「話の分かりやすい人」「話の分かりにくい人」の違いとは? 「分かりやすく話す」ための5つのポイント
[最終更新日]2023/11/03
社内会議で自分の意見を発言したり、クライアントに商品のプレゼンをしたりと、管理職、若手社員に関わらず、社内外で物事を説明する場面は多いでしょう。
その際に自身の説明がうまく出来ていなくて困っている方もいると思います。
今回は話のわかりやすい、わかりにくいを分けているポイントを紹介し、また相手に伝わりやすい話し方の工夫について説明します。説明が苦手だと感じている方々は参考にしてみてください。
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「もしかして、伝わってない…?」部下は上司の指示・説明をどう感じている?
管理職・マネージャーの方々の中には、部下が指示通りの行動をしてくれなかったり、以前した説明を理解してくれていたなかったりといったことに悩んでいる方も多いことでしょう。
ですが、部下は部下で「上司の指示・説明がわからない」とストレスを抱えているケースも多いのです。
もしかしたら、上司側の話し方、伝え方のほうにも改善箇所があるのかもしれません。まずは部下の理解不足で片付けてしまわずに、原因について深く考えてみる姿勢を持つことが大切です。
部下が上司へ感じるストレスの第1位は、「指示・説明が分かりにくい」こと
人事向けポータルサイト「@人事」では、「部下が上司に感じるストレス」でアンケートを取った際に第1位が「上司の指示に問題がある」となっていたと発表しています(2017年1月記事「上司に感じるストレス第1位「指示が曖昧」への、上司/部下それぞれの対処法は?」)。
多くの部下は上司の「説明のわかりにくさ」に悩んでいるということでしょう。
こうした時、上司の観点からすると「部下の方でも理解が不足していたのでは…?」と感じたり悩んだりすることもあるでしょう。
ですが、この世のトラブルの常として、「どちらか片方に100%の非がある」ということは殆どなく、大抵は双方に要因があるものです。そして、管理職・マネージャーの立場ならば、相手の非だけに意識が寄りすぎてしまうことなく、自身の改めたほうが良い箇所にも目を向けていくべきでしょう。
たとえば、「指示が曖昧」であったり、そもそも「詳細の前提情報がないまま丸投げ」したりといったことが部下から「説明がわかりにくい」と思われてしまうことも多いです。
また、複数の上司がいる時に指示の内容が違うといった意見も見られます。これはそもそも意見統一を図るべしという別の視点の問題もありますが、こちらも言葉が足りないために指示内容が曖昧となることで、上司間で認識のずれがあるように感じてしまう場合も多いようです。
話がうまく伝わらない……その原因は
そもそもなぜ、「話がうまく伝わらない…」といった事態が起きてしまうのか考えてみましょう。
話がわかりにくくなる、伝わりにくくなるといった際には、以下の3点が要因になっていることが多いです。
- 考えたままの順番で話してしまう
- 説明しすぎてしまう
- 相手の理解度を考えていない
それぞれ、順番に詳しく見ていきましょう。
考えたままの順番で話してしまう
物事を説明する時に、ついつい頭の中で浮かんだ情報をその順序のままどんどん話してしまう方がいます。
話し手からすると、その方が話しやすかったりもしますから、思うままに話していたら気づいたら数十分も経っていた──という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、話しやすい話し方と聞きやすい話し方は大きく異なるものです。
聞く側は情報が理路整然としている方が聞きやすく、理解しやすいのはいうまでもありません。
例えば指示であれば、指示内容、その指示を行う背景、タスクの期限等々といった要素がしっかりと整理されていることが望ましいでしょう。
思いついたままに話してはこの要素が入り組んで混ざってしまうため、最終的に指示を受けた側は話された内容を正確に理解できなくなってしまうのです。
一言二言では終わらない内容を相手に伝える場合には、一度自分の頭の中で情報を整理して、話す順序を意識すると良いしょう。
説明をし過ぎてしまう
相手に伝わるように工夫しているつもりがかえって理解が難しくなってしまうのがこの「説明しすぎてしまう」という失敗です。
特に相手が「よくわからないかもしれない」と思った時に、出来るだけわかりやすくしようとして、詳細・枝葉の情報まであれもこれもと話してしまうことがあります。
一見詳細な説明でわかりやすい、となるかと思いきや、こうした話し方もまた話の要点が見えにくくなってしまい、また伝えるべき情報に比して話が冗長になってしまうため、やはり聞き手にとってわかりにくい話し方となってしまうのです。
特に丁寧に教えたり、指示出ししようと意識されている方に生じやすい傾向です。
相手にわかってもらいたいという思いは重要ですが、今一度情報を整理するとともに「出来るだけ簡潔な、端的な」説明を心がけることが大切です。
相手の理解度を考えていない
意外にこの失敗例も多いと思われます。
「理解度に差があることを考慮しない」説明です。まず大前提として、上司と部下がいる場合、少なくとも上司が指示出しをするのであれば、基本的には上司の方が「よくわかっている」前提で話す必要があります。
経験年数が長く、また過去に実績を上げているからこそそのポジションについているのですから、これは当然のことです。
従って、部下は上司と比較して蓄積した情報量や経験が少ないため理解度がさがることを前提として話す必要があります。
上司が指示を出す時は部下の理解度、保有している情報や経験を認識したうえで、それでも部下が理解できるような話し方を意識すると、よりコミュニケーションは円滑になるでしょう。
「説明上手な上司」になるための5つのポイント
さて、前章のところで上司の説明が部下に伝わりにくくなってしまう3つの要素を紹介しました。
基本的にはこれらを認識した上で、こうした原因を極小化する話し方をこころがけることで、部下にも伝わりやすい説明の上手な上司になることができるでしょう。
この章では更に先に進んで、「説明上手な上司になる」ための5つのポイントを紹介します。
情報の取捨選択をする
「説明上手な上司になる」ためのポイントの1つ目は、「情報の取捨選択をする」ことです。
先ほどの説明が伝わらない原因の2つ目に説明しすぎてしまうことをあげましたが、逆にわかりやすい説明とは、情報が必要最低限に収まっていることです。
特に大事なことは1分以内で話すように心がけると良いと言われています。
もちろん話題により実際の話す長さは多少の前後はありますが、少なくとも話したいことの要点は確実に1分以内にまとまる量で伝えるようにすると良いでしょう。
その上で、情報の取捨選択を徹底することも重要です。
部下に指示出しをするときに、今一度自分の頭の中で情報を整理してみるのです。一旦情報を整理してみると、話そうとしていた内容のうち意外なほど多くはさして重要ではなく、省略しても問題ないことに気づくことも多いでしょう。
そうした部分は捨て、可能な限り短い会話で指示が完結するように心がけていくことが大切です。
5W1H(5W2H)を意識して話す
よく言われる一方でなかなか実践できていない方も多いのが、説明の際に、「5W1H(5W2H)を明確にしておく」ことです。
5W1Hとは誰が(WHO)、何が/何を(WHAT)、なぜ(WHY)、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、どのようにして(HOW)ということを指し、これらを意識して説明をすることです。
5W2H | 記載内容 |
---|---|
What | 何を・テーマ・やること・対象物 |
Why | 目的・ゴール・あるべき姿・ねらい・背景・理由 |
How | 実行手段・方法 |
Who | 中心人物・ターゲット・パートナー |
Where | 場所・位置・場面・市場 |
When | 時間・期間・納期 |
How many/much | 程度・回数・数量・予算・費用 |
一点注意しておきたいのは、「必ず5W2Hの全てを入れなければならない」というわけではありません。
「指示や説明を理解してもらう上での必要十分」をしっかりと含めるようにすることがポイントです。
日本語は英語と比較するとこれらの要素を省略してなあなあで済ませることが好まれる傾向があり、特に「何が」・「誰が」にあたる主語が欠落する会話をすることが多くなっております。
日常会話ならばそれでいいのですが、ビジネス上の指示や説明ではこれらは必要であればもれなく含まれていることが必要となります。今一度5W1Hが充足した説明になっているかどうか考えてから話すようにしましょう。
伝えたいことを「文章化」する
相手に伝わりやすい話し方に慣れていない場合、またそうでなくとも特に重要な話や指示をする場合は、自分が伝えたいことを文章化することも一案です。
紙に文字を起こしてみることで、自分の説明しようとしていることの過剰な部分や、逆に説明不足な部分があらためて認識できるようになります。
まず文章化したら自分が重要だと思うポイントに印をつけます。次にそのキーワードを抜き出して自然な流れに繋がるように再構成します。
この作業を経ることで自身の説明内容が洗練され、また不要な情報が除かれるため、相手に理解されやすい説明が可能になります。
さすがに毎回の指示の準備でこれを行うのは困難ですが、もし自分の説明が伝わりにくいと感じているなら、説明力を鍛える一環として、このようなタスクを時々取り入れてみることをおすすめします。
説明がきちんと伝わっているか、相手に確認する
根本的なことですが、説明や指示が終わった後に相手に確認をすることも重要です。
相手が上司の指示内容をスムーズに話せるのであれば、間違いなくその部下は上司の指示を理解していると言えるでしょう。
そのときに注意が必要なのは「何かわからないことは?」を聞くだけで終わりにしてしまわないことです。上司・部下という関係性が築かれている時点で「わからない」ということを表明しにくいからこそ、この理解不足は起きています。
このような曖昧な質問では部下の理解不足は解消されない可能性が高いです。より適切なやり方としては、部下に上司が説明した内容、指示した内容を自分なりに最後にまとめさせることです。
これで部下がきちんと理解しているかどうかが判断できますし、仮に理解不足や認識相違があった場合は、その際につぶすことができます。
一見二度手間になるように見えますが、実は部下の理解不足を防ぐ上でとても効率の良い方法と言えます。
相手の興味を持続させる話し方を意識する
最後は話し方のテクニックになりますが、「相手の興味・関心を引きつける話し方を意識すること」です。
といってもタレントさんのように完璧な話術を身につけるという意味ではありません。
まず意識したいのは「緩急がない」「数字がない」「事例がない」この3つの「ない」を防ぐことです。
どこが大事なところなのか意識的に緩急をつけて話すように心がけます。
次に、具体性を持たせるために、可能な限り数字を盛り込みます。「重要な点を“3つ”」「これを実践すれば“50%”売り上げがアップします」などなど、数字を話に混ぜることでより話しの具体性・信憑性が向上します。
最後に「事例」を盛り込みます。ただ単調に伝えたいことを話すのではなく、具体例を差し込むことで、会話に臨場感が生まれます。こうしたポイントを意識すればそれだけで、その人の話はぐっと人を引きつけるようになります。上司から部下に話す際も、この3点を意識しましょう。
「分かりやすい説明」は、誰でも実践できる!完璧にこなすよりも、「少しずつ良くしていく」意識が大切
ここまでお読みになられて、いかがでしたでしょうか。
分かりやすい説明に苦手意識を持たれていた方も、前章で挙げた対策について「難しそう…」と感じた方はあまりいらっしゃらなかったのではないでしょうか。
「分かりやすい説明」は、センスや高等スキルが求められるようなものというよりは、「誰もが実践できる」ものです。
ただし、その際は「完璧な説明をする」という意識を持つよりは、まずは話を聴いてくれる相手のことを想って、「丁寧に、かつ少しずつ良くしていこう」という意識で臨んだほうが、話を聴く相手の納得感や満足感も高まりやすくなることでしょう。
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