部下が育つ仕事の任せ方とは?任せ上手になる方法

[最終更新日]2023/11/03

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仕事を人に【任せる】のが、苦手

──という管理職・マネージャーの方は、案外多くいらっしゃるのではないでしょうか。

その理由でまず挙げられるのが、「自分でやったほうが早いから」であったり、「部下の方でなかなか意図を汲み取ってくれないから」等々。

ですが、だからと言って全部の業務を自分一人で行うのには無理があります。
そもそも会社というものは、「ひとりでは成し遂げられない目標を、社員で力を合わせて達成する」ために存在しますので、仕事を上手く任せていかないことには組織自体が回らなくなってしまうでしょう。

そして、「部下に仕事を任せる」ことが必然だとしたら、苦手意識を持ちつつやるよりも、コツやポイントを押さえて効果的にかつ楽しく進めていきたいところですよね。

そこで今回は、「部下に仕事を任せるときに、【任せ上手】になる」点について、詳しくお伝えしていきたいと思います。ぜひご覧ください!

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目次

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そもそも、なぜ仕事を任せていく必要があるのか

さて、はじめに私たちが「仕事を任せる」意味や意義について、考えてみましょう。

冒頭にて「会社は、ひとりでは成し遂げられない目標を、社員で力を合わせて達成するために存在する」と述べましたが、「力を合わせる」ということは「ひとりひとりに【任された】パートがある」という言い方も出来るでしょう。

つまり、会社運営においては、誰かが「任されていない」状態にあるのは望ましくないということですね。

加えて、人が仕事を「任される」ことは、会社運営において必須になるだけでなく、その任された人にとって「新しい経験」やそれに伴う「気づき」や「成長」を得る機会にも繋がります
任された業務を完遂することによって周囲の人から感謝されれば、それは「やりがい」になることもあるでしょう。

このように、「任せる」という行為は、往々にしてポジティブな効果を期待することができるのです。

ですが、一方で「仕事を任せたとしても、必ずしも任された人が期待通りに成果を上げてくれるとは限らない」、または「任せる行為自体が難しい」といったネガティブ面の課題を意識される方もいらっしゃることでしょう。

そこで続いては、実際に仕事を任せる際に上手くいなくなってしまうケースと、その対策についてお伝えしていきます。

【タイプ別】「仕事を任せる」が難しくなるケースと対策

さて、管理職・マネージャーの方々にとって「部下に仕事を任せることが難しい…」と感じるケースとしては、以下の3点が多いのではないでしょうか。

「部下に仕事を任せることが難しい」と感じる 代表的な3つのケースケース1「こっちは任せてるのに、相手はちゃんとやってくれない…」ケース2「任せた途端部下が勝手に進めてしまう(こちらの意向を考慮しない)」ケース3「任せた業務を、部下がつまらなそうに(やりがいを感じずに)進めている」ケースに見合った対処法が必要です

それぞれのケースと、その対処法について順に見ていきましょう。

ケース1「こっちは任せてるのに、相手はちゃんとやってくれない(動いてくれない)…」

管理職・マネージャーの方が部下に仕事を任せた際に、結果として中途半端な成果物や結果になってしまい、「せっかく大事な仕事を任せたのに、ちゃんとやってくれなかったな…」と感じた経験のある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

いつも自身でやっていた資料作成を任せてみたら、要点がいくつも抜け落ちていたり、ほとんどが前回自分が作成したもののコピペになっていた…というようなケースから、大事な商談を部下に任せてみたら、一番確認しておいてほしかったところを「すみません、聞きそびれてしまい、確認できていません」と言われたり・・・、こういったケースは枚挙に暇がありません。

私たちはそういった経験を持つと、どうしても「次からは自分がやったほうが良いかもしれない」であったり、「まだ部下にこの業務を任せるのは早かったのかもしれない」といった見解になりがちです。

たしかに、その見解の方が適していることもあるでしょう。──ですが、実際にそうした場合は、間違いなく部下の成長ペースと、そしてあなたとの信頼関係の構築には少なからずのブレーキもかかってしまうものです

ケース1の対策:上司は、常に「成果」と「成長」のバランスを意識する

任せた業務が「うまく行かなかった」というケースは、往々にしてあるものです。
ひとつの成果(結果)という観点で観たときに、それは「失敗」と判断されることもあるでしょう。

ですが、組織・チームはひとつひとつの「成果(結果)」の積みあげによって運営の継続が可能になると同時に、関わる人たちのたゆまない「成長」によって、その継続実現性を高められるものです。

そして、「成長」の際にもっとも欠かせないものは「失敗」です。
人は失敗によって振り返り、そしてそこで新たな気づきを得て、より良い行動(試行)に結び付けていきます。

部下に仕事を任せて「うまく行かなかった」場合、それは部下の失敗と表現することもできるかもしれませんし、もしかしたら仕事を任せたあなた自身の「判断ミス」だったのかもしれません。

ですが、それらの失敗自体もまた、あなたや部下、ひいては組織・チームの「成長」にとって必要なものにしていけることでしょう。

管理職・マネージャーは、それら「成果」と「成長」の観点を、どちらか一方に偏ることなく、バランスよく接していくことが求められるのです。
そうすることによって、任せた業務が上手くいかなかったことに対して適度に寛容になれることもあるでしょうし、その失敗から得られた学び・経験もまた有効活用されやすくなるはずです。

ケース2「任せたとたん、部下が勝手に進めてしまう(こちらの意向を考慮しない・報連相がない等)」

せっかく部下に仕事を任せたのに、「部下がどんどんこちらの意向を無視して進めてしまう」であったり、「進捗に対する報連相がほとんどない」とヤキモキする管理職・マネージャーの方も、少なからずいらっしゃることでしょう。

かつ、その際に「お願いした仕事は、そういうことじゃなくて、もっとこういう風にしてほしい」であったり、「もっと報連相をしっかりしてくれないと困る」とこちらからお願い(または注意)すると、部下の方で困惑した表情を、──ときにはあからさまに不満そうな表情をしてきたり…。

部下の方では、「そういうことなら、先に言って欲しかった」という想いがあるかもしれませんし、仕事を任せた私たち側からすると「いや、言っていたはずだけど」であったり、「それくらいは言わなくても分かってほしい」という想いがあったりするものです。

うまく行かない理由・原因をつきとめようとすればするほど、お互いに主張を譲れなくなってしまうこともあるかもしれません。

ケース2の対策:部下にもっと「分かってほしい」と思った時は、先に部下のことをより深く「分かる」よう心がける

管理職・マネージャーの方が、部下に対して「どんどんこちらの意向を無視して進めてしまう」であったり、「進捗に対する報連相がほとんどない」と感じるとき──、それは「こちらのことをもっと分かってほしい(理解してほしい)」という気持ちの裏返しでもあります。

ですが、「相手のことを真に理解する」ことは決して簡単なことではありませんし、ましてやその相手が「目上の人」であった場合はなおさらです。

もちろん、簡単ではないからといって相手を理解する為の働きかけを放棄すべきではありませんが、その際はまず「自分の方から、相手をより理解しようとする」ことを心がけると良いでしょう。

もしここで、「自分は部下のことを理解しているから、大丈夫」という管理職・マネージャーの方がいらっしゃいましたら、それはご自身の「思い上がり」である可能性が高いことを疑ってみたほうが良いかもしれません。

なぜなら、人は他人のことを完全に理解することは、絶対にできないのですから。
ここで重要となるのは、「理解できている/できていない」ではなく「理解しようとしている/していない」です。つまり、相手を【更に】理解しようとする意識・行動を持てているかが大切なのです。

そして、人は相手が自分のことを理解しようとしていることが分かると、自分も相手を理解しようとするものです。

管理職・マネージャーの方が、部下にもっと「こちらの(言っている)ことを理解してほしい」と思ったら、まずは部下に対して「もっと深く理解しよう」という意識・行動を(さらに強く)掲げるべきでしょう。

そうすれば、このケースにおける問題は、(すぐにとは言いませんが)おのずと解決へと進んでいくことでしょう。

ケース3「任せた業務を、部下がつまらなそうに(やりがいを感じずに)進めている」

部下に「やりがいのある仕事」や「チャレンジや成長の機会に繋がる仕事」を渡したつもりでも、当の部下がその業務を無関心またはつまらなそうに取り組んでいる──、といった経験をしたことのある管理職・マネージャーの方もいらっしゃることでしょう。

私自身も、過去に部下に重要かつやりがいのある仕事を渡した(と、私が認識していた)ところ、あとになって部下がいろんな人たちに「面倒な仕事を回されて、困っている」とこぼしていた(つまり、部下はそのように認識していた)ことを知った──といったことがありました。

当時は、自身の浅はかさと共に「やりがいというのは、本当に人それぞれなんだなあ」としみじみ思ったものです。
確かに、私とその部下は性格もタイプもかなり異なっていましたので、部下にとっては本当に「面倒な仕事」と感じていたのでしょう。

部下とはその後、今後どうしていくのが一番良いかを話し合い、結果として部下の真にチャレンジしたい業務はほかにあるということ(かつ充分チャレンジ可能な領域でした)が判明したのでそこに向けて取り組んでもらい、当初の仕事は他の部下にお願いすることになりました。

ケース3の対策:部下が求めているものをより深く理解する

このケースの場合、管理職・マネージャーは、「部下の求めているもの」をより深く理解していくことが求められるでしょう。

先に述べたように、「やりがい」をどこに感じるかは人それぞれです。自分にとってやりがいを感じられるものが、相手も同様とは限らないということですね。

その他、部下自身が業務を任された際、「結果や成果が出始めて、ようやくやりがいを感じ始める」といったケースもあります。

管理職・マネージャーは、「部下にやりがいを感じてもらう」ことに意識を掲げるのは大切なことだと私は思いますが、一方でその気持ちが強まりすぎてしまって「やりがいを強要する」ように感じられてしまっては元も子もありません。

任せる業務について、そして部下が現在求めているものについてじっくりと話し合い、相互理解を育みつつ進めていくことが、このケースにおいては肝要になることでしょう。

上司が上手に部下へ仕事を任せる3つの「コツ」

ここまで、管理職・マネージャーが部下に仕事を任せる際に難しくなるケースとその対策についてお話しました。

続いては、管理職・マネージャーの方々が「仕事を任せる難しさ」を感じずに、前向きに部下に仕事を渡していける為の3つの「コツ」について、お話していきます

仕事を任せるときの、「頼み方」のレパートリーを持っておく

上手に部下へ仕事を任せる際の「コツ」の1つ目に紹介したいのは、「仕事を任せるときの、様々な頼み方」を知ることです。

例えば、実際に部下に仕事をお願いするときには、以下のような頼み方のパターンがあるでしょう。

パターン サンプル口調 相手が受ける印象
#1
「やってもらいたい」
「やっておいて欲しい」
「〇〇さん、この仕事を、やっておいて欲しいんだけど」 一般的な指示または命令
#2
「一緒に進めたい」
「一緒にやりたい」
「この仕事、〇〇さんと一緒にやりたいと思ってるんだ」 協働、チームワーク、仲間意識
#3
「支援してほしい」
「フォローをお願いしたい」
「この仕事について、〇〇さんの支援があると嬉しいんだけど」 頼られている、信頼されている感覚
#4
「任せたい」
「担当になってほしい」
「この仕事、〇〇さんに任せたいと思っているんだ」 頼られている、結果を期待されている感覚

もしこれまで、部下に仕事を任せようとする際に「#1」のパターンでのみ依頼していたという管理職・マネージャーの方がいたとしたら、要注意です。
恐らくご自身からすれば、部下を信頼して仕事を任せようとしたのかもしれませんが、部下からすると単なる指示・命令として受け止めて「任された」という感覚を持てていなかったかもしれません

依頼内容や部下のスキルや経験、そしてその時の状況を見つつ、#2~#4の依頼のしかたも使い分けておくと、より効果的に部下に仕事を任せていくことができるでしょう。

相手のやり方を確認しつつ、状況に応じて「上手くできるやり方」を示す

部下に仕事を任せる際に、「任せたのは良いけど、まだちょっと不安だな…」という感覚を持つ場合は、任せる仕事内容について説明を済ませた後に、以下のようなコミュニケーションをしておくと良いでしょう。

「今回の仕事だけど、〇〇さんだったら何から先に進める?」

たとえあなたが任せる仕事について丁寧に説明したとしても、それが部下にとって初めてのものだとしたら、多くの部下は「まずはじめに、何からすれば良いんだろう?」というところから悩むことになるでしょう。

何にせよ、人がひとつの仕事内容を真に理解するのは、その仕事を終えたときです。そして、部下は任された仕事に対して何度も試行錯誤を重ねながら進めていくものです。

管理職・マネージャーの方は、その際に部下が「最初の一歩」についてどう考えているかを確認しておくと、案外部下のその後の進め方のイメージが付きやすくなるものです。

そこで、「もっとこうしたほうが良いかな」という点が見えたら、部下の考えを承認しながらも、「それから、こういう点を意識しつつ進めると良いと思うよ」といった風に、プラスαのアドバイスを付け加えておくと良いでしょう。

そういった上司からの配慮あるコミュニケーションが、部下の「仕事を任されている感」や、更には「信頼関係」を高めていくことに寄与できるのです。

「途中の段階で確認していったほうが確実そうだね。どのタイミングで確認を取り合おうか」

管理職・マネージャーの方からすると、任せた仕事は途中段階でも確認をしておきたいところでしょう。

ですが、多くの部下は、「途中の進捗報告」を得てして上手く行えないものです。その理由・背景は実に様々で、例えば部下の「中途半端(不完全)な状態で報告することへの緊張や恐怖」といった感情が存在することもあるでしょうし、任された業務に対して「どこまで部下自身の裁量で決められ、どこまで上司の裁量(事前了承)が求められるか」といった線引きが難しい場合もあるでしょう。

上司はそういった部下の感情や状況にも理解をしつつ、とはいえ途中確認の機会をきちんと確保しておくために、その重要性を部下に伝えるとともにタイミング自体を部下に決めさせ、自発的な行動を意識付けさせるのが効果的です。

部下の方では、「上司は途中の進捗報告を求めているのだな」という認識を持ちやすくなりますし、報告をする際に不明点を相談する機会にも繋がりますので、上司の方でもフォローをしやすくなります。

部下に仕事を任せることにした理由を、自身の「想い・意思」をもって伝える

管理職・マネージャーの方で、部下に仕事を任せる際に「なぜこの仕事を任せるか」について説明されている方は多いことでしょう。

ですが、その説明の意図が部下に完全に伝わっていないということは、往々に起こりえるものです。

なぜ、「仕事を任せる理由」が部下に伝わらないのか──、それは、部下からすると任された仕事に対してはまず「やり方・手法(HOW)」に目が行き、「その仕事をやる理由、意義」(WHY)には意識が行きにくいからです

このことは、図で表すとより分かりやすくなるでしょう。

「任された仕事」の構造

上記図は、「任された仕事」に対して、上司と部下とで一般的にどのように捉えているかを表しています。

「部下の視点」においては、任された仕事(WHAT)に対して、すぐに「どう仕事を進めるか」(HOW)という風に視点が遷移しているのが分かります。

一方「上司の視点」においては、そもそも任せた仕事(WHAT)にはその背景(WHYやBIG WHY)があります。この部分が、部下からすると「見えにくい」ということですね。

上司の方においても、仕事を任せるときに「その仕事をやる理由(WHY)」を伝える方は多いでしょうが、その先の「目指したいゴール・ビジョン(BIG WHY)」まで部下と共有されているという方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

ですが、上司─部下の関係のみならず、業務の「BIG WHY」(目指したいゴール・ビジョン)を共有できているチームは、非常に高いパフォーマンスを発揮できるものです。

任せた業務を部下が高い品質で成し遂げてもらうようにするためには、管理職・マネージャーの方々はその業務の「WHY」だけでなく「BIG WHY」まで、丁寧に伝えていくことが大切です。

まとめ)「上手な仕事の任せ方」に悩まない管理職・マネージャーはいない。かつ、悩むからこそ道が開ける

ここまでお読みになられて、いかがでしたでしょうか。

「部下になかなかうまく仕事を任せられない」という管理職・マネージャーの方において、いくつか上手な任せ方のヒントを得られたのではないでしょうか。

一つ申し上げておきたいことがあります。
それは、本記事のテーマである「部下への仕事の任せ方」で悩んでいない管理職・マネージャーの方は、おそらくほとんどいない、ということです。

もし、「自分は部下に仕事を任せているけど、任せ方で悩んだことは一回もないけど?」という方がいらっしゃったら、それはその方が優秀なのではなく、その方の部下が優秀だからでしょう。

誰しもが、そして部下への想いが強ければ強いほど、仕事の任せ方について悩むことがあるはずです。
そして、その悩むという行為自体が、「より良い部下への任せ方」を見出していき、ひいては部下との信頼関係や、チームとしての成果・成長にも繋がっていくものだと、私は思います。

この記事が、日々部下の育成・指導にあたる管理職・マネージャーの方々のご参考になることを、心より願っています。

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