験は思わぬ方向へと展開していく。
本当の「悪」は自分自身の内にこそあるかもしれない
1971年に、アメリカ・スタンフォード大学の心理学部で、ある実験が行われました。
大学の地下室を刑務所の牢獄を作り、21人の被験者を「看守役」と「受刑者役」に分け、2週間過ごさせるというものでした。
この実験の目的は、誰でも肩書きや地位を与えられると、その役割に応じた態度や行動をしてしまうことを証明しようとするものでした。
実験の目論見通りに、はじめは仲睦まじかった両者が、時間が経つにつれ、看守役は横柄に、受刑者役はより受動的な行動が見られるようになったと言います。
実際に行われたこの実験に着想を得て製作されたのが本作『es』です。
本作の何よりも恐ろしい点は、過去に凶悪な犯罪を犯したわけでも、生まれながらの精神病質を持ったわけでもない「ごく平凡な人々」が、閉鎖された空間と役割を与えられただけでまるで別人のような振る舞いをしてしまうことです。
「人間が一番怖い」とは、何も他者を対象とせずとも、自分自身の中にもその恐怖の種は植わっているかもしれないという可能性を提示する作品です。
映画の視聴にはVODサービスがおすすめ
数年前まではお家での映画鑑賞は、レンタルビデオショップが主流でしたが、近年ではVODサービスへの定額登録により、名作映画や話題作なども手軽に楽しめる時代になりました。
ここでは国内の代表的な8サービスの月額料金、配信作品数を比較しています。
サービスごとに配信されている作品も違いますし、そのサービスでしか観られないオリジナル作品もあります。
無料のお試し期間も利用しつつ、ご自身に合ったサービスを選択してみてください。
サービス名 | 作品数 | 無料お試し期間 | 料金(税込) |
---|---|---|---|
U-NEXT(ユーネクスト) | 200,000作品以上 | 31日間 | 月額2,189円 |
Hulu | 70,000作品以上 | 14日間 | 月額1,026円 |
Netflix(ネットフリックス) | 非公開 | なし | 月額990円~1980円 |
amazonプライムビデオ | 32,000作品以上 | 30日間 | 月額500円 |
dtv | 120,000作品以上 | 31日間 | 月額550円 |
FODプレミアム | 50,000作品以上 | 14日間 | 月額976円 |
TSUTAYA TV | 10,000作品以上 | 30日間 | 月額1,026円 |
Paravi | 8,000作品以上 | 14日間 | 月額1,027円 |
まとめ)狂気も正気も紙一重
「人間の恐怖」を描いたホラー・スリラー映画においては、観客自身に倫理観を問いかけるというテーマが隠されていることが多いです。
恐怖を与える対象となる人物と、その被害者となる人物が対置された時に、多くの方は被害者に感情移入して作品を楽しむかもしれません。
しかし、今回ご紹介した10本はいずれも、その「被害」と「加害」の境界を曖昧にさせる作品ばかりです。
社会的にも不安定な状態が続く日常で私たちが意識すべきはむしろ、「自分の内にもまた狂気が宿っている」ということを忘れずに過ごすことなのではないでしょうか。
<スポンサーリンク>