上司からの忘れられない一言:「お母さんに替えは利かないんだから」
[最終更新日]2022/12/15
「お母さんに替えは利かないんだから」
私は地元の薬局で、医療事務の仕事をしています。
そこで私の上司であり、管理薬剤師でもあるマエさん(仮名)と出会いました。
マエさん(女性 52歳)
- 職業
- 管理薬剤師
- 職種
- 医療
- 年収
- 非公開
- 従業員規模
- 非公開
- 地域
- 広島県
Index
目次
優しくて、仕事熱心で、若々しくて。
マエさんは薬剤師としてはベテランの女性で、年齢は50代前半でした。
背が高くてスラっとしているので、年齢よりもかなり若く見えます。
私の勤め先が特別だったのかもしれませんが、割と上下関係に厳しい仕事場でした。
言い方のキツイ方や意地悪な叱り方をされる人の多い中で、
マエさんは誰に対しても対等に、また丁寧な物言いをされる方でした。
仕事でミスをした際も、叱るというよりは、一緒に解決策を考えてくださるのです。
その他の意地悪な上司も、マエさんの仕事ぶりには一目置いている印象も受けました。
しかもマエさんはその若さでお孫さんがいるらしく、
休憩時間中にはおばあちゃんとお孫さんの心和むエピソードを話してくれます。
二度目の切迫早産の可能性。
私は27歳の時に第2子を妊娠をしました。
一人目を妊娠した際に、切迫早産を経験していたため、
もしかしたら再びその可能性があるかもしれないことは、早めにマエさんにお伝えしました。
- 私
-
「ですので、急に休暇に入ってしまったり、ご迷惑をおかけするかもしれません……」
- マエ
-
「もちろん。気にしなくて大丈夫。無理はしないでね」
マエさんのご厚意に甘えて、早退や時短勤務など、無理をしない範囲で働かせてもらっていました。
妊娠5ヵ月が過ぎたころ。
徐々にお腹も膨らみ始め、お腹の張り止めの薬を服用しながら働くことが多くなりました。
予定では妊娠9ヵ月目まで仕事をして、育児休暇に入ろうと思っていました。
しかし8ヵ月目の検診で、またも切迫早産が起こる可能性がある事を医師に告げられました。
万が一に備え、そのまますぐに入院するかたちになりました。
早産への不安と、明日からいきなり穴が空いてしまう職場への申し訳なさなどもあり、精神的にも少し落ち込んでいました。
私はマエさんに、検診の内容と、急な欠勤を詫びるための電話をしました。
- マエ
-
「何言ってるの。仕事のことは任せて、赤ちゃんのことだけ考えてあげて。お母さんに替えは利かないんだから」
マエさんからのその一言は、とても温かく、忘れられないものとなりました。
何よりも大切にすべきこと。
職場は決して多くはない人材を、ギリギリで回して成り立っている状態でした。
一人が抜けた穴は、決して簡単には埋まらなかったでしょう。
入院が決まってすぐは、お腹の中の赤ちゃんよりも目先の仕事の方が、リアリティを持って目の前に現れたのでした。
しかしマエさんがかけてくれた一言のおかげで私は、
社会人である前に一人の母である私が、今一番に大切にしなければいけないこと。
それを見失わずにいられました。
また、第2子を出産後は2人の子供の面倒を見なければなりませんので、
「仕事を続けるのは難しいかな」と思っていました。
しかし、改めてマエさんの人としてのすばらしさを実感し、
たとえ時短勤務でもパートでも構わないから「またこの人と一緒に働きたい」と思えたのです。
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その後の上司との関係。
二人目の子供も、予定通り無事に産まれてきてくれました。
職場復帰を考えてしばらくは生活していましたが、
パワフルな2人の子供の相手をすることは、想像以上に大変で、そして幸せなことです。
さんざん悩みましたが、私は退職することにしました。
マエさんと別れることは悲しかったです。
誰よりも相手のことを考えて、優しく正しく接してくださる。
そんな上司にはなかなか出会えないでしょうから。
ただ、今でも年に数回、歳の離れた友人として、付き合いは続いています。
仕事の先輩から、お母さんの先輩へと、まだまだたくさんのことを教えてもらっています。
今後、私が目指したいこと。
今は仕事をしていませんが、いずれもし職場復帰するようなことがあれば、
私はマエさんのような上司を目指したいです。
周りと協力し合い、子育てや体調の変化で、誰もが無理せず快適に働ける職場にしていきたいです。
あと、今は幼稚園のPTA役員をしています。
いわばお父さんお母さんの社会ですね。
仕事での関係とはまた違いますが、ここでもたくさんの良い人間関係を育めるといいな、と思います。
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