英語のリスニング力が伸びる勉強法・伸びない勉強法とは?
[最終更新日]2024/08/30
皆さんは「英語を聞き取ること」が得意ですか?おそらく、英語に苦手意識を持っている人の多くがリスニングも苦手だと感じているのではないでしょうか。
近年ではビジネス環境のグローバル化が進み、同僚や上司、顧客、取引先などで外国人とコミュニケーションを図る必要に迫られる場面も増えてきました。
英語を聞き取るのが苦手、と言い続けていくのをそろそろ終わりにしたいと感じている人もいることでしょう。
そこで、今回は英語のリスニング力を伸ばすために効果的な勉強法・効果的とは言えない勉強法について紹介します。
英語学習への取り組み方を少し変えることで、短期間でも英語のリスニング力を向上させることは可能です。
英語のリスニング力を伸ばしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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Index
目次
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英語のリスニングが重要な理由とは?
英語のリスニング力を伸ばすためには、まずリスニングの重要性を知り、「必ずリスニング力を向上させる必要がある」と実感することが大切です。
「できれば伸ばしたい」ではなく、「身につけないとまずい」という危機感を持つことで、トレーニングにも注力できるようになるからです。
では、英語を学ぶ上でリスニングはなぜとくに重要と言えるのでしょうか。ここには主に3つの理由があります。
言語の学習は「聞き取る」ことが基本中の基本
多くの日本人にとって、英語を学ぶことは「外国語」を学ぶことです。
母国語である日本語を私たちは幼少の頃から繰り返し聞き、話していますので、「聞く」「話す」「書く」「読む」といった行為に抵抗を感じることがありません。
これに対して、外国語である英語はそもそも「言葉」として異質なものと脳が認識してしまい、聞き取ることに抵抗を感じてしまっているのです。
しかし、言葉を学ぶ上で「聞き取る」ことはインプットの基本中の基本です。
読むこと以前に聞くことができないと、生きた言葉として習得するための時間や労力がかかりすぎてしまいます。
これでは、実践的な英語力を身につけるために要する時間がより長くかかってしまうことにもなりかねません。
近年では小学校から英語が正式教科化され、中学・高校の英語でも「聞く」「話す」能力を伸ばすことが重視されるなど、学校教育の英語は変わりつつあります。
この影響もあって、とくに若い世代の人たちに英語への抵抗感が薄れつつあります。若い世代の英語力に負けないためにも、英語を「聞き取る」能力を意識していくことは非常に重要です。
TOEICなどの検定でもリスニング力は必須
英語の検定試験として有名なTOEICにおいてもリスニングの配点は高く、重要視されていることが分かります。
TOEIC以外にも、英検やIELTSといった英語検定試験ではリスニングは必須となっています。
つまり、英語の力を証明する上で重要な検定試験のスコアを向上させる上で、リスニング力を伸ばすことは避けて通れないのです。
TOEICのスコアが高くても英会話に苦手意識がある、といったケースを耳にすることがあります。
その多くは、生きた英語として「聞く」「話す」ことのトレーニングが不十分なことに起因していると考えられます。
話すためには相手が話している内容を聞き取る必要がありますので、会話をする際にもリスニング力はマストとなります。
このように、生きた英語を身につける上でリスニング力を伸ばすことは重要な入口となっているのです。
リスニング力が伸びれば英語のインプット量が増える
意外と見落とされがちなことですが、英語のリスニング力を伸ばすことは英語のインプット量を飛躍的に増やすことにも直結します。
耳から聞こえてくる英語が「音」ではなく「言葉」として聞き取れるようになれば、知っている英語の表現や耳にしたことのある表現が「意味を持った言葉」としてインプットされ、蓄積されていくようになります。
このことは英語の語彙や表現を増やしていくことにつながるため、リスニング力がある人と不足している人との間で日々英語の能力が開き続けることにつながってしまうのです。
実際、意識して聞いていると日常生活において私たちは想像以上に英語に触れています。
通勤途中の駅や電車内で聞こえてくる英語のアナウンス、テレビのニュースで字幕付きで放送される外国の要人や著名人による会見、字幕付きで観ている外国の映画作品など、実は英語に触れる機会は意外とたくさんあるのです。
そのたびごとに英語のインプットへとつなげられるか、単に「音」として聞き流しているのとでは、英語のインプット量に圧倒的な差がついても不思議ではありません。
英語のリスニング力が伸び悩んでしまう4つの原因
英語のリスニング力を伸ばす方法について考える前に、なぜリスニング力が伸び悩んでしまうのか理解しておく必要があります。
リスニング力を伸ばしたくても、効果的な方法でトレーニングをしていかないと、せっかく努力を続けても効果が表れにくい場合があるからです。
リスニング力がなかなか伸びず悩んでしまう原因としては、主に次の4つが考えられます。別の見方をすれば、この4つのポイントを押さえて克服していけば、英語のリスニング力を伸ばすことは可能です。
知っている単語・熟語・表現が少ない
これは日本語でも言えることですが、私たちは自分が知らない言葉や表現が聞こえても意味を正しく認識することができません。
まして、日本語にはない英語特有の言い回しは、耳に馴染みがなければ間違った意味に捉えてしまうこともあり得ます。
元Microsoftのエンジニアとして知られ、2020年現在もアメリカ在住の中嶋聡さんは“I couldn’t agree with you more.”という言い回しを例に挙げ、次の指摘をしています。
“「これ以上の同意は出来ない」、つまり「100% 同意する」という意味ですが、最後の more が聞き取れないのか、逆の意味に受け取ってしまう日本人が多いのです。”
(メールマガジン「週刊Life is Beautiful」2020年5月12日号より)
たしかに、I couldn’t agree with youが聞き取れた時点で「自分に同意できないと言っているようだ」と捉える日本人は多いと思われます。
「同意」ならI agree with you.だろう、と思い込んでいると、会議や商談などの場で相手の意図を180°取り違えてしまう恐れがある典型的な例と言えるでしょう。
このように、そもそも知っている単語や熟語、表現が十分でないと、さまざまな言い回しに対応できず結果的に「聞いていても意味が取れない」「理解できない」ということになりやすいのです。
英語特有のリズムやスピードについていけない
日本語は抑揚の少ない言語で、発話される際のリズムも比較的平坦です。
ところが、英語では前後の単語が互いに影響を及ぼし合い、連結・脱落・同化が生じます。Check it out.が「チェック・イット・アウト」ではなく「チェケラゥ」のように聞こえるのは、リエゾンまたはリンキングと呼ばれるこの特性によります。
英語を文字で読むことはできるのにリスニングが苦手な人の多くは、こうした英語特有のリズムやスピードに耳が慣れていないことが原因となっていると考えられます。
「部分的に聞こえるけれども、きちんと聞き取れていない語が少なからずある」「文字で確認すれば知っている語でも、耳だけで聞いていると認識できない」と感じている場合、おそらくこの点がネックになっている可能性が高いでしょう。
ごく基本的な文法の知識がきちんと身についていない
リスニング力と言うと「耳を英語に慣れさせる」といったことが重要視され、学校で習ってきたようないわゆる受験英語とは無関係のように思われがちです。
しかし、英語のリスニング力を向上させる上で基本的な文構造に関する知識を持っていることは大きなアドバンテージとなり得ます。
私たちはふだん日本語で話している場合でも、相手の言っていることがよく聞き取れなかったり、部分的に聞き逃してしまったりすることがあります。
仮に完全に聞き取れていなかったとしても、前後の脈絡や話の流れから聞き逃した箇所を推測し、頭の中で補完して解釈しているはずです。
このことは英語においても同様です。
すべての単語を完全に聞き取れなかった場合でも、基本的な文構造を理解していれば「聞き取れなかった箇所はこう言っているはずだ」と推測しやすくなるのです。
このように、リスニング力を伸ばす上で中学・高校で学んだ文法は決して無関係ではありません。
ごく基本的な文法の知識が身についていない、あるいは忘れてしまっているとしたら、文法を復習することでリスニング力の向上につながることは十分に考えられます。
継続的・習慣的にリスニングの練習を取り入れていない
リスニングは「コツをつかめば短期間ですぐに身につく」といった類の能力ではありません。
むしろ、短時間でもいいので毎日少しずつ続けていくほうが習慣的に英語に触れることができ、着実にリスニング力を伸ばしていくことにつながりやすいのです。
リスニング力を伸ばしたいのであれば、毎日のルーティンとして英語を聞くタイミングを決めておくことが大切です。
「通勤中の30分間は英語を聞く」「帰宅したら入浴の前に英語を聞く」といったように、いつどのタイミングでリスニングの練習をするのか決めてしまったほうがいいでしょう。
そして毎日継続し、習慣にしていくことが重要です。
リスニングに苦手意識がある人の多くは、日ごろ英語を聞く機会をほとんど設けておらず、検定試験などで必要に迫られて急にリスニング対策を始めようとしているのではないでしょうか。
リスニング力の向上には一定の期間が必要になります。毎日少しずつでもいいので、粘り強く継続していくことが求められます。
英語のリスニング力が伸びる勉強法・伸びない勉強法とは?
ここまで、リスニング力が伸び悩んでしまう原因について見てきました。では、これらの原因を取り除き、リスニングへの苦手意識を払拭するには、どんな勉強をしていけばいいのでしょうか。
世の中には英語のリスニング力を伸ばすノウハウが数多く出回っています。1つ1つのノウハウは効果のあるものかもしれませんが、取り入れ方を誤ってしまうと継続してもリスニング力が伸びない恐れがあります。
英語のリスニング力が伸びる勉強法と伸びない勉強法には、どのような違いがあるのでしょうか。
英語の音声を「聞き流す」勉強法の効果は?
「とにかく英語を流しておく」「大量の英語のシャワーを浴びる」といったノウハウを見かけることがあります。
たしかに、リスニング力を鍛えるには一定量以上の英語を聞き、耳を慣らしていく必要があるのはたしかです。
ただし、英語をただやみくもに聞いていれば、いつの間にかリスニング力が伸びるわけではありません。
英語を聴き続けることでリスニング力が伸びる勉強法と伸びない勉強法には次の違いがあります。
英語を大量に聞くことで伸びる勉強法
- 話されている話題やテーマについて大まかに理解した上で聞いている
- 細部が聞き取れるまで同じ音声を繰り返し聞いている
- 聞き取った英語の意味を捉え、英語のまま理解するように努めている
英語を大量に聞いても伸びない勉強法
- ただ何となく英語の音声を流している
- 毎回異なる音声を流していて、意味が分からなくても振り返りをしない
- 聞き取った英語を日本語に訳して理解しようとしている
洋画やドキュメンタリー番組を字幕なしで観る勉強法の効果は?
海外の映画作品やドキュメンタリー番組を字幕なしで観る方法は、リスニング力を伸ばすトレーニングとしてよく知られています。
ネイティブスピーカーが視聴する場合と同じ条件で観ているわけですから、リスニング力を鍛える意味では有効な方法と言えるでしょう。
一方で、「映画を字幕なしで観ているのにリスニング力が一向に伸びない」といった経験をした人もいるはずです。なぜこのような結果になってしまうのでしょうか。
海外の番組・作品を字幕なしで観て伸びる勉強法
- セリフや言い回しを覚えてしまうほど繰り返し観ている
- 分からない表現が出てきたら理解できるまで辞書などで調べている
- 字幕付きで視聴して理解度を確認する機会を設けている
海外の番組・作品を字幕なしで観ても伸びない勉強法
- 雰囲気で観てしまい、ストーリーや内容が消化不良のままになっている
- 理解できない部分があっても気にならない(関心を払わない)
- 一度観たら繰り返し観ることがなく、字幕付きで視聴し直すこともない
文法や語彙のインプットを増やす勉強法
見落としがちな点ですが、リスニング力を伸ばすためには基礎的な文法や語彙のインプットを増やすことも効果的です。
理解できる言葉が増えることでシンプルに聞き取りの力が伸びる上に、文法の理解度が高まることで英語の文構造を見抜けるようになり、語の前後関係を判断しやすくなるからです。
しかし、インプット(知識量)を増やすための勉強法は一歩間違えると実践とは程遠いものになりやすいため注意が必要です。
とくに下記の「伸びない勉強法」に該当する方法でリスニング対策を進めていた人は、早急に勉強法を見直すことをおすすめします。
文法や語彙のインプットを増やして伸びる勉強法
- 聞き取れなかった単語や表現に絞って意味を確認し、順次覚えるようにしている
- 英語の音と意味のつながりを意識しつつ、音声ベースで覚えようとしている
- 重要度の高い表現や頻出の言い回しから優先的にインプットしている
文法や語彙のインプットを増やしても伸びない勉強法
- 単語帳を冒頭から順に暗記するなど網羅的に知識を増やそうとしている
- 英語の音と意味を結びつけず、文字ベースで暗記しようとしている
- 優先順位をつけず「とにかくすべて覚える」という姿勢でのぞんでいる
英語のリスニング力を伸ばすために意識しておきたいこと
英語のリスニング力を伸ばすには勉強方法のコツをつかんだ上で、トレーニングを毎日継続していくことが重要です。
一朝一夕には身につかない積み上げが必要な能力だからこそ、注意すべき点を意識してトレーニングを続ける必要があります。
そこで、英語のリスニング力を伸ばすために意識しておきたいポイントをまとめました。
これからリスニング力向上のために日々の積み上げをしていきたいと考えている人は、ぜひこれらのポイントを意識しつつ継続していってください。
英語を聞くだけでなく大枠の意味を理解しながら聞く
私たちは日常生活をさまざまな音に囲まれて暮らしていますが、意識して聞いている音とただ耳に入ってくる音とでは、得られる情報量に大きな差が生まれています。
漫然と耳に入ってくる音から得られる情報はほとんどないに等しいので、インプットにつなげようとするのであれば「意識的に」聞くことを心がける必要があります。
リスニング力を伸ばす目的で英語を聞く場合、ただ聞こえてくる音に耳を傾けるだけでなく、英語で伝えられている内容の意味を理解しようと努めることが非常に重要です。
一言一句聞き取って意味を捉えなくてもいいので、全体として何を伝えようとしているのか、大枠の意味を理解することを心がけましょう。
こうして意識しながら英語を聞く習慣を身につけることで、英語の音声が「音」から「言葉」として聞こえるようになります。
はじめは「何の話題なのか」「テーマは何か」といった大まかな捉え方しかできなくても、理解しようと意識して聞く習慣が身につくにつれて徐々に詳細な内容へと意識が向くようになるはずです。
単語の区切りや文構造を意識しながら聞く
乳幼児が耳にしている言葉は、言語というより「音」のかたまりとして認識されています。
成長とともに理解できる言葉が増えていき、しだいに単語ごとの区切りを意識できるようになっていきます。
ノンネイティブの人が外国語を学ぶときもこれと同様の手順を踏むことになりますので、単語の区切りを意識しながら聞くことが非常に重要なのです。
また、英語の文構造を意識することもリスニングの上達に役立ちます。
主語が曖昧になりがちな日本語と違い、英語は主語・動詞や時制が論理的に組み立てられている言語です。
聞こえてくる英語のうち、主語と動詞がどれにあたるかを見抜けるようになれば、少なくとも「誰・何が」「どうした」という話の骨子を理解することはそれほど難しくないはずです。
基礎的な文構造を理解するには、中学レベルの英語の参考書が役立ちます。もし忘れてしまっているようであれば、中学英語の参考書をざっと読み返してみることをおすすめします。
英語を聞くだけでなく発話(音読)も取り入れる
リスニング力とは「聞く」こと(インプット)の能力ですが、言葉である以上、インプットとアウトプットのバランスを取りながら練習したほうが上達は早くなります。
英語を繰り返し聞くだけでなく、聞いた英語を真似て発話する練習も取り入れましょう。
発話と言っても、実際の英会話ほど本格的なものでなくても構いません。聞いた英語の音声を追いかけながら真似て発音するシャドーイングの練習や、聞いた英語を文字で確認しながら音読する練習を取り入れることで、その場限りで消えてしまっていた英語の「音」がより印象に残り、知識として定着しやすくなります。
英語の発話や音読を取り入れることは、英語特有のリズムに慣れる上でも効果的です。
難なく発音できる単語や表現は、耳で聞いた場合も聞き取れる可能性が高くなるものです。リスニングの練習=聞くこと、と決めつけず、発話や音読も積極的に取り入れて、英語に接する機会を意識的に増やしていきましょう。
まとめ)英語のリスニング力を伸ばして英語力を底上げしよう
今回は英語のリスニング力を伸ばすための勉強法について解説してきましたが、リスニング力が向上することで英語の力そのものが伸びていくことはよく知られています。
耳からインプットできる英語が増えるということは、必然的に英語そのものの知識や情報量が増えていくことにつながるからです。その意味で、リスニング力を鍛えるトレーニングは英語力全体を底上げすることにも寄与するのです。
リスニングに苦手意識がある人も、ぜひ今回紹介した勉強法を取り入れて、少しずつリスニング力を向上させることを目指してみてください。
ふと気がつくと「以前は聞き取れなかった会話の意味が分かる」「まとまった量の英語が聞けるようになった」といったように、着実にリスニング力が向上しつつあることを実感できるはずです。
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