【おすすめ映画＃17】『ある会社員』が無料で配信されているVODサービスは？
［最終更新日］2023/03/11
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日本では度々「ブラック企業」が社会問題となって語られます。仕事にのめり込むことも重要ですが、時には休養をとることも大切です。休養をとらずに働き続けると、心や体を病んでしまう原因にもなりかねません。
そんな「社会人の働きすぎ」は、日本だけの問題ではありません。苛烈な競争社会として知られる韓国でも、社会人の働きすぎによる過労死が問題となっています。
本記事で紹介する韓国映画「ある会社員」は、仕事に忙殺されるある会社員が、仕事を辞めることを決意する物語です。
一見すると普通のお仕事映画。しかし、本作は『パラサイト／半地下の家族』で社会性とエンターテインメント性を両立した韓国映画。なんと、本作で描かれる業務内容は「暗殺」です。
本記事では『ある会社員』の見どころを、社会人の視点で紹介する他、無料で観られる動画配信サービスもご紹介します。
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目次
ある会社員
調査日:2021/02/26
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
映画『ある会社員』の概要
| タイトル | ある会社員 |
|---|---|
| 公開日 | 2013年6月1日 |
| 上映時間 | 96分 |
| 映倫区分 | R15＋ |
| オフィシャルサイト | ー |
| スタッフ | 監督：イム・サンユン 脚本：イム・サンユン |
| キャスト | ソ・ジソブ イ・ミヨン キム・ドンジュン |
映画『ある会社員』のあらすじ・見どころ
映画『ある会社員』のあらすじ（一部ネタバレあり）
ある会社員、チ・ヒョンド課長は仕事に忠実で部下や上司からの信頼も厚い、有能な仕事人間です。彼が所属するNCM（ニュー・コンチネンタル・メタル）社は、表向きは金属製造会社として知られています。しかし、その裏の顔は殺人業務を請け負う闇の組織。ヒョンドはそこの営業2部という直接暗殺を行う部署に所属しているベテラン暗殺者だったのです。
ある日、警察の証人を消す「企画」を任されたヒョンドは、アルバイトのフンにその仕事を任せます。見事警察の警備を掻い潜り証人を殺害したフンですが、その直後ヒョンドに階段から突き落とされます。この業界では仕事を終えたアルバイトを始末するのが常でした。
フンの息の根を止めようと手を伸ばすヒョンドにフンは懇願します。「家族にお金を渡してほしい」と。
フンを始末したヒョンドは、お金を持ってフンの実家を訪れます。「フンは海外出張へ。フンは将来有望です」と嘘を並べるヒョンドは、フンの母親が元アイドルであるミヨンであることを知ります。実は少年時代、ヒョンドはミヨンの大ファンだったのです。
会社に戻ったヒョンドは、NCMの会長から営業2部の部長であるチン部長が息子を亡くしたことをきっかけに仕事を休んでいることを知ります。チン部長はヒョンドにとって親しい上司でした。
会長からチン部長の監視を命じられたヒョンドでしたが、尾行に気づかれ背後から銃を突き付けられます。「会社に連絡してください」と懇願するヒョンドでしたが、チン部長は「俺は仕事人間だった。家族のために働いた」と自嘲気味に語った後、「仕事を辞める」と告げて銃の柄でヒョンドを殴りつけるのでした。
この事態を重くみたNCM社は、正式にチン部長の「解雇」を決定。「解雇」とは、NCM社の仕事から逃げ出す社員を始末すること。その仕事を任されたのは他でもない、次期部長と目されるヒョンドでした。
上司を解雇しなければいけないことに悩むヒョンドは、会社に内緒であるアパートの一室を訪れます。そこにいたのは、ヒョンドが始末したはずのアルバイト、フンでした。
映画『ある会社員』の見どころ
映画『ある会社員』は世の働くビジネスパーソンへとメッセージを送る普遍的なお仕事映画です。ただ一つ違うのは、その業務内容が「殺人」だということです。
韓国映画の特徴として一つ上げられるのが、「社会性」と「エンターテインメント性」を高い次元で両立させているところでしょう。2020年にアカデミー賞を受賞したことが記憶に新しい『パラサイト／半地下の家族』では、「貧富の差」という社会的なテーマを扱いながらスリリングで時にブラックな笑いを誘う娯楽作品としての質の高さが評価されました。
本作は「社畜」と呼ばれる、近年問題視される仕事に忙殺される存在を取り扱いつつ、その業務内容を「殺人」にすることで社会派なアクションエンターテインメント作品となっています。
そのため本作には主人公ヒョンドが昇進したときに部下や上司が集まって飲み会が開かれたり、コネ入社の上司によるパワハラがあったりなど、ビジネスの場に身を置く者ならば身に覚えのある「会社あるある」が散りばめられています。
業務内容が殺人なのに妙に親近感を憶えるそのシチュエーションは、非常に現実離れした内容でありながらまるで自分のことのように感情移入してしまいます。まさに「社会派エンターテインメント大国」である韓国映画の底力を実感できる大傑作です。
ストレスを吹き飛ばすようなスタイリッシュアクション
社会派お仕事映画でありながら業務内容が「殺人」である本作は、豊富なアクションシーンが存在します。
韓国と言えば荒々しいバイオレンス・アクションが得意であることで知られていますが、『ある会社員』に登場する殺し屋は表向きは会社員のため、常にスーツを着ながら戦う、『キングスマン』や『007』などのスパイ映画を想起させるようなスタイリッシュなアクションとなっています。
その内容も多岐にわたり、銃撃戦から格闘戦、さらにはナイフバトルなど種類も様々。特に格闘アクションシーンはロシアの軍隊格闘術「システマ」を駆使したものになっており、タクティカルで見応えのあるものとなっています。
ある会社員
調査日:2021/02/26
○印は見放題配信。金額表示はレンタル料金です。動画の配信状況はマネージャーライフが調査した時点での情報です。詳細は各公式サイトでご確認頂けますようお願いします。
社会人として観る『ある会社員』
「働きすぎるな」直球メッセージが見せる社会派エンターテインメント
フンの母親であり、元アイドルのミヨンと出会ったヒョンドは彼女と接していくうちに惹かれあい、彼女と共に山奥でカフェを経営することを夢見るようになります。しかし、仕事人間だった彼はなかなか仕事が辞められず、そのまま私生活と仕事の板挟みに晒されることになります。
本作では登場する暗殺組織NCM社は定年退職まで仕事を辞めることができないという闇のルールがあります。これは一見、現実離れした設定に思えるかもしれませんが、この現実社会でも仕事を辞めたいのに辞められない、そんな雰囲気が形成された企業も存在するのではないでしょうか。
常に繊細で確実な仕事を求められるNCM社では、私情を殺して仕事に身を投じなければなりません。自分を慕ってくれるアルバイトのフンや、上司のチン部長を「解雇」するよう命じられたヒョンドは、会社からの絶対的な命令と部下や上司を殺したくない私情との間で板挟みとなります。
ヒョンドが解雇しなければいけないチン部長もかつては仕事人間で、家族のためにと身を粉にして働いてきました。しかし、息子を亡くしたチン部長は生きる気力を無くし、仕事に人生を費やしてきたため自分には何も残っていないことに気が付きます。
ヒョンドもまた、山奥のカフェの経営という夢を目指しますが、常に「もし仕事を辞めたら自分には何も残らないんじゃないか」という不安も付きまといます。
ヒョンドは自分を慕うフンに対して「身を粉にして働きすぎるな」と忠告します。これは、この物語のメッセージそのものだと言えるでしょう。「好きな人にも出会って幸せに生きろ」と。
苛烈な競争社会が度々問題視される韓国だからこそ、「本当の幸せはなにか」「なんのために生きるべきか」「自分にとっての仕事とはなにか」を問う内容となっています。
会社と社員の関係性
本作では、「働きすぎるな」というテーマが主となっている作品ですが、仕事を好きな人全てを否定しているわけではありません。本作では、NCM社から退社することに成功し、世捨て人のような暮らしをする人物が登場します。
彼は、ヒョンドに向かってこう語ります。「会社との関係は愛憎だ。辞めれば戻りたくなり、戻ろうと思えば憎くなる」と。
確かに働いていれば嫌気が指す瞬間もあります。しかし、だからといって仕事にやりがいを覚える瞬間も多いのではないでしょうか。ただ問題は、本作で主人公は殺人業務にやりがいを持てなかったことです。
物語冒頭、ヒョンドはフンに問いかけます。「この仕事は好きか？」と。ヒョンドは続けてこう語ります。「自分はもう惰性でやっている」と。歌手になりたかったという夢を諦め、NCM社へ入ってしまいそのまま出世してしまったのが今のヒョンドなのです。
この映画は「働きすぎるな」というメッセージの映画であって、「働くな」というメッセージの映画ではありません。あくまで、自分にとってなにがしたいか、なにをするべきかに向き合い、改めて働くということを考え直すお仕事映画なのです。
夢破れたものたちのドラマ
本作の主人公ヒョンドはかつては歌手を目指していたものの、今では暗殺企業に勤めるベテラン会社員です。また、フンの母親であるミヨンは、かつてアイドルとして名を馳せたものの、一発屋として終わってしまった過去を持っています。あるいは、ヒョンドの上司であるチン部長は、息子を囲碁のプロ棋士にするのが夢でした。
映画『ある会社員』は、夢破れてしまった者たちの終着点を描いています。現実世界がそうであるように、この物語でも夢が必ず叶うわけではありません。ミヨンと共に、山奥のカフェを経営して暮らすという夢を新たにするヒョンドにも、様々な問題が降りかかります。
夢とは言わば個人的な欲望であり、会社単位から言えばそれは私情に過ぎません。たびたび会社と私情の間で揺れ動くヒョンドは、この新しい夢のことでまた会社との板挟みにあいます。
夢をとるべきか、会社をとるべきか。一度「歌手になる」という夢を諦めたことのあるヒョンドは、再び新たな夢に向かって動き出します。
夢は必ずしも叶うわけではありません。しかし、惰性で仕事を続けるべきか、それともやりがいを求めて挑戦をするべきか。その先にあるものを描いているのが『ある会社員』という映画なのです。
ある会社員
調査日:2021/02/26
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まとめ）時には立ち止まってみるのも人生
本作のキャッチコピーは「俺の人生これでいいのか。」です。仕事に忙殺されたことのある人ならば誰もが一度は自問したことのある言葉です。
本作で忘れてはいけないのは、決して仕事や働くことを否定しているわけではないということです。家族のために働く人もいれば、この仕事こそが天職だと熱意を燃やす人もいます。問題は、主人公のヒョンドはそうではなかったということです。
仕事にやりがいを感じず、惰性で働いている主人公だからこそ、より「働く」ということがどういうことなのかが浮き彫りとなっている映画です。長い人生、一度立ち止まって、自分に向き合ってみるのも一つの手かもしれません。
ある会社員
調査日:2021/02/26
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