上司からの忘れられない一言:「逃げちゃダメ」
[最終更新日]2022/12/15
「逃げちゃダメ」
Sさん(女性 36歳)
- 職業
- アパレル店エリアマネージャー
- 職種
- サービス
- 年収
- 非公開
- 従業員規模
- 非公開
- 地域
- 静岡県
Index
目次
セールストークが苦手。職場の人間関係にも混ざれない。
私はアパレル販売員として洋服を売っています。
ただ販売するだけでなく、お客様が入店をしたら声がけして、商品のセールストークをすることも重要なスキルです。
私がこのお店で働くようになったきっかけは、元々好きなブランドのお店で、客として通っていて、自分の好きなこのブランドで働きたいと思ったからです。
私はファッションが大好きで、洋服の販売は自分にとって天職だと思っていました。
実際に大好きなお店で働くことができるようになってからは、毎日自分の好きな服に囲まれてとても幸せでした。
だから、仕事上、どんなにつらいことがあったとしても乗り越えられていたのです。
しかし、元来私は内気な性格で、人付き合いが苦手です。
お客様にお声がけをすることや、会話が下手だったのでリピーターを作るのに苦労していたのです。
他のスタッフはみんな上手にお客様と会話をしていて、どんどんリピーターを増やしていました。
あるスタッフ目当てに来店するお客様もたくさんいたくらいです。
しかも私は、同僚のスタッフとのコミュニケーションもあまりうまくとれていませんでした。
お客様へのセールストークが苦手でリピーターがつかない、スタッフとのコミュニケーションがとれずに職場で浮きがちになっている。
そんな自分の現状に、だんだんと「仕事をやめたい」気持ちが膨らんでいったのです。
部下全員からの憧れの的。
私の上司だったSさんは、エリアマネージャーとして、本部から定期的にお店に来る人でした。
女性で年齢は36歳です。
ショートヘアで目がぱっちりしていてきれいな外見の方です。
でも外見とは裏腹に、仕事に関しては男らしい一面もあり、私は同じ女性なのにSさんのことをかっこいいなと憧れの存在として見ていました。
なぜなら、エリアマネージャーという立場なのに、お店に来ると販売員として一緒に仕事をしてくれるからです。
今までほかの職場で接してきた上司とはまったく違います。
しかも、お客様とのトークもうまくて、商品をバンバン販売していきます。
Sさんは部下からもとても好かれていました。
初めてSさんに会った時には、少し怖い人なのかなと警戒していましたが、
お店の雰囲気がよくなるように、スタッフに積極的に話しかけて楽しく働ける雰囲気作りをしてくれるSさんのことが、すぐに大好きになりました。
話下手な私相手にも、話しやすいように色々と配慮してくださりました。
上司からの忘れられない一言。
しかし、仕事を通じて、自分自身の能力の無さ、今の仕事への適性など、いろいろと考えていた私は、
ある時ついに、Sさんに「やめたい」と相談することにしたのです。
個室のようなところで二人きりで話をすることになりました。
とても緊張しましたが、どうしてやめたいのか、その理由を正直に話すことにしたのです。
- Sさん
-
「〇〇さん、気持ちはすごくわかるよ。でもね、だからこそ逃げちゃダメ。立ち向かわなきゃいけないことだってあるよ」
私の話を一通り聞いた後に、エリアマネージャーが私に言ったそのひと言が、胸に深く突き刺さりました。
<スポンサーリンク>
自分自身と向き合う覚悟をくれた。
いつも優しいSさんだっただけに、その言葉はより一層、私の甘えを突き付けてくるようでした。
思えばいつだって私は、目の前の壁を乗り越えようという努力もしないまま、できる限り楽な道を選んでいたのでした。
また、Sさんは
- Sさん
-
「私も昔、職場でなじめずに悩んでいたことがあったんだ。今の私からは想像できないかもしれないけど。私は悩んだその経験がすごくよかったと思っている。だからあなたにもすぐにやめてほしくない。逃げるのは簡単だけど、それじゃ何も変わらないと思うから」
と、叱咤激励してくれました。
しかも、自分も過去に同じような悩みを抱えていたと話してくださったことで、
- 私
-
「あんなに完璧に見えるSさんでも、私と同じような悩みを抱えていたんだ」
と思い、励みにもなりました。
自分の悪いクセを見つめ直しすきっかけとなったあの言葉は、私の人生の中でもとても印象深い言葉でした。
今後、私が目指したいこと。
私の人生は、それからガラッと変わりました。
スタッフと積極的にコミュニケーションをとるように努力し、お客様へのセールストークも磨くようにした結果、全国の販売ランキングで上位をとることができたのです。
かつての私からは想像できない時間を過ごしています。
それもこれも、あの時、私を引き留めてくれたSさんのおかげだと思っています。
私はその後、別店舗へ異動になってしまったため、Sさんと関わることはなくなってしまいました。
ですが、いつまででも元気でいることを願っています。
<スポンサーリンク>