【おすすめ映画】『オンリー・ザ・ブレイブ』働く人たちに改めて観てほしい映画#13
[最終更新日]2023/03/11
楽な仕事など、この世には一つもないことは、働く者にとって自明の理でしょう。しかし、そんな仕事の中でもとびきり過酷で命の危険すらある職業が「消防士」です。
火災とは日常に潜む危険で、いつどこでも起こる可能性があります。そして、誰かが火を消さなければ、火災はどこまでも広がり人の命と暮らしを蝕みます。故に、消防士とはこの社会に無くてはならない存在です。そんな消防士に焦点を当てた作品が映画『オンリー・ザ・ブレイブ』です。
最前線で働く大人たちのドラマは、ビジネスに身を置くものであるならば必ず通底する価値観があります。本記事では、『オンリー・ザ・ブレイブ』のみどころや魅力を社会人の視点を交えて紹介します。衝撃のノンフィクション・ストーリーです。
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Index
目次
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』の概要
オンリー・ザ・ブレイブ
調査日:2021/01/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
タイトル | オンリー・ザ・ブレイブ |
---|---|
公開日 | 2018年6月22日 |
上映時間 | 134分 |
映倫区分 | G |
オフィシャルサイト | https://gaga.ne.jp/otb/ |
スタッフ | 監督:ジョセフ・コシンスキー 原作:ショーン・フリン 音楽:ジョセフ・トラパニーズ |
キャスト | ジョシュ・ブローリン(エリック・マーシュ) マイルズ・テラー(ブレンダン・マクドナウ) ジェフ・ブリッジズ(デュエイン・スタンブリンク) |
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』のあらすじ・見どころ
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』のあらすじ(一部ネタバレあり)
アメリカ合衆国、アリゾナ州。乾燥した気候を持つその土地は、夏になると山火事が多発することでも有名です。地元の森林消防団を率いるエリック・マーシュは、その優れた洞察力と土地勘で山火事がどのように燃え広がるかを予測できるほどの知識を持っていました。
ある日発生した山火事で「火災が市街地の方向へ広がる」と予測したエリックは消防団の精鋭部隊、通称「ホットショット」に進言します。しかし、ホットショットのリーダーは「君たちは二流のタイプ2。俺たちはホットショットだ。余計な口を出すな」とエリックの忠告を退けます。
結果、山火事はエリックが予測した通りの方向へと広がり、市街地へ甚大な被害を及ぼします。「自分たちなら火を食い止められた」と悔しい思いを抱えるエリック。自分たちの消防団はあくまでタイプ2。市民レベルの消防団であり、国に選ばれた精鋭ホットショットとは違い、最前線で働くこともできず、発言権もない。そんな状況に苛立ちを募らせていました。
そこでエリックは自分たちの消防団を鍛え上げて、ホットショットに昇格させようと決意します。
一方、ドラッグ中毒で自堕落な生活を送るマクドナウはある日、別れた恋人が妊娠していることを知ります。当初はその現実からも逃れ、ドラッグで投獄されたりしたマクドナウですが、赤ん坊を目にした瞬間、心を入れ替えて働こうと決意します。
そうして彼が門戸を叩いたのは、他でもないエリックの消防団でした。
入団テストとして消防団と共に走ることになったマクドナウは薬物に蝕まれた身体で全くついていけず、置いてかれてしまいます。ランニングを終え、詰め所で待つエリックですが中々帰ってきません。「もう帰ってこないだろう」と諦めかけたその時、疲労困憊のマクドナウがこちらに向かって走ってきました。
走り終えたマクドナウはエリックに向けてスマホを差し出します。そこに映っていたのはランニングの中継地点である山の頂上。彼は一切ずるをせず走り終えたのです。
こうして入団を認められたマクドナウは、仲間と衝突しながらも訓練を積み消防士として成長します。そんなある日、エリックの元へ「山火事が起きた」という報せが入ります。さらには、エリックの消防団には監督官がつくと。そう、それはエリック率いる森林消防団の、ホットショット入りを懸けた運命の山火事でした。
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』の見どころ
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は森林火災の消化活動に命を懸けた男たちのドラマです。森林火災は高温多湿の日本ではあまり馴染みのない災害ですが、その恐ろしさは建物火災より森林火災の方が消防士の死亡率が高いことからも明らかでしょう。
まさに森林消防団は文字通り「命懸け」の仕事なのです。大小違いはあれど、社会で働く大人ならば、仕事に誇りを持っている人がほとんどでしょう。本作で活躍する森林消防団「グラニット・マウンテン・ホットショット」は、自らの行いに誇りを持って職務を全うします。そんな姿に深い共感と憧れを憶える人も多いのではないでしょうか。
なかには、「所詮映画の中の話」と思われる人もいるかもしれません。しかし森林火災は実際にアメリカで頻繁に起こっている災害です。現在も最前線で働く人たちがいて、命を懸けています。なにより、本作『オンリー・ザ・ブレイブ』はノンフィクション映画です。映画で様々な生きざまを見せる「グラニット・マウンテン・ホットショット」は実在するのです。
衝撃の実話『オンリー・ザ・ブレイブ』
本作では、森林火災の精鋭「グラニット・マウンテン・ホットショット」の活躍を描いています。物語の舞台はアメリカ合衆国アリゾナ州。日本から遠く離れた土地の、日本ではあまり馴染みのない森林火災という災害。ともすれば現実感が薄く、戯曲じみた物語に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、物語の冒頭に提示される「実話」という事実が、それを否定します。この映画で描かれた命を懸ける男たちの物語は、確かに実在するのです。
そのため、決して物語の登場人物や創作者の都合によって、火の勢いが左右されたりなどされません。この世に存在するすべての災害がそうであるように、無慈悲に人の命を蝕みます。
故に、本作では血の気が引くほど衝撃的な展開もあります。非常に恐ろしい映画でもありますが、だからこそ火災の恐ろしさと日常の大切さ、そしてその日常を守ってきた人たちの生き様を知ることのできる映画です。
オンリー・ザ・ブレイブ
調査日:2021/01/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
社会人として観る『オンリー・ザ・ブレイブ』
一時たりとも気の抜けない山火事と男たちの戦い
この映画の中で起こる火災は現実の火災のように、気まぐれで予測不能。一瞬の油断が命取りになる恐怖の災害です。少しでも風が吹けば火はより勢いを増し、取り返しのつかないことになることも。
現に2019年6月にオーストラリアで発生した大規模森林火災では、2020年2月に終結するまでおよそ8か月の間燃え続けました。
あるいは、カリフォルニア州で発生した森林火災は、住民約2万5000人が避難を余儀なくされ、多くの建築物が火に飲み込まれてしまいました。
それほど、森林火災は恐ろしい災害なのです。
故に、エリック率いるグラニット・マウンテン・ホットショットは、瞬間瞬間の状況判断が余儀なくされます。気まぐれに向きや勢いを買える森林火災を相手に、迷っている時間などありません。常に最速で適確な判断が求められます。
もし少しでも判断ミスを犯せば、オーストラリアやカリフォルニア州の森林火災のようにに、市民に影響が出るほどの大惨事になる可能性を常に孕んでいるのです。
しかし、精鋭グラニット・マウンテン・ホットショットは幾度となく森林火災から市民を守ります。それはひとえに、エリックが状況判断能力と決断力、そしてリーダーシップに優れた人物だからです。
森林火災の最前線。常に命が危険に晒され、一分一秒を争う状況でありながらも冷静に周囲を観察し、適確に判断を下す彼の姿は、まさに働く大人の理想の姿だと言えます。
リアルな物語だからこそ異文化を知り、見識を広めることができる
社会人として生きてゆく限り、凝り固まった思考は時に落とし穴となります。故に、異文化に触れ、見識を広めることは非常に大切です。その点において、映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は間違いなく見識を広めてくれる映画です。
物語冒頭では、本作の「異文化」ぶりを象徴するようなシーンがあります。山の頂上へと昇った新人消防士に向けて、エリックが語り掛けるシーンです。
「この美しい景色を胸に刻みこめ。胸の奥深くに」エリックは眼下に広がる山の景色を背に語り掛けます。「火災の洗礼を受けたら二度と美しい景色に見えなくなる。森林火災の恐ろしさを知ったら、この目の前に広がる景色はただの燃料源だ」と。
これは、まさに森林火災を知るものにしか語れない視点でしょう。森林火災の恐ろしさ、森林消防士の過酷さ。そして仕事に対する誇り。そういったものを象徴する大切なシーンです。
また、本作で描かれる消火活動のシーンも必見です。消火活動と聞いて、多くの人が想像するのは、巨大な消防車からホースを引き、火に向かって放水する姿でしょう。
しかし、森林消防士が水を使うことはほとんどありません。ヘリコプターで上空から水を散布することはありますが、そもそも起伏が激しい山や森には、消防車が入ることはできないのです。
では森林消防士は現場でなにをするかというと、穴を掘り、木を切り倒し、そして火を放つ。放水するどころか放火する。妙に思えるかもしれませんが、実に理にかなった行為なのです。
穴を掘り、木を倒し、火を放つことで「燃料源」である森林そのものを無くすことができます。燃料源である樹木が無くなれば、火がこれ以上燃え広がることも無くなり、行き場を無くした炎はやがて自然に鎮火します。
火を「消す」のではなく「止める」。それが森林消防士の仕事なのです。
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』はリアルに即した物語です。だからこそ、未知の文化や情報に触れることができます。異文化に触れることができるのは、まさに映画の醍醐味でしょう。
過ちは自分次第で克服できる
本作のもう一人の主人公であるブレンダン・マクドナウはもともとドラッグ中毒で、母親からも愛想を尽かされるような人間でした。自分から振った恋人が妊娠したと聞いた時でも、なにも感じないような人間です。しかし、彼は実際に生まれた娘を見た瞬間、心を入れ替えるようになります。
ドラッグを完全に断ったマクドナウはエリックの消防団へ入団し、最前線で働くようになります。最初は体力のないドラッグ中毒者として白い目で見られていたマクドナウですが、実直に職務を遂行する姿にやがて仲間の一員として認められるようになります。
ドラッグ中毒がやがて市民を救う消防士となる。できすぎた話のようですが、これは実話の物語です。世の中、誰でも過ちを犯すことはあります。常に間違えない人間など一人もいません。問題は、マクドナウのようにどうそれを克服するかということなのではないでしょうか。
オンリー・ザ・ブレイブ
調査日:2021/01/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
まとめ)確かに存在した勇気の物語『オンリー・ザ・ブレイブ』
本作は『オンリー・ザ・ブレイブ』というタイトルが示すように「勇敢な人」の物語です。しかし彼らは同時に、普通に家族や友人を持ち、時には日常を謳歌する普通の人々でもあります。
本作では、そんな彼らの日常を描写することを忘れません。市民を救った英雄としての姿ではなく、そこに生きる人として描いています。だからこそ、森林火災にも怯まずに挑むその勇気の尊さがより際立つのです。
確かに存在した、仕事に命を懸ける男たちのドラマ。映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は、働く人にこそ見て欲しい映画です。
オンリー・ザ・ブレイブ
調査日:2021/01/20
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
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