管理職体験談:派遣社員から管理職になった私は、やがて大きな過ちを犯しました。
[最終更新日]2019/05/10
現在私は人材派遣会社のマネージャー職を務めています。
主な業務内容は、コールセンターの派遣社員の勤怠管理や契約更新手続きや、派遣社員の方の仕事の悩みや問題解決などです。
blackies1snakeさん(男性 36歳)
- 職業
- コールセンター職員
- 職種
- 人材派遣会社
- 年収
- 400万円
- 従業員規模
- 100人
- 地域
- 東京都
Index
目次
派遣社員から、管理職の立場へ。
マネージャーになる前は私も派遣社員としてコールセンターに勤務していました。
そこでは大幅な事業編成があり、事業拡大に伴って管理職を増やしたいという会社の意向がありました。
しかし当時は、管理職なんてあまり自分には関係ないと思っていました。
当時私は、コールセンターの仕事を辞めたいな、と思っていました。
その時、相談に乗ってくださっていた上司から
- 上司
-
「正社員になってもらえないかな」
と直談判され、これまでの恩もあったのでそのお話を受けることにしたのです。
そして数年後には管理職になり、現在に至ります。
管理職になると、自然と派遣社員の方との付き合いが長くなります。
その方の成長を見られたり、派遣社員の方がもっと働きやすくなるように業務改善を行うことに、私はやりがいを感じます。
「管理職=波風を立てないようにするポジション」と考えていた結果。
ある時、営業社員の尽力によって、当社のコールセンターからクライアント先へ派遣社員を数名送ることが決まりました。
マネージャー職になってはじめての大仕事でした。
クライアント先は大所帯のコールセンターです。
他企業の派遣先からも何人もの人が働きに来ています。
ある時、派遣先へ行っている社員から悩みを打ち明けられたのです。
- 派遣社員
-
「(クライアント先の)社員の方とうまくいっていないんです……」
しかし、大口のクライアントです。私はそのことばかりに気を取られ、その社員の悩みを真剣に取り合うことなく、
- 私
-
「でも契約は契約だからさ。我慢するしかないよ」
というような発言をしてしまいました。
私はクライアントの機嫌を損ねないよう、あまり波風の立つような出来事を避けるようになっていきました。
「管理職としての責任」を履き違えていた部分もあるかもしれません。
自分の上司にも相談せず、自分一人で穏便に事を済ませようとしてしまっていたのです。
つまり、自社の派遣社員のことよりも、会社としての利益を優先していたんですね。
そんなことを繰り返した結果、当社の派遣社員が一気に会社を離れていきました。
これまでの業務が困難になるほどの人員不足に陥ってしまったのです。
私の独断のせいで、会社の信用を損ね、多くの人に迷惑をかけました。
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失敗の原因は、管理職としての「恐れ」。
当社の派遣社員が大量に辞めてから、臨時ではありますが別のセンターから人員を融通してくださり、何とか事なきを得ました。
その際、クライアントのセンター責任者の方に言われたことなのですが、
- クライアント先
-
「組織というのは人と人で出来上がっているものであり、立場なんて関係ないですよ。だから、もし悩みがあれば相談してください。私たちもできるだけ力になります」
とおっしゃってくださったのです。
私は改めて自分のことしか考えていなかったことに気づきました。
私は、派遣社員が人間関係で悩んでいることをクライアントに話して、関係が悪化することを恐れていました。
そしてその恐れは、私が「管理能力不十分」と思われるんじゃないかという気持ちから発生した感情です。
あの出来事があってから私は、頻繁に派遣社員と面談を行い、悩みや問題点の解決に努めました。
たとえ衝突することになったとしても、きちんとクライアント先に言うことを心がけました。
すると、次第にクライアント先からの信頼も回復していきました。
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当時を振り返って、今思うことは。
もしかしたら当時私は、「管理職」である立場から「派遣社員」の悩みを少し軽んじていたのかもしれません。
その結果、取り返しのつかない事態に陥ってしまいました。
本当に愚かな態度だったと思います。
そしておこがましいですが、この出来事から良い勉強ができたとも思っています。
過去をやり直すことはもうできません。
しかし過去から学ぶことはできます。
私が今後やっていかなければならないのは、ピンチの際に助けてくれた別センターの社員の皆さま、付き合いを続けてくださっているクライアント先、そして何より自社の派遣社員への恩返しとして、より働きやすく、利益に繋がる業務改善に取り組んでいくことです。
管理職とは。そして今後目指していきたいことは。
今では「管理職」という肩書きでも、立場としては皆平等だと考えるようになりました。
むしろ対等でなければならないのです。
例えば上下関係の意識が生まれてしまうと、気軽に相談などしてくれない可能性があるのです。
対等な立場だからこそ聞き出せる本音があり、生まれる信頼関係があると思います。
それに気づけないままでいれば、今頃は組織は破滅していたでしょう。
クライアント、派遣社員、管理職。それぞれの問題点に真摯に向き合い解決していくことで、それぞれの利益に繋がります。
だからこそ、そういった立場間の垣根なく、気軽に何でも言い合えるような環境づくりに尽力していくつもりです。
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