大人になってからこそ楽しめるアニメ映画12選
[最終更新日]2022/12/15
日々管理職・マネージャーとして忙しく働いていると、ふと息抜きが欲しくなる時間もありますよね。
管理職・マネージャーの皆さんを対象に、おすすめの映画を紹介するこちらの企画。
今回は、大人になった今だからこそ観ておきたい「アニメ映画」を12本ご紹介していきます。
一見、子供向けと思いがちな作品の中にも、実は大人ならではの発見・学びもあるものです。
次の休日のお共に、ぜひご覧ください!
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Index
目次
仕事に人生に立ち止まったとき
おすすめその①『LEGO(R)ムービー』(2014年/アメリカ/100分)
【あらすじ】
LEGOの世界の住人エメットは、真面目を絵に描いたような実直な青年。
特に目立った能力や知識も無いものの、ひょんなことからこの世界を救う救世主と勘違いされ、悪の討伐に駆り出されることになってしまう。
かけがえのない「何か」を誰もが持っている。
LEGOブロックと言えば、デンマーク発祥の、今や世界中で大人も子供もハマるおもちゃとして有名です。
日本では2017年にLEGOブロックのテーマパークである「レゴランド」が開園したことも記憶に新しいですね。
子供の頃、LEGOブロックで遊んだ記憶のある方も多いのではないでしょうか。
そんなLEGOの世界を舞台に、ブロック人形たちが織り成す大冒険を描いたのが2014年制作の『LEGO(R)ムービー』です。
レゴ社が打ち出しているスローガンが「子供たちに最高のおもちゃを」。
LEGOブロックの最大の魅力は、子供たちが想像力を広げ、作りたい世界を作れることにあります。
この映画の舞台ブロック・シティに住む主人公のエメットは、マニュアルなしでは何もできない建設作業員。
そんな彼が、あるきっかけでレゴの世界を救う旅に出るハメに。
本作は主人公のエメットが、大冒険を通して次第にマニュアル通りの思考から抜け出し、自分の力で何かを創り上げていく喜びを、LEGOブロック特有の「積み上げ」「組み立て」作業に反映し表現していきます。
私たちも組織や社会の一員としてさまざまなルールを遵守しながら生きていますが、時には柔軟な思考こそが問題を解決する糸口であることもあります。
物語終盤では、ある「仕掛け」が明らかになるので、そちらもぜひ必見の一作です!
LEGO(R)ムービー
調査日:2020/04/28
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその②『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年/日本/89分)
【あらすじ】
突如、春日部市に建設された「20世紀博」。1970年代をモチーフとしたそのテーマパークは、多くのオトナたちをとりこにし、連日にぎわっていた。
野原家の夫婦ひろしとみさえもその内の一人だったが、彼らの息子であるしんのすけは、20世紀博に夢中になるオトナたちの姿に違和感を感じ始める。
オトナたちが共有する「過去への寂しさ」と「未来への不安」
大学を卒業して就職し、結婚・子育て、定年……と、社会人として働く中で、自分の人生について思いを巡らせる瞬間もあるのではないでしょうか。
そんな最中、ふと過去を振り返って思い出す光景。
大学の頃、友人たちと遊んだ思い出や、入社したてでがむしゃらに働き続けた日々。
それらの記憶は懐かしさと同時に、一抹の「寂しさ」も私たちに与えます。
人生の酸いも甘いも経験してきたオトナたちにこそ共感できるノスタルジーを体現してみせたのは、国民的アニメである「クレヨンしんちゃん」劇場版シリーズ9作目の『オトナ帝国の逆襲』です。
自らの青春時代である70年代を模したテーマパークに心酔していくオトナたちは、実はテーマパーク建設者である「イエスタデイ・ワンスモア」という団体によって洗脳されていたと知るしんのすけ率いる「カスカベ防衛隊」の子供たち。
オトナたちの洗脳を解くため、「イエスタデイ・ワンスモア」のアジトを目指す、というあらすじです。
「クレヨンしんちゃん」ならではのくだらないギャグも交えつつ、本作は明らかに「オトナ」を対象に作られた作品であることは、実際にご覧になれば分かるはず。
特に終盤、しんのすけの父であるひろしの、少年期から現在に至るまでの人生を、一切のセリフなしで走馬灯のように見せる演出は涙なしには見られない名シーンとして語り継がれています。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
調査日:2020/04/28
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその③『リトルプリンス 星の王子さまと私』(2015年/フランス/107分)
【あらすじ】
「勉強して、いい学校に入ることがすべて」との母親の言いつけを守り、友だちと遊ぶことなく一心に勉強に励む少女。
ある日彼女は、隣家に一人で住む老人と友達になる。
老人は彼女に、かつて飛行機乗りだった自分が出会った、ある男の子との思い出を語り聞かせる。
大切なものは、目には見えない。
フランスの小説家サン=テグジュペリによる著作『星の王子さま』は、今では200ヵ国以上で翻訳・出版される名作です。
サン=テグジュペリ自身がかつて飛行士であったことから、飛行士である「ぼく」が語り手のこの物語は、作者自身の投影であると考えられます。
そんな『星の王子さま』のストーリーを核に、さらにそこに「老人と少女の絆」を加えアニメ化したのが、本作『リトルプリンス 星の王子さまと私』です。
少女と老人がいる世界をCGで、老人が語る「王子」との思い出をストップモーション・アニメで描き分けることによって、物語に奥行きを出しています。
原作の伝える大きなテーマは「子供の頃の純粋さを忘れずに生きることの大切さ」です。
「大切なものは、目には見えないんだよ」と教える王子の言葉は、忙しなく生きる私たちをハッと立ち止まらせる響きを持つ名台詞の一つです。
物語自体はシンプルな構成ですが、そこからさまざまな寓意や哲学を読み取ることも可能な、奥の深い作品です。
リトルプリンス 星の王子さまと私
調査日:2020/04/28
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその④『ファンタスティックMr.FOX』(2009年/アメリカ・イギリス/87分)
【あらすじ】
キツネのMr.FOXは、近くの農場から食べ物を盗み生計を立てていたが、妻の妊娠を機に泥棒家業から足を洗う決意をする。
しかしそんな彼の思いとは裏腹に、これまで散々食べ物を盗まれてきた農場主たちは、FOX一家を一網打尽にしようと計画を立てていた。
ファンタスティックに、人生を生きる。
本作の主人公はキツネの一家ですが、動物たちのルールが主軸のファンタジーではなく、人間社会を動物たちに投影した寓話になっています。
『チャーリーとチョコレート工場』などで知られるイギリスの作家ロアル・ダールの原作をもとに、動物たちをパペットとして実際に制作し、ストップモーション・アニメとして映画化したのが本作です。
穴ぐらの中で隠れて生活をしているものの、スーツを身にまとい、テーブルについてパンケーキを食す彼らの姿は、まるで人間のよう。
本作は、そんなMr.FOX一家が、人間たちの復讐から逃れるために、次第に「野生」の一面を取り戻していき、人間たちと真っ向勝負に挑んでいく様を描いています。
監督したのは『ダージリン急行』『グランド・ブダペスト・ホテル』など、現実とファンタジーを織り交ぜたような独特の世界観で知られるウェス・アンダーソン。
アニメーションに徹した本作でも、ファンタジーの中に現実社会にも通ずる痛切なメッセージを隠しています。
絵本の世界に飛び込んだようなカラフルな画面構成も含め、「アニメーションならではの」良さを味わえる一作となっています。
ファンタスティックMr.FOX
調査日:2020/04/30
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
大きな壁を乗り越えたいとき。
おすすめその⑤『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年/アメリカ/117分)
【あらすじ】
ニューヨークに暮らす中学生のマイルスは、ある日クモに噛まれたことで驚異的な身体能力を身につける。
それは、市民のヒーローとして平和を守っているスパイダーマンと同じ能力だった。
ある時、スパイダーマンが敵と戦う場に出くわしたマイルスは、目の前でスパイダーマンが敗れ、殺害される光景を見てしまう。
運命を、受け入れる。
今や世界的な大ヒットを記録する「アベンジャーズ」の一員としても活躍するスパイダーマン。
そんなスパイダーマンの活躍を初のアニメーション映画化したのが本作『スパイダーマン:スパイダーバース』です。
スパイダーマンはこれまで幾度となく映画化されてきましたが、それら前作と本作が圧倒的に違うのは「既にスパイダーマンが存在する世界で、スパイダーマンと同じ能力を身につけてしまった少年」が主人公であること。
目の前でスパイダーマンが殺されてしまったからこそ、彼は必然的に彼の意志を継ぐ選択を迫られることになるのです。
そもそも、数あるアメコミ作品の中で、なぜスパイダーマンが幾度も映像化されているのか。
その理由の一つに、スパイダーマンの持つヒーローらしからぬ「普遍性」が挙げられるでしょう。
時に自分の命を引き換えにしてでも強大な的に立ち向かう「アベンジャーズ」の面々とは違い、スパイダーマンは「信頼できる隣人」として市民の生活に寄り添うヒーローです。
そのため、出来る限り危ない目には遭いたくないし、葛藤もする。
そんな人間的な一面こそが、多くの人の共感を呼び、世界的なヒットへ繋がっているのでしょう。
また、本作のサブタイトルにもなっている「スパイダーバース」。
本作の一番の魅力は、時空の扉が開かれ、多次元空間から、それぞれの世界で活躍する「スパイダーマンたち」が集結し、敵に立ち向かっていくという設定。
これこそまさに、本作がアニメーションでしか語り得なかった所以となっています。
「アカデミー賞長編アニメーション部門」を受賞した最先端の映像表現を、ぜひ堪能してみてください!
スパイダーマン:スパイダーバース
調査日:2020/04/30
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその⑥『トイ・ストーリー4』(2019年/アメリカ/100分)
【あらすじ】
長年の持ち主アンディの元を離れ、少女ボニーの所有するおもちゃとなったウッディ、バズたち。
ある日、ボニーがゴミを集めて自分で作った「フォーキー」が逃亡し、ウッディたちは彼の後を追う。
シリーズを通して作品が訴えたかったこと。
ディズニー・ピクサーの代表作といっても過言ではない『トイ・ストーリー』シリーズ。
その4作目にあたる本作では、一見、シリーズの大団円に思えた前作のその後を描いています。
シリーズを通し、持ち主とおもちゃたちの「絆」をテーマに語ってきたこの物語ですが、同時に「おもちゃたちは主人がいてこそ存在する価値がある」という絶対的なルールを孕んでもいました。
本作『トイ・ストーリー4』では、その絶対的なルールを乗り越え、おもちゃたちが「自分で考え、居場所を探し出す」ために大冒険を繰り広げます。
それは一見、私たちが持つ「おもちゃ」の概念を根底から覆すかのような危ういバランスを孕んでもいます。
実際、本作は劇場公開時、賛否両論を巻き起こしたことでも話題になりました。
これまでの3作品で描かれてきた「持ち主との絆」を愛してきた人こそ、本作に対する戸惑いも大きかったのかもしれません。
あなたはこの作品を観て、どのように感じるでしょうか。
トイ・ストーリー4
調査日:2020/04/30
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその⑦『MIND GAME』(2004年/日本/103分)
【あらすじ】
初恋の幼なじみみょんちゃんと偶然再会した西。
彼女の姉が経営する居酒屋で思い出話に花を咲かせる西だったが、借金の取り立てにやって来たヤクザに撃ち殺されてしまう。
その男、気合いだけで生還。
『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』などの作品で知られるアニメーター湯浅政明による初期監督作品。
物語は、主人公である西が殺害されてから動き出します。
冥界の扉の前に立たされた西は、これまでの自分の空虚な人生を振り返り、死を受け入れることができず、文字通り「気合だけで」現世に舞い戻ります。
以後は、はっきり言ってストーリーらしいストーリーはありません。
一度、死んだからこそ怖いものが無くなった西が、ひたすらに世界を駆け抜ける様を、圧倒的なビジョンの連続によって描ききったカルト的一作となっています。
実生活で壁に差し掛かった時、行動を起こすための勇気が欲しい時などに観てみると、全身から漲るようなパワーが貰える一作です。
おすすめその⑧『レミーのおいしいレストラン』(2007年/アメリカ/120分)
【あらすじ】
一流レストランの見習いコックのリングイニは、気合いとは裏腹に自身の圧倒的な料理感覚の無さに落ち込んでいた。
そんなある日、彼は厨房に現れたネズミを見つけ追い出そうとするが、そのネズミが圧倒的な味覚と料理の腕を持っていることを知る。
自分にとって「輝ける場所」はどこか。
ディズニー・ピクサーからもう一作『レミーのおいしいレストラン』をご紹介します。
物語は、圧倒的な料理の腕を持つネズミのレミーと、圧倒的に料理の才能が無い見習いコックのリングイニが出会うところから始まります。
言葉を介したコミュニケーションが不可能な両者は、「料理」を媒介にして、互いに力を貸し合い、自らの目標を叶えていきます。
本作のテーマは、「誰にでも輝ける舞台がある」ということ。
そしてその舞台に立つためには、時に誰かと協力し合うことが重要である、というメッセージも同時に伝えています。
レミーがリングイニのコック帽の中に隠れ、彼の頭髪を操縦桿のように握りながら料理を作り上げていく様は、スラップスティックな可笑しみもありつつ、同時に「いつ周囲にバレてもおかしくない」サスペンスを孕んでいます。
ストーリーとテーマがうまく絡み合った、それこそ極上のフルコースのような本作を、ぜひ一度ご覧ください!
レミーのおいしいレストラン
調査日:2020/04/30
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人生について、じっくり考えたいとき
おすすめその⑨『この世界の片隅に』(2016年/日本/129分)
【あらすじ】
1944年・広島呉市。
18歳で嫁入りしたすずは、不器用ながらも一家を支える主婦として成長していく。
激しくなる戦争を前に、時に悲しみを乗り越えながらも、彼女は懸命に生き続ける。
この世界の片隅に生きる人々。
『この世界の片隅に』は、第二次世界大戦を舞台に置いているものの、ある一家族のミニマムな視点から、悲劇の中にあっても立ち上る日常の輝きを描いています。
私たちは日本史の中でも重要な1945年8月6日を既に知っています。
だからこそ、作中で8月6日に向かって進んでいく一家の何気ないやり取りの数々が、儚く貴重なものに思えてきます。
人生にはさまざまな出来事が訪れます。
時に悲劇的な出来事も、避けては通れないでしょう。
それでも、ただ通り過ぎていくだけのような一日の積み重ねこそが、そんな悲劇を乗り越えるための大きな力になる。
そんな、今を生きるすべての人の心に刺さるメッセージが込められています。
昨年、未公開エピソードを含めた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も公開されました。
登場人物の一つ一つのセリフ・振る舞いがとても愛おしく感じられる一作です。
この世界の片隅に
調査日:2020/04/30
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
おすすめその⑩『風立ちぬ』(2013年/日本/126分)
【あらすじ】
航空機の設計に熱意を注ぎ続ける堀越二郎は、ある日の夢の中で、尊敬する飛行機設計士カプローニに遭遇する。
彼に導かれるようにして航空機制作を続ける彼だったが、偶然に出会った女性、菜穂子と恋に落ちる。
飛行機を通して描かれる、クリエイターとしての執念。
スタジオジブリ制作による2013年の作品で、宮崎駿監督が引退を(一度は)決意した一作でもあります。
主人公の堀越二郎は、まさに宮崎駿氏の自己を投影したようなキャラクターに仕立てられています。
自分の情熱を一心に注げる対象を見つけ、周囲の誰にも干渉せず、ひたすらに目の前の作業に没頭していく。
それは、クリエイターとしての執念を描いているようにも思えます。
堀越二郎は、夢の中で、自身の目標(夢)を決定づける出会いを果たします。
「夢」という言葉のダブルミーニングによって、作品のテーマを浮かび上がらせる巧みな造りになっています。
この作品の最大の注目ポイントは、彼の情熱の結晶である零戦が、どのような用途のために使われているかということ。
自身の夢が、結果として誰かの命を奪う道具となってしまう。
その巨大な葛藤に阻まれながらも、同時に情熱の炎を消すことはできない。
宮崎駿氏がなぜこの作品をキャリアの最後に選びたがったのか。
観終わるとその意味についても深く考察したくなる一作です。
おすすめその⑪『戦場でワルツを』(2008年/イスラエル・フランス・ドイツ・アメリカ/90分)
【あらすじ】
戦場で共に兵士として戦った友人からBARに呼び出されたアリ。
友人は「毎夜、凶暴な犬に追いかけられる夢を見る」という悩みを打ち明け、「きっとそれは、俺たちが戦場で体験した出来事に起因しているに違いない」と告げる。
しかしアリには、戦場での記憶が綺麗さっぱり抜け落ちていた。
過去の扉を開ける。それは必ずしも「吉」であるとは限らない。
友人との再会をきっかけに、自身の失われた過去の発掘を始める男の顛末を描いた『戦場でワルツを』。
セピア色で描かれる過去の戦場での出来事が、時に叙情的に、時に残酷に戦争のリアルを突き付けてきます。
この作品が伝えるのは、「失くした記憶を採掘する作業は、必ずしも良い結果を呼ぶとは限らない」というシビアなテーマ。
人間の脳は、時には開けてはならない「パンドラの箱」にもなり得るのです。
そして、この作品は最後の最後で、アニメーションの枠を超え、現実へと侵食して幕を下ろします。
そこで初めて、この物語がなぜアニメーションをメインに作られたのかの答えが浮き上がってくるのです。
自分自身の忘れてしまった過去について、少し怖くも、じっくり考えて見たくなる一作でしょう。
おすすめその⑫『アノマリサ』(2015年/アメリカ/90分)
【あらすじ】
社会学者であるマイケルは、講演会のためにビジネスホテルに前泊していた。
そのホテルで、偶然にも明日の講演会を聞きに来る、という女性と出会い、2人は束の間の会話を楽しむ。
アノマリー=科学的に説明できない事象。
本作は日本では「R-15」作品に指定されている、むしろ大人が観ることを前提に置いたストップモーション・アニメとなっています。
そして物語もまた、アニメーションならではの演出が光る一作となっています。
社会学者である主人公は、「社会」という巨大な視点から世界を眺め続けたばっかりに、「個としての人間」と向き合うことを放棄してきた人間。
そんな彼には、自分以外のすべての人間が「同じ顔・同じ声」に映っています(実際、主人公マイケル以外の声を、一人の役者が担当しています)。
そんな彼が唯一、個性を持った一人の人間として認識できたのが、旅先で出会うリサという女性でした。
マイケルは彼女との出会いを、「リサ、君との出会いは言葉じゃ説明できない。アノマリー、アノマリサだよ」と表現します。
2人の一晩の出来事とマイケルのモノローグを通して、彼の孤独な人生のささやかな輝きを描き出す、大人のためのアニメ映画です。
アノマリサ
調査日:2020/04/30
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
まとめ)「所詮はアニメ映画」と侮るなかれ。時には大人にこそ伝わる重要なテーマも。
「大人になってからこそ楽しめるアニメ映画」と称して、12作品をご紹介してきましたが、いかがでしたか。
一口に「アニメ映画」といっても、線画・CG・ストップモーションなど、映像的にも様々な表現を堪能することができます。
また、子供の頃に観たアニメ作品を今一度観返してみることで、当時は気づけなかった重要なテーマに気づくこともできるかもしれません。
これを機会に「アニメ映画」を楽しんでみてください!
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