私の管理職体験談:急遽降ってきた大プロジェクト。そして、責任者は私。

[最終更新日]2023/10/17

体験談
0
私の管理職体験談:急遽降ってきた大プロジェクト。そして、責任者は私。

広告会社の制作部署で、現在は管理職をしています。

チームの構成員は、アートディレクターやデザイナー、プランナーなど。
自分自身もプランナーとして制作に関わりつつ、対顧客への総合窓口、部下のマネジメント、育成・管理を行っています。

家族構成は夫と2人暮らしです。趣味は、「食べ歩き」ですね。プライベートではのんびりというか、ぐうたらな感じです笑。

仕事中はよく周囲の人から「テキパキしている」と言われることが多いのですが、その反動が休日に出ているのかもしれません。人生、メリハリが大事ですから!





HALさん(女性 40歳)
職業
広告代理店
職種
企画・制作
年収
約450万円
従業員規模
40人(うち部下4人)
地域
東京都

Index

目次

新卒からずっと、広告会社のプランナーとして働いて。

プランナーとして働いて

大学を出て社会人になってから、新卒で広告会社に入社しました。
プランナーとして10年ほど経験を積んで、32歳のとき、同業の今の会社に転職しました。その後、36歳で管理職になりました。

入社のころから大切にしてきたことは、「自分が携わっている仕事が、どういう意味をもつのか」を意識することです。
具体的にいうと、単なる事務作業や原稿チェックの業務でも、「この作業が何のために必要なのか」「これはどう使われて、どうすれば効率が上がるのか」ということを考えるのです。

新人の頃からそういった習慣を持っていたことが、管理職になってからの業務改善やコスト管理、人材育成といった仕事をする際に役に立ったと、今でも感じています。



管理職になって感じたのは、「仕事のやりやすさ」への予感、そして不安。

管理職に抜擢されて

管理職になる1年以上前あたりから、取引先の担当さん達が上司を飛ばして直接私に話がくることが多くなりました。担当さん達は、私を責任者として見ていたようです。

ですが、責任者は上司でしたので、「その件は上司の〇〇から改めてご連絡します」と伝えなくてはいけません。少々のもどかしさややりづらさを感じていました。

そんなときに、上層部から私をリーダー(管理職)にしてチームを2つに分けるという話が出てきて。

正直、ほっとしました。その頃はなんとなく、私と上司のコミュニケーションも少しぎこちなくなりかけていましたので。

上層部の体制変更の理由は、「チームの仕事とメンバーが増えたのでチームを2つに分けて活性化させる」というものでした。
──円満に体制を移行できましたし、周囲の反応も好意的だったと思います。

私自身も、「これで仕事がやりやすくなる」と思いました。ただ、「責任者」という立場となることに少々プレッシャーも感じたことを覚えています。



大プロジェクトがやってきた。

大プロジェクトの責任者に抜擢されて不安な私に社長は…

管理職になってから数年が経った38歳のときに、取引先の企業から新しい仕事の依頼がありました。

それは、とても大きなプロジェクトでした。
自分自身も経験したことのない範疇の仕事で、予算規模も大きく、

(この仕事の責任者って、え…私?)

と、正直とても不安を感じました。

会社としてはまたとないチャンスではありましたが、失敗するリスクはこれまでの案件の比ではないだろうと思い、悩んだ末に社長に面談を申し込み、

「こういう依頼をいただいたのは嬉しいし、会社として挑戦すべきだと思うけれど、私自身不安が大きくあります」

──と、暗に辞退する意思を伝えました。
すると社長は、こう言ったのです。

社長

失敗を恐れずに、やってみればいいのに

意表を突かれてすぐに返答できなかった私に、社長はこう伝えました。

社長

「大きな売上をあげるのももちろん大切だけれど、それよりもこんな大きな仕事をうちに依頼しようと思ってくれた担当さんの気持ちに応えることは、もっと大切なことだと思うよ。
君もそう思えるなら、失敗を恐れずにやってみたらいい。必要であれば私がフォローします

そう言われて、なんだか胸の奥が熱を帯びるの感じて。いつの間にか、(当り前じゃないか、やるに決まってる!)という気持ちに変わっていました。

その後、私はメンバー数人とで企画チームを立ち上げました。
プランニング、提案、再調整を繰り返し、並大抵ではないトラブルや苦労も幾度となくやってきましたが、半年後に無事に案件を着地させ、納品することができました。

「評価してくれている」ことのありがたさ

自分のことを評価してくれている人の存在

その時の案件を、なぜ私は最後までモチベーションを維持してやり遂げられたのか。
──それはきっと、私のことを評価してくれている人の存在があったからだと思います。

今回の案件ではそのことを強く感じられて、だから私は今まで以上のパフォーマンスで、業務に臨むことができたのでしょう。

また、社長が「いざとなったらフォローしてくれる」と言ってくれたことも大きな安心感につながっていました。

仕事における人の活動って、どうしてもその人の技術や経験で見られてしまうことが多いと思います。ですが、前向きな気持ちを持っているかいないかでこうも大きく変わることを、今回のことで知ることができました。

それ以来、私自身も部下に対して、「あなたのこういうところを評価している」と伝えることを大事にするようにしました。
そして、「何かあったら自分が責任をとる」ということも忘れずに付け加えています。まあ、全部社長が言ってくれたことをマネしているんですけれどね笑。



また新たな局面に差しかかって。

厳しい状況の時も前向きな気持ちを持ち続けて

大プロジェクトを終えてからここ数年は、特に大きなトラブルもなく、私自身の管理職としての業務スタイルも確立し、部下も育ってきて──、という安泰な時期が続いていました。

ですが、2020年のコロナ禍の影響で、取引先の経営悪化による広告費の削減が度々起きるようになりました。
いま私の会社の業績はかなり下がってきていて、厳しい状況になっています。

これまで私は、「信頼関係をつなぎ、しっかり業務を継続させていく」こと、そして「部下が萎縮せずに新しいことに挑戦しやすい環境をつくること」を心がけてきました。
ですが、それだけで今の状況を打破できるかというと、その見込みは少ないでしょう。

ただ、見込みは少なくとも、諦めてはいません。前向きな気持ちは持ち続けられています。
働くうえで私がこれまで大切にしてきたことを維持しつつ、新しいチャレンジに向けて部下たちとも協力し合いながら、この局面を乗り越えていきたいと思います。