「テレワークになったら、部下との関係が悪化した?」──そうならない為の、上司が意識すべき対策7選

[最終更新日]2023/11/03

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テレワークになってから、部下との関係性が悪化した…

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークの導入に踏み切った企業は数多くあるはずです。
オフィスに出社しない形で働くのは上司・部下ともに慣れない中、次のような問題が発生していないでしょうか。

部下の様子がよく分からずイラ立つことが増えた
テキストベースのやりとりで誤解や行き違いが生じた
部下をきちんと注意・指導できていないように感じる
目先の仕事に関する細かな管理に追われてしまっている
部下が明らかにやる気をなくしてしまっている

このような上司と部下の関係悪化は、テレワークの環境下でなぜ起きてしまうのでしょうか。

今回は、テレワーク下で起こりやすい上司・部下間でのトラブルと、その回避方法について解説します。
テレワーク導入以降、部下との関係がうまくいっていないように感じている管理職の方は、ぜひ参考にしてください。

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Index

目次

テレワークだと部下との溝ができやすい・うまく叱れない──その理由は?

オフィスに出社して毎日のように顔を合わせていた頃は部下との間でも自然にコミュニケーションが取れていたはずが、テレワークになってから溝ができたような気がする——。
お互いテレワークで働くようになって、部下をうまく叱れなくなったような気がする——。

このようにテレワークへの移行に伴い、とくに部下との関係性に悩みを抱えている管理職の方は少なくないでしょう。

なぜこのように上司・部下の関係性において問題が生じてしまうのでしょうか。その理由にはさまざまな要因が考えられますが、とくに次の2点はテレワークにおいて生じやすい状況と考えられます。




部下の様子が把握しづらく、「ちゃんと仕事をしているか?」という疑念・イラ立ちに繋がりやすい

PC作業中の女性

たとえば、次のような状況をイメージしてください。

上司であるあなたは、部下に「今日中に作成して欲しい資料がある」と伝えてあります。現在の時刻は16時を回っていますが、部下から一向に資料が上がってきません。

こんなとき、オフィスに出社していれば「頼んでおいた資料、どうなっているかな?」と部下に直接たずねることができます。

あるいは、「午前中は顧客対応に追われて資料作成は午後から始めたようだから、きっともうすぐ完成するだろう」といったように、相手が置かれている状況が推察できることもあります。

ところが、テレワークでは得られる情報が限られます。部下がいまどんな状況で仕事をしているのか分からないため、「ちゃんと仕事をしているのか?」「サボっているのではないか?」などと疑念を抱いてしまい、イラ立ちに繋がってしまうこともあるでしょう。

このように相手の様子や状況が見えないことによって、ついネガティブな方向へと想像力を働かせてしまう傾向は多かれ少なかれ誰にもでもあるはずです。




文章メインのコミュニケーションは、送り手と受け手の認識に齟齬が生じやすい

食い違いイメージ

テレワーク導入をきっかけに、Eメールや電話以外のコミュニケーションツールを導入した企業も多いでしょう。

オフィスに出社していれば上司にちょっとした相談や質問ができますが、テレワークではそのような細かなコミュニケーションが取りづらくなりがちです。

そこで、より細やかなコミュニケーションを取りやすくなるよう、チャットツール導入に踏み切った職場もあるはずです。

チャットは優れたコミュニケーションツールですが、難点としてテキストベースのコミュニケーションがメインになる点が挙げられます。

対面で働いているとき、部下の仕事の進み具合を確認するために「今、どのくらい進んでいる?」とたずねるのは、ごくありふれたコミュニケーションです。

ところが、チャット上で「進捗状況を報告してください」とメッセージが飛んでくると、「まるで監視されているようだ」「プレッシャーを感じる」と受け取る人も少なくありません。

このように、文章メインのコミュニケーションは送り手の真意が十分に伝わりにくく、認識が食い違いやすい面があるのです。

テレワークでも、部下・チーム間で相互理解と信頼関係を育むために!対策4選

テレワーク環境下でのコミュニケーションのあり方は対面の場合とは大きく異なります。では、テレワークでは部下との信頼関係やチーム内での相互理解が得られないかと言えば、決してそんなことはありません。

リアルなコミュニケーションではあまりに当たり前で見過ごしてきたことを丁寧に見直していくことによって、テレワークでも相互理解と信頼関係を育むことは可能です。

次に挙げる4つの対策を講じることで、テレワークにおける相互理解を促すとともに信頼関係構築にも役立つはずです。

「オフィシャルな交流の場」をふんだんに持つ個別のミーティング・面談の機会を設けるメールで済みそうな案件も、なるべくオンラインで伝えるこれから先の展望についてもきちんと伝える
  • 「オフィシャルな交流の場」をふんだんに持つ
  • 個別のミーティング・面談の機会を設ける
  • メールで済みそうな要件も、なるべくオンラインで伝える
  • 目先の業務のことだけでなく、これから先の展望についてもきちんと伝える



「オフィシャルな交流の場」をふんだんに持つ

交流イメージ

テレワークで起こりやすい誤解や行き違いの原因の1つに情報不足が挙げられます。
担当する仕事を進める上で必須の情報があれば職務を遂行すること自体は可能かもしれませんが、仕事の背景にある意図やチーム全体での進捗が把握できない状況に陥ることは十分にあり得ます。

すると、上司からの確認メールに対して必要以上にプレッシャーを感じたり、同僚の仕事の進み具合が分からず焦りを感じたりしやすくなります。

こうした状況に陥るのを防ぐには、チームや部署としてのつながりや一体感を持たせる工夫を取り入れるといいでしょう。

たとえば、オフィスに出勤した際に朝礼を実施している職場であれば、在宅勤務であってもビデオ通話で朝礼の時間を設ける、といった取り組みが考えられます。

始業時刻に情報交換を行い、仕事の進捗状況やその日の目標を明確にしておくことで、チームの意思統一を図る効果が期待できます。

また、オンラインミーティングなど交流の機会を意図的に作ることでお互いの様子が見えやすくなり、心理的な安心感を得やすくなります。




個別のミーティング・面談の機会を設ける

個別面談のイメージ

チームや部署全体でのミーティングとは別に、上司と部下での個別のミーティングや面談の機会を設けることも重要です。

他の社員がいるときには言いにくいことでも、個別に話せる機会があれば相談を持ちかけてくれる場合もあるからです。

オフィスで直接会って話しても、ビデオ通話で話しても構いません。重要なのは、1対1で話す場が設けられ、そのために上司が時間を確保してくれるという事実なのです。

部下と個別に話す場を設けたら、上司が一方的に話すようなことは厳に慎むべきです。できるだけ部下が話しやすい雰囲気にすることを心がけ、話してくれたことに対してはまず肯定・共感から入るようにしましょう。

すぐに対応するのは難しい相談ごとが出てくるかもしれませんが、その場ですべてを解決しようとする必要はありません。次回の個別ミーティングで続きを話し合ってもいいのです。

こうしたいわゆる1 on 1では、会話の内容そのもの以上に心が通じ合ったかどうかが重要な意味を持ちます。
はじめはぎこちなくても、個別の接点を増やしていくうちに徐々に部下の緊張や警戒心がほぐれ、本音で話しやすくなっていくはずです。




メールで済みそうな要件も、なるべくオンラインで伝える

PC作業中の女性

伝えたい情報量そのものはメールで済む場合でも、あえてビデオ通話で伝えるという方法もあります。
メールは一度にまとまった情報を伝えるには適した方法ですが、疑問点がある場合や質問したいことが出てきた場合など、双方向のやりとりが求められるコミュニケーションには不向きです。

ちょっとした確認で済むことであれば、オンラインで対話しながら部下の理解度を確認したほうが伝わりやすいことも多いはずです。

あまり頻繁にビデオ通話の機会を設けるとお互いにとって負担が重くなり逆効果になることもありますが、ちょっとした伝達事項でも時にはオンラインで伝えるように心がけましょう。

また、声や表情が伝わることによって空気感が伝わるというメリットもあります。メールは文字による伝達のみですので、必要以上に冷たく感じられたり、場合によっては誤解を生む原因になったりすることがあります。

ひと手間かかるようでもビデオ通話の時間を確保し、双方向の対話によって伝達し合う機会を意図的に設けることで、コミュニケーションがよりスムーズに進むでしょう。




目先の業務のことだけでなく、これから先の展望についてもきちんと伝える

ビジョンイメージ

上司と部下では把握している情報の量や深さに差があります。

上司としては日々の仕事の進め方や仕事の目的について部下に説明しているつもりでも、部下からすると目先の担当業務しか見えない状況になっているかもしれません。

人は先の見通しが立たないと不安な気持ちになります。同時に、自分が担当しているこの仕事は何に役立っているのか、なぜ今この仕事をしておくべきなのか、といった現在の自分自身の立ち位置も見失いやすくなってしまいます。

目先の業務について詳しく丁寧に伝えるのは非常に重要なことですが、同時にこれからの見通しについても事あるごとに伝えていく機会を持つことが大切です。

とくにテレワークで各々が別の場所で働いている状況下では、各自が手元の作業に拘泥しやすくなります。そのため、テレワークではオフィスに出社していたとき以上に、チームとして、会社としての見通しを伝えることは重要な意味を持ちます。

また、先々の見通しを伝えることによって、部下自身が今後どうなってもらいたいのかというキャリアパスについて伝える機会にもなるでしょう。

中長期的な展望が見通せるようになることで、部下は今現在の仕事に安心して取り組むことができ、充実感を持って働きやすくなるのです。

テレワークで部下を叱らなければいけない時は、上司はここを意識する!対策3選

ここまで述べてきたように、日頃から部下とのコミュニケーションを円滑にしようと工夫を重ねることは非常に重要です。

互いにコミュニケーションコストを重荷に感じないことは、円滑なコミュニケーションの基本的なあり方だからです。

しかし、ビジネスにおけるコミュニケーションは単に「話しやすい」というだけでは成立しません。
ときには上司として部下を律し、指導しなくてはならない場面も出てくるはずです。その最たる例が、部下を「叱る」という場面でしょう。

そこで、テレワークで部下を叱らなくてはならない場面に遭遇したとき、上司として意識しておきたいポイントをまとめました。

「相手は今どんな状況か」を想像する「今回のミスはどう防げたと思う?」など問いかけを中心に「説得」ではなく、部下が「納得」できる叱り方を
  • 「相手は今、どんな状況か」を想像する
  • 「今回のミスはどうしたら防げると思う?」など問いかけを中心にした会話を心がける
  • 「説得」ではなく、部下が「納得」できる叱り方を



「相手は今、どんな状況か」を想像する

考える男性イメージ

テレワークの大きな弱点の1つに、お互いの姿が目の前に見えていないことが挙げられます。

オフィスに出社していれば、相手がどんな状況に置かれているのかすぐに分かります。「緊急の案件に追われているようだ」「体調が悪いのではないか」など、表情や様子から相手のおおよその状況を察することができるのです。

一方、テレワークで相手の状況を推察するのは容易ではありません。
そのため、仕事の進み具合や出来栄えに満足できないとき、なぜそのような状況になっているのかが十分に把握できないこともめずらしくないのです。

テレワークにおいては、「こんな状況に置かれているかもしれない」という可能性も含めて、できる限り相手が今どんな状況かを想像することが大切です。

また、上司の側でいくら想像力を働かせても想像が及ばないことは十分にあり得ます。
日頃から、部下のほうからどんな状況かを伝えてくれるような関係性を築いておくように心がけましょう。

部下の立場から見た場合、上司であるあなたが「こちらの立場や状況を理解しようとしてくれる人」だと思えるかどうかがポイントになるでしょう。




「今回のミスはどうしたら防げると思う?」など問いかけを中心にした会話を心がける

問いかけイメージ

チャットやビデオ通話で部下を指導する場合、上司にとっては「指導」でも、部下にとっては「一方的に注意された」「威圧的な言い方をされた」と受け取りがちです。

対面ではないために、部下の側としても言いたいことを満足に伝えられないまま上司から叱られてしまう、といった状況になることも考えられます。
リモートワークで部下を叱るときには、対面のとき以上に伝え方に注意を払う必要があります。

効果的な叱り方として、上司から一方的に注意点を伝えるのではなく、部下が自分で改善点を発見できるよう、「原因はどこにあったと思う?」「今回のミスはどうしたら防げただろう?」といった問いかけを中心にする方法が挙げられます。

部下が自分の頭で考え、次につながる改善策にたどり着くことによって、腑に落ちる形での反省が促されるはずです。

この方法は部下によっては改善策に到達するまでに時間を要したり、はじめは期待するような答えが返ってこなかったりすることもあります。我慢強く「待つ」という姿勢が管理職には求められるのです。




「説得」ではなく、部下が「納得」できる叱り方を

説得と納得イメージ

上司と部下の間には、人によって程度の差こそあれ上限関係が存在するのは間違いありません。

部下にとって上司の発言は指示と捉えられるため、たとえ本心では納得できないと感じていても、その場では反論できないことも十分に考えられます。

部下が上司の叱り方を威圧的と感じたり、最悪のケースではパワハラを受けたと感じてしまったりするのは、部下自身にとって納得感を得られていないからです。

上司としては熱心に「説得」しているつもりでも、部下の受け止め方が「理不尽だ」「納得できない」といったものだと、説得すればするほど部下はストレスを感じることになってしまいます。

上司の考えや方針を一方的に押しつけてしまうことのないよう、部下自身に話してもらうタイミングを意図的に設けるようにしましょう。

こうすることで、ミスなどの原因に対する部下の理解度を図る手がかりとなるだけでなく、部下自身の思考が整理されるという効果も期待できます。

何よりも、自分で考え、自発的に話してくれたことであれば、部下自身も「自分で言ったのだから、しっかりと実行しなくては」という納得感を得やすいはずです。

まとめ)テレワークでの部下との関係悪化は対策しだいで防げる

リモートワークイメージ

テレワークで部下との関係が何となくギクシャクしていると感じたり、そのような事例を耳にしたりすると、「やはりテレワークでコミュニケーションを図るのは難しいのでは?」「出社して対面で仕事をするスタイルに戻したほうがいいのか・・・」といった思いが頭をよぎるかもしれません。

しかし、たとえテレワークの環境下であっても、今回解説してきたような工夫を加えることによって部下との関係悪化を未然に防ぐことは可能です。

むしろ、毎日のようにオフィスで顔を合わせるのが当たり前だった頃には気づかなかった部下の一面を知ることができたり、部下への接し方について改めて振り返る機会になったりするはずです。

「うちは部下との関係は良好だから大丈夫」と思っている人も、この先関係が悪化することのないよう、今回紹介してきた対策を前もって講じておき、上司・部下の双方にとって快適なリモートワークを実現していきましょう。

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