女性管理職は女性ならではの強みを! 男性らしく振舞うと、思わぬ落とし穴にも──

[最終更新日]2023/11/06

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昨今、多くの日本大手企業が女性管理職増強を目標に掲げるなど、その対応が加速している一方、まだ過渡期であることは否めず、各企業とも女性管理職の方が活躍してもらうための環境や制度の提供を模索しているも現状です。

既に女性管理職として活躍している方自身も、よりリーダーらしさを発揮するにはどうしたら良いのか、手探りで管理職をこなしている方も多くいるかもしれません。今回はそんな女性管理職の方のための情報を紹介していきます。

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目次

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女性管理職は、どんな悩みがある?

女性管理職の悩み#1 女性管理職に対する周りの視線

女性管理職であるというだけで、部下や周りの組織から身構えられてしまう。女性差別とも思えるような言動をされてしまったり、そうでなくとも周りの言動に敏感になってしまう。

「女性は感情的な生き物だからー」と、偏見的な見方をされてしまう。といった女性管理職ゆえの周りの視点や態度は、まだまだ避けられない環境で、これは現在の女性管理職の方へのプレッシャーにもなっています。

今後、女性管理職がますます増えて会社として見慣れた状態になることで、この問題は解決していくでしょう。ただし、現時点ではこれが日本企業の限界であるという認識をもって、自分なりの対策や準備作戦を持つようにしましょう。

実は、これらの内容は印象・偏見でしかなく、普段の業務の中で管理職としての能力をしっかりと発揮できれば、すぐに解消するものですし、逆のそのギャップ効果で高い評価に繋がる可能性もあります。

女性管理職の悩み#2 女性独自のライフイベントへの対応

ライフイベントという点で、出産や育児などは、女性はどうしても男性よりも考慮すべきイベントが多くなります。そのライフイベントのゆえに女性を管理職にさせられなかった、というのは、日本が受け止めるべき従来の企業風土であり、直ちにそれを変えていくのは当然容易ではありません。

女性管理職を増やしながら、同時に「女性管理職×女性独自のライフイベント」という視点での制度と環境を模索している現在、これは女性管理職を悩ませている大きな問題の1つと言えます。

一方で、こうした環境・制度対応への追い風が「働き方改革」のスローガンです。多様化する働き方には、女性の働きやすさも含まれ、リモートワークをはじめとした従来の日本企業にはなかった環境・制度の確立が強く求められています。

この流れは加速しており、もし自社に適切な制度がなければ、この流れと女性管理職のタイ場を上手く利用して、どんどん制度の提案をしていきましょう。今はそのチャンスの時期ともいえます。

女性管理職の悩み#3 同じ立場の同性が少ない孤独感

同性で同じ立場の人が周りにいないというのは、ちょっとした悩み事やストレスの発散ができず、仕事をする環境下としては厳しいものです。

同じ組織の部下やオフィスに女性が多く居たとしても、立場が変われば話したい内容も変わってしまうため、どうしても孤独感を持ってしまいがちです。また、管理職という立場からも、その振る舞いを意識するあまりメンタル的に無理をしてしまいがちです。

こういった孤独感への対処として、まず要因の1つになる「振る舞い」に関して、管理職自ら部下や関係者へどんどん仕事を振ったり、抱え込まずにヘルプ出すことが大切です。

管理職の最大の仕事は、自分ではなく、チームで成果を出すことなので、そう割り切った仕事をしていきましょう。チームが機能して成果がでれば、それだけでも管理職としての信頼を持たれますし、それに伴い、悩みそのものを減らすことも期待できます。

女性管理職の「こうあるべき」から来る落とし穴

管理職になった際に、従来の管理職やリーダー像をイメージしながら「強いリーダシップを発揮して、組織を引っ張っていかなければならない」「リーダーらしい振る舞いを身に着けていかないと」という気持ちに誰でもなるものです。

ただし、ここで女性が管理職になったときに気を付けたいのは、「リーダーらしさ=男性っぽく振る舞う」という思考が無意識に生まれやすいことです。

ここでは、そうした無意識に陥ってしまうリーダー像への固定観念と、その影響について説明していきます。

「こうあるべき」という意識が、自身を窮地に追いやることも

野心的で競争心があり、自己主張が強い」。こういった特性をもった人の性別が、男性か女性かという違いで、私たちはその人への評価が変化し、さらにその人が女性だった場合、批判的な見方をする傾向があることがアメリカのラトガース大学の研究調査から明らかになっています。

下記にこの研究成果の概要をまとめました。研究では人が持つ64個の特性を列挙し、2つのアンケート調査を実施しています。

<質問>
1.「その特性を持っていることが、男性あるは女性にとってどの程度望ましいか
2.「社会的・文化的に上位にある人、下位にある人は、その特性をどの程度共通して持っていると考えるか

<結果>
望ましい特性
 男性:好戦的、積極的、自立、ハードワーク
 女性:優しい、周囲への気遣い、手助けを惜しまない

望ましくない特性
 男性:感情的、ナイーブ、弱い、自身がない
 女性:好戦的、威圧的、支配的、傲慢

社会的・文化的に上にある人の特性(=リーダーになる人の特性)
 積極的、野心的、好戦的

ポイントは、「男性が持つと望ましい特性」と「リーダーになる人が持つと考えられる特性」が一致している点です。私たちは女性がリーダーになることが無意識的に相応しくないと考えることを意味しています。

また、これが男女共通の結果である点も見逃せません。女性自身(女性リーダー自身)も、リーダーに対して同じ感覚を抱いているという事です。この固定観念が女性管理職としての働きにくさを増長しているといえます。

「べき論」ではなく、「自分らしい働き方・リーダーシップ」を見つけていくことが大切

上記の傾向は全世界で共通していることもわかっており、もはや現代においては避けられない傾向といえます。特にこれをダイレクトに受けてしまう女性管理職の方は、まずはこの事実を認識することが何よりの対策になります。過去の歴史がこうしたものだと割り切り、将来の新しいリーダー像に目を向けましょう。

実は今、「女性にとって望ましいとされる特性」(周囲の気遣い、手助けを惜しまない)が、これからの時代の組織マネジメントとして注目されているのです。

既に浸透しつつあるコーチングをはじめ、「サーバント・リーダーシップ」「変革型リーダーシップ」など、新たなリーダー論は組織を引っ張るリーダーよりも、支えるリーダーが現代の組織には適していることが多くの企業で証明されつつあります。

現代は企業が旧時代から変わっていく過渡期であることは間違いなく、女性管理職の方は、今ある「べき論」に捕らわれることなく女性や自分の強みを軸に据えたリーダーシップを模索してく視点を持つことが大切になるでしょう。

女性管理職が意識したい、3つの視点

各企業は制度に背中を押される形で女性管理職の起用を進めながらも、将来的にはこれを「戦略」として押し上げたい狙いがあります。それは、昨今の「働き方改革」とも相まって、人材の確保の点で欠かせない要素になっていくからです。

そのためにも、既に女性管理職になられている方の働きや成果は無視できないものですし、期待もされているはずです。そこでここでは、この現代の時代背景の中でこそ意識してもらいたい女性管理職としての視点を3つ紹介していきます。

視点#1 女性視点をあえて組織マネジメントに活かす

悩みの項目でも触れましたが、女性が多い職場でもない限り、女性管理職という立場は必要以上に「男女」という性別の傾向を取り挙げられがちです。理想を求めすぎず、むしろこの現状を割り切って受け止め、それを組織マネジメントに活かす機会にしてみましょう。

メンバーの性格に踏み込む準備段階として、男女の特性からアプローチをしてみるイメージです。そもそも、男性がずっと管理職であったときには無かった視点です。 女性だからこそ見える男性メンバーの活かし方や、女性メンバーの活かし方を意識して実践するのはマネジメントしても有効でしょう。

例えば、同じ仕事を依頼するときにも、傾向として男性は「できます」「大丈夫です」と言う(実際に出来ないもある)。女性は十分出来ることも「私には難しい」「できません」という傾向の違いがあるそうです。

こういう情報を頭に入れて置くだけでも、やらせてみてフォローに徹するか、背中を押すようなアプローチをすればいいか、的確な指示に繋がるはずです。

視点#2 女性の「強み」を意識する

実際に女性上司のいる会社員に「女性上司について、女性ゆえに優れている点はどこですか?」というアンケートをとった結果によると、「フェアであること」「周囲への気遣い」「時短勤務のため、仕事が早い」「同性にしかわからない点の配慮がある」というキーワードが挙がりました。

こういった周囲からの客観的な印象は、女性管理職の「強み」として、自信を持って積極的に自己マネジメントとして活かしいきましょう。

そうすることで、自ずと会社も男性管理職よりも女性管理職が得意とする仕事がみえてくる可能性が有り、それが本当の意味で女性が働きやすい職場などへつながる企業の戦略になります。

「フェアである」「周期の気遣い」は管理職に必須の能力ですし、「時短で仕事が早い」というのも、男性にはない女性独自のライフイベントこそ自発的、積極的に取り組んでいける組織マネジメントにつながります。今の企業にとっても、女性の「強み」がみえる働きに否定的にはならないはずです。

視点#3 働き方改革を後押しする提案につなげる

女性管理職の積極起用は、この数年でクローズアップされている「働き方改革」にも含まれもので、この政策は女性にとっては追い風になっています。皆さんの企業が、いずれの対応についてどういう考えで、どの段階にいるかはそれぞれとは思いますが、近い将来、企業にとっては必ず議論が求められるテーマです。

「視点#2」でも述べたように、女性は独自のライフイベントがあるため、その視点からの「より働きやすい環境」にモノが言える立場です。さらに、管理職であれば、この立場は大いに利用すべきです。

もしかしたら、会社自体はそういう風潮がまだ浸透してない、という場合でも、社会全体がそういう風潮なので必ず仲間はいるはずです。

組織を任されている以上、自分の裁量でできる範囲もある程度広いため、その立場を上手く利用して「働き方の改善」に女性管理職としてのやりがいを置くのも、いいアイデアです。そうすることで、女性のライフイベントは、仕事上の制約でなく改善の材料としても捉えることができるからです。

私の管理職体験談

私は6年以上勤めた組織で初の女性管理職(課長職)となりました。私の部門の管理職は、とにかく会議が多く、毎日のように部内の定期MTもある。緊急案件があれば定時以降の会議も当たり前という環境でした。

長く居る分、私もそれに慣れてしまっていたのもあり、課長になった当時は自分もこの業務をこなさなければという発想しかありませんでした。ただ、いざやってみるとあまりに厳しい。幼稚園に通う子供への対応がメンバー時代に比べて上手くできないことに、かなり悩まされました。

いよいよメンタル的にもパンクしてしまいそうと感じたとき、部長に相談を持ちかけました。幸い、部長とは長く知った仲だったのと、会社としての働き方への改善方針もあったことから、この私の悩みを1つの課題・モデルケースとして、部内の業務改善をすることに賛同してくれました。

現在は、web会議の積極的な導入や、定期MTを出退勤の直前・直後には入れないルール改訂、さらに同じ部門の女性メンバー中心になって、私以外の悩みをモデルケースとして次の改善案につなげていく活動をしています。

女性にとって、管理職の仕事そのものに何か不利を感じることはないと思います。注意したいのは、私が経験したように従来の管理職の業務スタイルが女性に配慮してない点

ただそれも、管理職としてそれらを解決できる立場と権利をもっているのは大きな希望ですし、そういった「働き方」を変えるのは、女性にこそできる仕事とも思っています。皆さんの悩みを悩みで終わらせず、チャンスやアイデアにしてみてください。女性に追い風がきている今だからこそ、きっとそれは実るはずです。

女性が牽引する21世紀の日本経済

中国に出張したときのことです。会議室に集まった現地の関係社、またその後に訪れた会社で紹介された責任者、そのほとんどが女性でした。中国における女性のパワーに驚くとともに、こうして同性だけで進める仕事がとても新鮮でした。

ボーダレス化する世界で、日本も確実に女性のパワーが発揮される時が来ます。むしろ日本は他の国以上にそれを求めているかもしれません。私たちが今みている仕事の風景とは違った、あの新鮮な感覚を日本でも味わえるのを楽しみにしたいと思います。

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